『菓子屋” galette des Rois”にてチョコアソートを食す』

『――改めて。凄いじゃない!最年少での正規料理人昇格、おめでとう!』
『ありがとうございます!まさかこうしてナーラさんに祝っていただけるなんて……!』
『そんなアルスに……はい、これプレゼント。大事に身に着けてね♪』
『これは……銀のネックレス……しかも宝石付き……!い、いいい、いいんですか!?こんな……こんな貴重なものを』
『あら、中々目が利くのね♪でもいいのよ。料理の邪魔にならないし、……他の子に取られたら嫌だしね』
『え?何か言いました?』
『ううん、何も』

これが、十数年前のデートでの会話だ。
思えばあの時も、彼女は自分の種族が何かなんて言っていなかった。
唯一彼女が明かした情報としては”サキュバス種”程度のものだった。
僕自身も特に気にしてはいなかった。
知って何になるのだとも思っていたことも事実だ。
この日の贈り物に関しては、何処で入手したのか、どれだけの値が付くのか、それを贈り物に出来る貴女は……聞くのは余りに野暮なので心の内に留めただけだった。

知った、今だから言える。
“伝えて欲しかった”。

そして、付き合ってきたからこそ、その思いに対して首を横に振って、こう言える。

“ナーラさんは、いや、ロメリアさんは――”。

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「――ん……んゃふ……!」

数日前に大々的に行われた節分内の一行事、形とりどりのお豆を視界に入るようにおおっぴろげにする豆まきに、恵方巻ならぬんほぉ巻という興奮冷めやらぬ二本立てが毎年同日行われる2月の序盤戦、皆様いかがお過ごしでしょうか、ナーラです。よろしくおねがいします。
大変でしたね。それぞれが思い思いの豆まきとんほぉ巻をおおっぴろげに大通りでやる物ですから規律風姫のお姉様が部下引き連れて青姦区画整理に乗り出したのもいい思い出です。はい。私も借り出されました。酔っ払ったエキドナ一家とジパングで有名なHOKUSAIになだれ込んでしまいどえらいことになりました。性欲発散できましたしこれも全てはいい思い出ですがエキドナ一家、特に家長であるエキドナ、ラミア族なのに冬場によーやるなとは感じました。性愛って凄いですね。魔王様万歳。お母様万歳。

「――ぁ……ぁあくぁ……ぁふっ!!」

その後で実際の恵方巻きもジパング仕込みで作りました。オーガの腕サイズの大漁巻きとか魔女の腕サイズの海鮮巻きが売れるのは兎も角、アボガドサーモン巻きとか棒カツ巻きとか色物の方が人気なのは何か納得いきません。あれですかイベント限定の類ですか。王道置き去りにしてそれでいいんですか。とはいえ、「イワシのアンチョビポテト巻き」なる料理を恵方巻きに関連付けて売り出した洋食店“トラットリアデルーン”には負けますけれど。あ、美味しかったです。焼きイワシの香ばしさにアンチョビの塩味の刺激、ポテトのサクサク感はまさに新味発見、という喜びを久々に味わった気がします。

さて、ただいまどうしてこのような過剰に薄っぺらい丁寧語になっているかと申しますと。

「――はひゅぅ!ふぁ、ぁああ、あひぁああああ!!!」

えぇ何の因果か応報か高濃度媚薬スライム水責めの刑に遭っているので思考上は丁寧に冷静に保たないとあひぃでふわぁなモノローグしか流せなくなるからです!これ力みなんです!精神の力みなんです!そうでもしないと肌から過剰に浸透する濃密魔力成分由来の快感で到底自我なんて保てなくて、隣で私と同様にハートの女王様の機嫌を損ねたと思しきサフィが同じように魔力の火焙りの刑を受けていて、受け慣れているのか私よりも理性保っている感じがしますが、奥歯噛んで耐えて、あ、火力が増してえええええ!?

「反省が足らないみたいね?えいっ♪」

いやっやめてっそこ違う穴私あまり開発してないほうの奴でというかしたくない方のあひゃああああああああああぁぁぁぁぁん♪♪♪

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「……酷い目に遭ったわ……」
「全く……」

時計を確認するに数時間後。いまだ媚薬の効果が残る私達季節限定不思議の国ショコラティエール部隊長二人(本来は三人の予定だったのだけど一人欠員。どうやら急遽不死の国でのイベントに駆り出される羽目になったらしい。仕方ないわね)は、未だ媚薬効果の抜けきらない火照る体を持て余しつつ私の部屋のベッドにてぐったりしていた。成人スキュラの足にある吸盤の数を余裕で超えているであろう絶頂回数なぞ到底数えることなど出来るはずも無い。悪戯心に全力投球している魔力をほんの少し罰に向けるだけで、私のような貧弱一般リリムは快楽に意識を飛ばすもの。
今回、ハートの女王様が罰を与えた理由、それは私達の作成したチョコが気に食わ
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