「キャーッ!」
「ふふふ……貴女も淫らで美しく、可愛い魔物にしてアゲル……♪」
「やーめーてーっ!誰か!誰か〜っ!」
「「「「「待ていっ!」」」」」
「!?っ、何者っ!」
「聖戦士!」
「戦士!」
「聖戦士」
「戦士!」
「戦士!」
「五人揃って――」
「「「「「五戦士団!」」」」」
「さぁ、早く逃げなさいっ!」
「観念しろ!魔物!」
「正義の剣が、貴様を討つ!」
「……違う」
「え」
「違う、違う。貴方、貴方達、何?」
「「「「「五戦士団!」」」」」
「それはいいから。貴方は?」
「聖戦士!」
「貴方は?」
「聖戦士!」
「五人揃って――」
「「「「「五戦士団!」」」」」
「待ちなさいって!おかしいでしょ!何で聖戦士が二人もいるのよ!パーティバランス悪すぎるわよ!」
「戦士!」
「戦士……ん、戦士ね。貴方は?」
「戦士!」
「貴方は?」
「戦士!」
「五人揃って――」
「「「「「五戦士団!」」」」」
「違う、違う違う――!」
「――ちっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁう!」
――――――
「……これは酷い」
……以上、麻婆ラーメンなる亜種を作ってみた私の脳内に浮かんだ映像でした。混ざらない……調和を描けない。それぞれがそれぞれ自己主張し合っているだけだ。
液体スープがラーメンの特徴だし、炒めてもいない麺ではただ乗っけるだけじゃ麻婆の餡に絡むわけでもないし、そもそも山椒の風味がここではマイナスに働いているし……まだ一工夫必要か。
にしてもジパング人は凄いわねぇ、とは思う。何しろ、大陸では組み合わせようと思わない代物を組み合わせたりするもの。そばめしパンに関しては他の島に先駆者の位置は取られたみたいだけどね。炭水化物の三乗。カロリーがさぞ凄い事になっているでしょうね……。
あ、それと規律風姫のお姉さんから手紙がなんでか知らないけど置いてあるわ。どれどれ……。
『貴女が手を下した"ブーモー"という料理店、店員の一部が貴女に対して痛い目に遭わせたいとの事で私の元に出向いたので、躾がなっていないと【教育的指導】致しました。貴女の指導力の甘さがあるのではないですか?一度何をどのように指導したか教えていただきたいのですが』
「……」
あ、オワタ。手紙がここにある時点で分かっていたけど、既に背中には姉の気配があるわ。何でこの日この時間に家にいるのよ。連日吸血鬼伯の令嬢のために作法を教えてたんじゃないの?行く前に大量に欲しいと言われたアンデッドハイイロナゲキダケを割と多めに売ったから当分帰ってこないと踏んでいたんだけどっ!
「……はぁ」
しゃあない。お叱り一つくらいは覚悟しましょうか……そう、私は試作品等で汚れた調理場を掃除し、既に入り口に立ってその様子を視線鋭く眺めている姉に見せつけるように綺麗にしていったのだった……。
――――――
「……お叱り一つじゃ済まなかった件について」
雷三発食らったわ……。『教育が中途半端すぎる』ってあーた、御姉様が期待する教育係としての徹底ぶりは御姉様しか出来ませんてっつか寧ろやってたまるか!あの店の荒削りな味は評価しているのよ私は。定食屋で最高級ランクの肉を用いたフルコースでも出させるつもりなの?それは最早定食屋とは言えない。断じて言えない!
……まぁ、オーク連中がしでかしたことを考えれば『半端』という主張も分からんでもない。あの手の輩は私以上に御姉様は嫌うしね……そりゃ性格改変レベルで躾たくなるのも無理ないか。完全に、懲罰をけしかける相手を間違えたわね、いや、間違えてはいないけど自分を省みるべきだったわね、あの阿呆共……。
さて。そんな御姉様が立ち寄る度に胃薬を持参する領からお誘いが来ているけど、時間は間に合うかしら。腹時計は狂うから普通のジョン式腕時計を眺めてみると……おう、中々いい時間。一町探索出来るわね。
よし、ならば指定魔法陣起動して――!
「――せいりんでいっ!」
レッツゴー!
――――――
潮風に青い空。燦々と照りつける太陽は刃のように鋭い光を私たちに投げ掛ける。どんな色黒の魔物ですらさらにその色を濃くしてしまいそうなその光を浴びる場所は砂浜……じゃなくてカリバルナ王宮のテラス。前王、つまりこの国が反魔物国家だった時代に建てられたそれだけど、意外と美術の質は悪くなかった、ってのが前に来たときの感想ね。教会美術、とでも言うのかしら?それはそれで乙なものだと思うわ。
で、我が愛しの妹君が設定した座標はそのテラスに直接出られる部屋の片隅……と言うか客間。見つからないのは有り難いけど出られない、寧ろ出にくいのよね。
ロメリア名義で招待されたとはいえ、食べるときはナ
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