・・・・・・虚しい。ただただ虚しい。何を考えても虚無感しか得られない。
なにをすれば良かった?
どうすれば良かった?
分からない、なら・・・また無限の思考の海に沈もう・・・
私は、レスカティエ教国に産まれた。ごくありふれた家庭の一人息子だった。
父は教国の兵士として戦功を挙げて、兵士長になった古強者。
母は家事が上手く、美味しい夕飯を作りいつも父を待っていた良妻だった。
そんな二人にの間に産まれ、愛されながら育ったのだ。
暖かい家庭だった。
絵本の勇者に憧れ、野山を駆け、剣に見たてた棒切れを振るった。友と絵本の世界を模して遊んだ。
想像の魔物と戦い、冒険をした。
そうして遊び疲れて帰ってきた後に、母の焼いてくれたクッキーはとても美味しかった。
父の話してくれる武勇伝が、いつしか子守唄になった。そしていつか、父の様に強くなりたいと思い始めた。勇者に成れなくても、強くありたいと。
時が流れ、私も成人しレスカティエの軍人の一人となった。
本当の戦に初めて参加した時は、戦場の空気に慣れず気分を害し十分な戦果を挙げられなかった。
情けなくて、その日は自分に割り当てられた部屋に篭った。そうして情けない気持ちを振り払った後は、次の戦では必ず戦功を、と自分の剣を握れなくなるまで振るった。
そうして迎えた二度目の戦。私は敵の大将首を上げた。その日は本当に嬉しかった。祝宴の酒を浴びる様に飲んで、吐いた。そして笑い合った。
その後も、幾つもの戦場に参加し腕を磨いた。到底片手では数え切れない数の戦場を。
そんな時だった。彼女に出会ったのは。
その時は、戦で大勝利し、久々に大酒を飲んでいたのだ。
その後、酔いを覚ましに外に出たのだが、そこで奇妙な少女に出会った。
まるで聖女のような美しい少女。だが、己を押し込めるかのような表情をしていた。こんな小さな少女が、もっと腐った大人がやるような仕草をしていたのだ。
何故か、その様子が嫌にも目に焼き付いた。
数々の戦を渡り歩いて、将軍になった頃、私はまたあの少女に遭遇することになる。
あの時から成長した少女は、勇者になっていた。名をウィルマリナと言う。教国の勇者の中でも期待の新人だった。
しかし、その姿を見た私は以前にも増して彼女の様子に疑問を持った。さらに己を殺している。そんな感じがした。
さらに、気になる者は増えて行った。
天才的な魔法のセンスを持つ少女や、訓練所にて夜遅くまでハルバードを振るっていた女戦士。敬虔な徒であり、孤児院を守る優しきシスター。弓を扱い、鋭い視線を人間に向けるハーフエルフに、大人しく、病弱なレスカティエの第三王女。
全員、何か引っ掛かった。何か、しがらみに囚われている様な、しこりを抱えている様な。
昔から勘は良かった。だから分かったのだろう。
そうして、気になった者たちに何かしら理由をつけ話しかけて見ることにした。幸い私は位も其れなりに高い。彼女らと話すタイミングもあるだろう。もしかしたら何かしら話してくれるかもしれない。そんな期待があった。
だが、そう上手くは行かない。そうそう暇はできないし、会ったとしても私は口下手で、上手く会話をすることもできず、さらに魔法少女からは皮肉を、ハーフエルフからは弓矢をお見舞いされる事すらあった。第三王女に至ってはもはやストーカーに近いやり方で話をする機会を得た。死にたかった。それでもめげずに頑張り、1週間で聞き出せたのは、少しの情報と名前くらいだった。
魔法少女がミミル・ミルティエ。
女戦士がメルセ・ダスカロス。
シスターがサーシャ・フォルムーン。
ハーフエルフがプリメーラ・コンチェルト。
第三王女はフランツィスカ・ミステル・レスカティエ。
彼女らは、それぞれそう名乗った。
名前を聞いてからは、色々なタイミングで声を掛けた。(フランツィスカさまは流石に厳しかったが。タイミングなどなかったのだ。)まあ、他愛ない会話ぐらいしかしなかったが。
そうすると、ある時ウィルマリナが思い出話をしてくれた。珍しい事だった。
その話の中には、ある少年がよく登場した。その少年と過ごした事がとても楽しかったと。
その時の彼女の表情は、ただの少女の顔だった。
何だか嬉しかった。彼女がそんな表情をしたのだ。己を殺さない、素直な表情を。
その少年が少し羨ましかった。何故だかは解らなかった。
その後、さらに昇進し軍団長まで登りつめた私は、彼女らとの交友を続けていた。
ウィルマリナとは戦友として、ミミルやメルセなどとは友達として交友をする様になった。プリメーラは会話をまともにしてくれるようになった。
まだ彼女らのしがらみが何かは解らなかったが、いずれ話してくれる。そう思って会話をしていた。
その頃に一番印象に残ったのは、彼女らから聞いた
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