3月にも入ったにも関わらず、まだまだ寒さの残る今日の朝。
ベランダから見える高校の校庭からは、相変わらず部活で元気な学生がこれでもかと言わんばかりに声を張り上げていた。
「うぅ〜…朝、か?」
ぶっちゃけ深夜3時に寝たのでまだまだ起きる気はしないが、今日の講義は午後からなので、起きる気にもなれなかった。
「…ったく、相変わらずウッサイなぁ」
と、寒さからか深く布団を被った俺だったが、少し経って目が閉じかけた時にそれは起こった。
ピーーンポーーーーン……
その音は俺の部屋に来客が来たことを知らせるベルの音。
「…仕方無い、出るか……」
俺以外この部屋には誰も住んでいないので、仕方無く掛け布団を動かさずに器用にベットから這いずり出るとジャージ姿のままチェーンの掛かっているドアを開けた。
「あい、誰ですか…?」
「やぁカズヤ、私が直々に起こしに来たぞ」
「……セールスならお断りです…。
…じゃ」
「いやちょっと待て!?
私だ、アヌビスのノアだ!」
「何だノアか…じゃ、おやすみ」
「お休みじゃない!」
ノアはそう言うと魔法でドアをぶっ壊してきた。
その轟音で眠気が吹っ飛んだのは言うまでもない。
「ちょ、おま…後で直せるからってドアを吹っ飛ばすことは無いだろ!?」
「それは、カズヤが寝ようとしたからだ!
全く…今日の講義が午後からだって弛み過ぎだ」
紹介が遅れたが、コイツは俺の上の部屋に住んでいるアヌビスのノアで、何かと俺に世話を焼く砂漠生まれのジパング語ペラペラ留学生だ。
「…で、何で来たんだよ?」
あの後、ノームの管理人さんが来て何とかドアを直した後、居間でのんびりと寛いでいた。
「ん?
ああ、それは、カズヤがまだ寝ているかと思って、朝食を作りに来たんだ」
「そか、何時もすまんな、ノア」
「何言ってるんだ、別に私が好きでやってることなんだから謝る必要はないさ。
さ、そろそろ時間だから台所を借りるぞ?
その間にさっさと着替えてくれ」
「おう、了解」
そして着替え終わり歯を磨いている時、またもやベルの音が鳴ったのでドアを開けると、裸に上のジャージだけ着た俺の隣の部屋に住む幼なじみのワーウルフのイクが目を擦りながらドアの前に立っていた。
「おはよう、ルル。
こんな朝から起きてるなんて珍しいな?
もしかしてレポートで徹夜か?」
「いや、ウチだってココと一緒にレポートやって寝てたよ?
でも、こんな朝からあんな轟音が鳴り響いていりゃココ以外は誰だって起きるでしょ」
「ハハハ…そりゃそうだ」
因みにココというのはルルの双子の妹で現在、俺とノア、ルルと一緒のキャンパスで一緒の講義を受けている。
「ああ、何だ、ルルも起きてきたのか」
「どっかの黒ワンコのお陰でね…」
「その件については悪かったな。
で、ルルも食べていくか?」
「うん、そうする」
「ココは俺の部屋なんだが…?」
とまぁ何はともあれ俺達3人と匂いを嗅ぎつけてやって来たココと一緒に朝食を食べ始めた。
…これが俺の魔物娘に囲まれた何時もの光景であり、変わることのない日常だ。
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