出会いは何時も唐突に

「はぁ…はぁ……」

 俺は逃げる。

「待ちやがれ!!そいつ等は俺のモンだ!!」

 そして、誰かが追いかける。

「待てって言われて待つヤツがいるか!!
 そもそも此処は狩猟禁止区域だぞ!!」

 俺は、両腕に抱えた狐と狸を更に強く抱きしめて逃げた。

「それがどうした!!
 此処は俺の狩り場だ!!」

 密猟者らしい男は、怒鳴っていた。
 だがしかし、この追いかけっこは普段から歩き慣れている俺に軍配が上がったようだ。

「はぁ…はぁ……ようやく撒いたようだな。」

 俺は、これ以上密猟者が追ってこない事を確認すると、急ぎ足で我が家へと帰った。

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「ただいまっ!!
 母さん、救急箱って何処にあるんだっけ?」

 俺は、母さんに頼んで救急箱を出して貰った。

「大丈夫だからな、今治してやるぞ。」

 狸は足を弾丸が掠めたのかそんなに深刻では無かったが、狐の方はまずかった。
 弾丸が狐の耳に当たり、右の耳が3分の1程欠けていたのだ。

「…ッくそ、何て酷いことをしやがったんだ。」

 俺は急いで2匹とも怪我の部分を消毒して包帯を巻いてやると、2匹は安心したのかそのまま寝てしまった。

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 それから数週間、俺はこの2匹をずっと看病した。
 腹が減っていればエサをやり、汚くなれば風呂に入れ、包帯も変えたり、消毒もした。
 その甲斐あってか、2匹は俺に懐いたようで、今では2匹と一緒にベッドに寝るほどだった。

「そういやぁ、何時までもお前達って言うのも変だな。
 …名前でも付けてやっか?」

 そう言って俺は、2匹の名前を考えることにした。

「そうだな……お前達は2匹とも雌だから、紅葉(くれは)と緑花(えんか)だ!!」

 名前を付けてやると、2匹……紅葉と縁花は俺の顔を舐めてきた。

「おいおい、止めろって。くすぐったいじゃないか。」

 どうやら2匹とも、気に入ってくれたらしい。本当に良かった。

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 それから数日後、唐突に紅葉と縁花が居なくなった。
 それは、あまりにも唐突で、あまりにも寂しい別れだった。

 只、幸いあの時の密猟者は捕まって居たので、もうあんな事にはならないだろうが、それでも俺は凄く悲しかった。

 それは、俺が小学校5年の頃だった。

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 あの頃の記憶をすっかり忘れた俺は、これから高校生活をスタートするまでに成長した。

「えっと……俺のクラスは2組か。」

 そう言うと俺は、さっさと自分のクラスへと向かう列に並んでその時を待った。

「…誰だよあれ。」
「凄く綺麗…。」

 他の入学生達が、ざわめいて居る方を向くと、其処には2人の美少女がいた。
 一方はブロンドの髪に鈴の髪飾りが2つ着いている。更に高身長ながらもスタイルは良く、少ししか膨らみのない胸さえも輝いて見える。
 もう一方は、淡栗色の髪にクリクリとした大きな目、低身長ながらもその存在を主張している大きな胸。ちょっと太っているが、俺好みの美少女だった。
 
 2人は、クラス分けの紙を見て自分のクラスを確認すると、此方の2組の列の最後尾、つまり俺の後ろへと並んだ。

『おいおいおい……こんな美少女2人が俺のクラスなんてラッキーじゃん!!』

 そんな事を思っていると、後ろに並んだ2人が俺の匂いを嗅ぎ出した。

「へ、ちょ、何を…してる…んですか?」

「くんくん……やっぱり良いニオイ…
#9829;」

「すんすん……う〜ん何時嗅いでも良いね〜
#9829;」

 と、2人ともほぼ同じことを言っている。

「え…えっと、『やっぱり』って?
 『何時嗅いでも』って、どゆ事?」

「「まぁまぁ、良いから良いから。」」

 を、今度はぴったり被った。
 と、同時に何か凄く全身が痛い。
 何故かと思って周りを見てみると、男子からのもの凄い殺気が…。

「…俺、この学校でやってけるのか…?」

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