とまぁそんな訳で、当初狭いアパートに住む予定だった……まぁ、ついてくるのは1人だけだと思っていたからな。
とにかく、予定を変更して、結構広いマンションの一室に俺を含めた10人で住んでいる。
が、広いとはいえ同じ部屋で10人で住んでいるんだ。それは実はもの凄く大変な事だ。
例えば朝、起床時なんかの場合……
「んぁ〜もう朝か…」
その日は休日だったが、何時も通り6時半に目が覚めた。
?「ようやくお目覚めかのぅ、うぬ様よ」
「ようやくて…まだ朝の6時半なんだが?
ってか何で俺の布団の中に、九重(ここのえ)?」
九重「それは、うぬ様の貞操は九尾である我のものじゃからのぅ。
それに、夜の間にうぬ様の貞操が奪われてしまうかもしれんからこうして守っておったのじゃ。
まぁうぬ様から誘ったのであればいた仕方がないが」
かなり古くさい口調を用いているコイツは、九尾である九重で実は実家の裏山の狐娘の中では恐らく最年長である。
「それについては大丈夫だ」
九重「大丈夫、とな?」
「ああ、だって俺は別に誘う訳でもないし誘われる訳でもないからな?」
九重「それはつまり、我には魅力が無いと?
遠回しに何百年も生きている我は嫌いじゃと?」
「そんな訳無いじゃないか。
俺にはまだお前達を幸せには出来ないって意味さ」
九重「そうならそうと早く言わんか。
まぁ我にはうぬ様さえいれば…」
と、そこで、俺の部屋のドアが突然開いた。
?「藤堂様、そろそろ起きる時間ですよ…。
あ、九重様もいらっしゃったのですね、おはよう御座います」
九重「堅苦しいのぅ、六枝(むつぎ)…そんなのは無しと言ったじゃろうに」
何時も俺を起こしに来てくれるコイツは九重と同じ稲荷であるが、6尾である六枝だ。
それにしてももう7時か。
全く、早すぎるな…。
「まぁまぁ九重…六枝、おはよう」
六枝「おはよう御座います、藤堂様。
それよりも朝食が出来ておりますよ?」
「おぅ、ありがとな、六枝」
九重が若干不服そうだったが、それでも俺が部屋から出ると後ろからついて来た。
そうして俺がリビングに入るとテーブルでは妖狐は1尾の一実(かずみ)と3尾の三夜(さや)が、稲荷は2尾の二代(ふたよ)が朝食を食ており、キッチンでは稲荷である7尾の七草(ななくさ)と8尾の八重(やえ)、さらにテレビのニュースを見ている妖狐で4尾の四音(しおん)がいた。
一実「あ、兄ぃ兄ぃ、おはよ!」
二代「おっはよ、藤堂兄さま」
三夜「おはよう、兄さん」
「おはよう、一実、二代、三夜」
七草「おはよう、藤堂様」
八重「さ、早くテーブルにつかないと冷めちゃいますよ、藤堂様?」
「おはよう、七草、八重。
ところで五葉(いつは)は?」
四音「主様、主様。
それなら、昨日ずっと起きてたから多分まだ寝てると思うよ?」
九重「そうか、ならば我が直々に起こしに行ってやらんとな」
「悪いな、九重、何時もお前にばかりこんな事を押しつけて」
九重「かっかっか、良いんじゃよそんな事ぐらい。
我だって今の生活を十二分に楽しんでおるからの?」
そうして何処からともなく取り出した扇子を拡げると、そのままリビングから出て行った。
六枝「全くあの子は…折角の休日ですのに弛んでしまっては、元も子も無いでしょうに…」
「まぁまぁ六枝、五葉は稲荷じゃないんだからさ?
許してやってくれよ」
六枝「藤堂様がそう言うなら良いのでしょうけど…。
それでも私は…」
六枝はまだ渋っていたが、まぁ五葉は直に起こされるだろうから俺はさっさとテーブルに着いておそらく七草が作ったであろう油揚げだけの味噌汁と焼き鮭と…まぁ何時も通りの朝食である。
九重「ほれ、さっさと歩かんか、五葉」
五葉「もうチョットだけ寝さしてくれても良いじゃないですか〜、九重サマ〜」
九重「全くお主と来たら…そんな事だからうぬ様に好かれんのじゃ」
五葉「そんな事言われましても〜…眠い物は眠いんですよ〜」
と、そんな言い合いをしながら九重と五葉がリビングに入ってきた。
「おはよう、五葉」
五葉「お、オハヨウ御座います、藤堂サマ!」
九重「何でお主はそんなに切り替えが早いのじゃ…」
五葉「別に良いじゃないですか、九重サマ!
あ、六枝姉さんに八重さん、七草さん。それに四音に三夜ちゃんに二代ちゃん、一実ちゃん、おっはよー!」
一実「五葉姉ぇ姉ぇ、おはよー!」
二代「五姉ぇ、おはよ」
三夜「おはよう、五葉姉さん」
四音「五葉姉、おはよー」
六枝「ようやく起きたのですか。
良いから早く朝食を食べてしまいなさい」
七草「おはよう、五葉ちゃん」
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