………暗い…此処は……何処だ…?
何で俺、こんな所に…って言うか、何で訳の分からない液体の入っているカプセルの中に?
「ふむ、調子は……良さそうだな?」
誰だ…この爺さんは?
「ん、君の名か?
…君は個体ナンバーT-035、この実験の成果であり、モルモットだ」
…は?何言ってんだ?
俺にはちゃんと優介(ゆうすけ)って名前があるんだ。
訳の分からないまま困惑していると、次の瞬間、とんでもない会話が繰り広げられた。
「さぁ、とうとう此処まで来た!!
私達は神をも超えて、人間を超越した人間を完成させた!!
…だから、次は、コレが何処まで人間の存在を超えたか実験しないとね……さぁ、最初は電撃に対する耐久実験だ。さ、始めてくれ。」
「はい、それでは第2シークエンス、電撃の対する耐久力の実験を行います。
まずは、100万ボルトから開始します。」
「甘い…甘いよ君、コレは実験体第1号…言ってしまえばオリジナルだ。この個体を元に後から幾らでも同じ物が作れる。
けれども、コレは人間を超越してるんだよ?
…だから最初は1億ボルトから始めないとね?」
え…耐久実験?それに1億ボルトって…人を簡単に殺せるレベルじゃないか!!
嫌だ、そんなもん受けたら絶対に死ぬ!!
だから出せ、この…このっ!!
そんな事を思っているのに自分の身体は動かず、ただただその時だけが刻一刻と迫っていた。
止めろ止めろォ……止めてくれェッ!!
「しかし……了解、それでは予定変更して1億ボルトから実験を開始します」
そうして俺の身体に電流が流れ始め、俺の意識は遠く遠のいていった……
----------------------------------------------------------------------
「……ハッ、朝か…」
俺はどうやら夢を見ていた様だ。只の悪い夢を。
「しかし、夢だったが…何か妙にリアルだったんだよな……」
暫く考えて埒があかないと悟った俺は、朝食を摂りにリビングへと向かう。
こうして俺こと、優介の何1つ変わらない平凡な日常が始まった。
----------------------------------------------------------------------
「おっはよ、祐介クン♪」
「ああ何だ、フューネか。おはよう、今日は車で来ないんだ」
この元気少女はフューネ。俺の席と隣同士だからでこんなにも世話をやく優しい女の子だ。
とは言っても、種族はあの魔王の娘であるリリムな訳で…実際お嬢様ではあるが、生徒会長の姉と同様…という訳では無い。
「何だって何よ…まぁ、良いわ。
優介クンって今日は購買のパン食べるの?」
「…ん?まぁ、そのつもりだけど?」
「ふぅん…そっか。
そんな祐介クンの為に、私、お弁当作って来ちゃいました!!」
「…俺の為に?」
「何よその目は……。
あ〜っ!!もしかして私料理が出来ないと思ってるでしょ!!
幾ら私がお嬢様だからって、何時も専用のシェフが作ってる訳じゃ無いんだから!!」
「そんな事、初めから知っているよ。
そっか、フューネの弁当か…昼休まで待てるかな……?」
俺はフューネの手作り弁当のおかずを貰った事が1度だけあるが(その時は唐揚げだった)、口に入れた瞬間とてもジューシーで最高に美味かった事を今でも覚えてる。
「も…もぅ、褒めても何も出ないんだからね////」
「はいはい、分かってるって」
「もう……イジワル」
そんな事を話してると、いつの間にか学校に着く。
もうそんな事を何度もしたかは分からないが、たった1つ、これだけは言える。
……俺は、フューネに恋をしているのかもしれない。
何時からだっただろか、最初はただ、フューネの事をお嬢様らしくない世話好きなだけの女の子だと思った。
けれどもそれはいつの間にか恋に変わった。
……いや、恋かどうかも分からない。ただ、自らの内にある変な気持ちだけが際限なく増えていった。
----------------------------------------------------------------------
「きをつけ、礼!!」
「「「「「ありがとう御座いました!!」」」」」
午前中最後の授業が終わり、ようやく昼休憩がやって来た。
俺とフューネは何時ものように学校の中庭にあるベンチで2人並んで昼食を摂っていた。
「…うん、相変わらずフューネの作る弁当は尋常じゃなく美味いよなぁ」
「えへへ…ありがと
#9829;
祐介クンにそう言って貰えるととても嬉しいよ
#9829;」
相変わらずコイツの笑顔
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録