「…なぁ、お前は今、幸せか?」
そう言うは、男の側に座って星空を見上げている1人のアヌビス。
「…あぁ、もの凄く幸せだぞ。
お前はどうなんだ?」
それに答えるは1人の男。
「私も、凄く幸せだぞ
hearts;」
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今晩も、1人のアヌビスが星空を見上げる。
それは、何も考えず、何も思わず、只アヌビスの心を満たしていた。
「今晩も、良い星空じゃないか。」
何時もながらそう呟くアヌビス。
だが、どうやら最近は、マミーの統括やスフィンクスへの説教、トラップの管理などで忙しいようでゆっくり休める夜に星空を見上げているようである。
「しかし、私もそろそろ伴侶となる男性が欲しいものだ。」
現在、アヌビスは独身である。
が、他のマミーやスフィンクスにはどうやら伴侶が居るようで、今ではこのアヌビスだけが独身のようである。
「やはり、私が伴侶となる男を捜しに行くしかないのか…?」
そうアヌビス自身が思っていたときだった。
突如として遺跡のアラームが真夜中に鳴り響いたのだ。それは、侵入者を知らせる為のアラームであるが、生憎夜中である為アヌビス以外誰も侵入者の捜索には、出向かなかった。
「…仕方がない、私が行くか。」
ため息混じりにそう呟いてみるが、その声には少し期待の色が混じっていた。
何故なら侵入者というのが女性の場合、マミーに変えるしかないが男性の場合、伴侶に出来るからである。
「さてと、現在の侵入者の場所は…1階層の廊下か。意外とすぐ其処だな。」
と言って、階段状になっている遺跡の最上段から入り口へと向かうアヌビスだった。
それと同時に侵入者の情報も調べて居たようで、中段辺りから一気に降りて、危うく転がり落ちそうになった。
「おい、此処で何してる。」
アヌビスが男を見つけたのは、何と遺跡の入り口だった。
どうやら男はトラップに掛かったようで、一目散に入り口まで逃げてきたとのこと。
「で、此処には一体何の用なんだ?」
続けてアヌビスが質問した。
すると帰って来たのは、砂漠で迷ってしまい途方に暮れていたら、運良く此処を見つけて泊めて貰おうと思ったとのこと。
「何だ、そんな事か。
…生憎、空き部屋は無いから私の部屋で今晩過ごすことになるが、それでも良いか?」
男が頷くと、アヌビスは嬉しそうに、
「そうか、ならば付いてこい。
私の部屋に案内しよう。」
と言った。
暫く遺跡の中を歩くと、どうやらアヌビスの部屋に着いたようで、
「お前は水でも浴びて、体を綺麗にしてくれないか?
場所は此処まで来る途中に有ったから多分分かるだろう。
私はその間に、食事の準備でもしておくよ。」
と言い、男を追い出してしまった。
男が水浴びを終えて、アヌビスの部屋へと戻ったとき、食事の準備が既に終わっており、男はアヌビスに促されるままに席へと着いた。
男が食事を始めるとアヌビスは、男に色々な質問を問いかけた。
男が食事を丁度終えた頃、アヌビスは顔を赤らめながら、こう言った。
「な、なぁ、すぐに私と一緒に来てくれないか。
私のお気に入りの場所で、重要な話があるんだ。」
男は少々面食らっていたが、快く頷いた。
アヌビスがお気に入りの場所に男を連れて行ったとき、そこは満点の星空だった。
そう、アヌビスのお気に入りの場所は、アヌビス自身が星空を見上げる遺跡の頂上だったのだ。
「それで、重要な話なんだが…」
アヌビスは相当恥ずかしがっていたが、意を決したのか、
「お、お前に一目惚れをした。だから、わ、私の伴侶になってくれないk…ひゃあ!!」
アヌビスが最後まで言い終わらないうちに男がアヌビスに抱きついた。
どうやら男もアヌビスに、一目惚れをしたようだった。
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そんな事があって、今ではすっかり仲の良いアヌビスと男の2人。
今でも週に2,3度はこうやって星空を見上げながら愛を囁きあっている。
「…なぁ、お前は今、幸せか?」
そう言うは、男の側に座って星空を見上げている1人のアヌビス。
「…あぁ、もの凄く幸せだぞ。
お前はどうなんだ?」
それに答えるは1人の男。
「私も、凄く幸せだぞ
hearts;」
今晩も、2人は愛を囁きあっているのだった……………………
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