少しぽっちゃりな彼女とそんな彼女が好きな俺と

 俺は、ぽっちゃりが好きだ。名乗るならデブ専ではなくぽちゃ専とでも言っておこう。

「はぁ、可愛い子いないかなぁ……」

 高校デビューしてから早くも3ヶ月が経ち夏休みに差し掛かろうとしている中、早くも俺の周りでカップルが出来上がってるが、一番身近なのは何と言っても佐枝森だ。
 アイツは高校デビュー当日で彼女を2人もゲットしやがるという、今までにないこの学校始まって以来の伝説を作りあげた人物だ。

「だが俺は、細身なんかに興味はない!!」

「あ〜はいはい、分かった分かった。
 よ〜く分かったから、早く黙れ。」

「酷い!?それは酷すぎるぞ、神也!!」

「そうだぞ?
 いくらコイツに彼女が居ないからって、黙れは無いだろ?」

「そういう佐枝森も相当酷いこと言ってるがな…。
 で、康太はどうするんだ?」

 俺こと吉永 康太は(よしなが こうた)は件の佐枝森ともう1人の友人で佐枝森と同じリア充である神也と、ボーイズトークを繰り広げてた。

「さて…どうしたもんか……。
 今年入学した女子の中で、ぽっちゃりした子っていたっけ?」

「いなかったと思うが…どうだったけ、神ヤン?」

「あ〜…いたようないなかったような……。
 あ、そう言えば!!」

「うぉ、誰かいたのか、神也!?」

「いや、先輩に1人オークがいたような…」

「マジか!!」

 おぉっと、これは良い情報じゃないか?
 因みに俺は年上だろうが年下だろうが関係無い!!

「あぁ、しかも自分の体型のせいでなかなか彼氏が出来ないとかって噂らしいぞ?」

「おっしゃ!!
 それじゃあ、早速放課後コクって見るぜ!!」

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 そんな訳で放課後、俺は校門前で美木乃先輩(神也調べ)を待っているところだ。
 しかもそろそろ、下駄箱の中のラブレターに気付いた筈だ。

「つかアイツなんでこんな情報知ってんだよ…」

 神也調べだと、美木乃先輩は下駄箱の中のラブレターに時めく人で性格はおっとりとしていて理想は自分の全てを愛してくれる人らしい。

「そろそろな筈なんだけど……」

「そろそろって何のこと?」

「美木乃先輩が来る時間の事で……」

「美木乃先輩って私の事じゃないかな?」

「へぇ、貴方が……って美木乃先輩!?」

「そうだよ?
 私が、金寺 美木乃(かなでら みこの)だよ?」

「あ…その……美木乃先輩、あの…近くの公園に美味しいクレープ屋が来ているそうなので、一緒に食べに行きませんか?」

「わ〜クレープ屋!?食べる食べる〜!!
 それと私の事は、先輩なんて付けなくても良いんだよ、コウ君?」

「あ、はい、それじゃあ……美木乃……さん」

「ホントはさんもいらないんだけど…まぁいいや。
 それじゃあ、行こっか?」

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 俺と美木乃さんは、学校から数分歩いたところにあるクレープ屋に来ている。

「わ〜、クレープなんて食べるのひさしぶりだな〜。あ、私チョコクリームで。
 コウ君は何にする?」

「えっと…俺はチョコバナナで」

「は〜い、それじゃあ合計で1650円お願いします♪」

 と、リャナンシーの店員が金額を告げた。

「は〜い♪」

 と、美木乃さんが払おうとするのを、俺は慌てて止めた。

「ちょっ…美木乃さんは払わなくて良いですよ!!
 俺が全部払いますから」

「え〜…でも、それは悪いよ…」

「あらあら、お2人さん仲が良いですね♪
 それじゃあ、私からサービスしちゃって、半分の825円で良いですよ?」

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 あの後、俺のゴリ押しで何とか俺持ちでクレープ代を払って、今は近くのベンチに座っている。

「何か結局払わせちゃったね…」

「いやいや良いんですよ。
 それにしても、何でリャナンシーの夫婦がクレープ屋を経営しているかと思ったら、こういう事だったんですね」

「そうなの。
 ここのクレープ屋って、味も美味しいけど見た目も凄いんだよ?」

 確かに俺達の手に握られているクレープは、それはもう見事なまでに芸術的だった。
 いやまぁ、芸術センスのない俺が言うのもどうかと思うが。

「さ、クリームが溶けない内に早く食べてしまいましょう?」

「うん、そうだね♪」

 で、半分まで食べ終わった訳だけど、何故か美木乃さんが此方…正確には俺のクレープをじっ
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