「貴殿は○○で御座るな?よし、貴殿を逮捕するで御座る!!」
今日も今日とてクノイチである葉隠 忍(はがくれ しのぶ)は絶賛活躍中である。
「素直に諦めるで御座る。貴殿らが盗みを働いた瞬間、こうなるのは必然で御座った。だから拙者が、ここにくりゅのもまたひちゅぜん。大人しくしゅるでごじゃる!!」
忍は警察である。というのも、現代のクノイチは警察になるのが義務付けられている。その代わり、クノイチには特別区が用意されていたり、給料も他の警察と比べても倍は違うのである。
「これにて、一件落着で御座る!!」
忍は窃盗の現行犯を牢屋送りにしたあと、早々に自分の家へと戻ることに
した。
何故なら、この3日間徹夜勤務で家に戻れていないからである。
家の門を潜ったとき、自分の鞄からスマホにメールが送られてきた事を告げる音が鳴り響いた。ちなみに、この着メロは忍の思い人の声である。
「…!!メールで御座るか。何々…。」
実は忍は、自分がスマホを持つこと最初は嫌がっていた。伝達手段は文通で事足りるし、何よりも『自分がこんな機械を持つなど…!!』と、断固拒否していたが、結局彼に押し負けて渋々買ってしまった。
最初は使い方も分からなかったが、彼からの電話が掛かってきた時にこれは良い機械だと思った。
その時の忍曰く『電話というものは、良い物で御座る。何故なら、どんな時でも何処にいても彼と話すことが出来るでごじゃるからな!!』だそうである。
「…今日は近くの神社で祭りがあるから、忍っちも一緒にどうよ?ってまさか、逢い引きで御座るか!!ならば…拙者も行くでごじゃる。だから家で暫しまちゃれよ。っと、これで送信でごじゃる。」
何かメールの内容が可笑しいような気がするが、それは追々説明するとして忍は今日の祭りの為に新調した浴衣を着て、彼の家に行くのだった。
忍が家を出て数分、彼の家の玄関にいた。只、忍の家から彼の家までは人がどんなに早く走っても数分では着かない。ところがどっこい、忍はクノイチである。クノイチ特有の身体能力もあるが、1番の近道である民家の屋根を走ってきたのである。ここら辺は流石クノイチといった所だろうか。
「はぁう、ここに来ると何時も緊張するで御座る。…よし、いざ参るで御座る。」
こんな事を言っているが、今やるべき事はチャイムを鳴らすだけである。それだけ緊張していた。
「…待ったで御座るか?待ったのならば、許して欲しいで御座る!!…え、待っていないで御座るか…?いやいや、それなら良いのでごじゃる!!
それはそうと、どうでごじゃるか?あにゃたさみゃの為に新しく買った浴衣でごじゃるが…。」
忍の着ている浴衣は、足の横の部分が大きく開いていて浴衣というよりも、チャイナドレスに近かった。
元々クノイチの装束は、機動性を重視している。だから、この浴衣も機動性を重視しているのだろう。
「…似合っているで御座るか?うむ、嬉しいで御座る!!ならば、早速お祭りに行くで御座る!!」
そう言うと忍は、彼の手を取りそのまま祭りへと向かった。
祭りの会場は、ここ最近建てられた神社とその周辺にある商店街で行われるらしい。何でも、そこの神様が神社の宣伝と信仰心を集めたいとか何とか。
「拙者、祭りには縁が無かった故、どう言う物か不安で御座ったが…。中々楽しい物に御座るな!!
夜店はたくちゃん出てごじゃるし、人がたくちゃんいてにゃんとも楽しい所にごじゃる。」
…ここにきて説明するのも何だが、忍は話が長くなると30文字位から急に呂律が回らなくなってしまうのである。
忍は最初コンプレックスだったのだが、彼に『それもまた可愛いから』と言われてから気にしない事にしたのである。
「しかし、貴方様。拙者達は何を食すので御座るか?…焼きそばで御座るか?では、一緒に焼きそばを食べるでごじゃる。」
2人仲良く焼きそばを食べている時、不意に忍のハンカチを持った手が口元を拭った。
「…貴方様の口元に青のりが付いていたで御座る。だから拙者が拭き取ったで御座るが…嫌だったで御座るか?…ありがとうでごじゃるか?うれちいでごじゃる
hearts;」
夕方の朱いそらから宵闇へと変わり、星がちらほらと見え始めた頃それは始まった。
「貴方様、花火が始まったで御座る!!…綺麗で御座るなぁ。
拙者、今まで花火は自分の家でしか見なかったでごじゃる。ちかち、ことちはあなたちゃまがいてくれた御陰で近くでひゃなびを見る事が出来たでごじゃる。
だから、これからも一緒にいても良いでごじゃるか…?」
答えを聞く前に忍は彼の手を強く握った。
家までの帰り道、忍は疲れたのか彼の背中で眠っていた。
「むにゃむにゃ………今日は、楽しかったで御座る。また来年も貴方様と一緒に行きたいで御座るよ
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