第一回 「図書館サバト」

 私は、今回の連載を始めるにあたり、まずは我が師にして、妻(いもうと)の魔女「コレクトラ」並びに開祖たる大ルーニャルーニャに、この場を借りて感謝を述べたい。

 彼女と出会ったのは、私が商店を初めてから5年経った初夏であった。商工ギルドに、「怪しげな勧誘を行う者に注意。魔女の仕業の可能性!」のお触れが来た、その日であった。

 魔女と言ってもかわいらしい、メガネにおさげの女の子の姿であった。彼女に、「学ぶに遅いも早いもないですよ。あなたがその気であれば」と言われ、奮起した。彼女が私の今を作ってくれた。

 さて、第一回の紹介サバトは、私とコレクトラが属す「ルーニャルーニャ・サバト」である。

 あなたも、「図書館サバト」という名くらいは聞いたことがあろう。

概要:ルーニャルーニャ・サバトは、多種多様なサバトの中でも、「魔法に関する知識・文字媒体」の研究と収集に特化している。

 コレクトラ曰く、「研究者という人種が集まれば、一人くらいは私たちの同胞がいるはずです」とのこと。実際、彼女は某自由都市の魔法研究所とサバトを掛け持ちしている。

 要は、「魔法の才能に関わらず魔法について興味がある」ないし、「魔法の使用に拘らずそれを学問的に学びたい」少女や魔法使い向けのサバトだ。

 我らが開祖、大ルーニャルーニャは魔法を使うことができなかった。これを読むあなた方が、例え「魔法を専門的に学んでいない」、「なんとなく難しそうと感じる」あるいは「魔法の才に恵まれない」者でもよい。

 重要なのは、「魔法への憧れと熱意」だけ。それがあれば、原稿用紙だろうが、ノートの切れ端だろうが、鼻紙だろうが研究と執筆は可能だ。我らの書庫には、一生を使おうが読み切れぬ書物の山があり、楽しい研究室や教室もある。大師匠の個人的な趣向から、質のいい寝具もある。

 最後に、愛しきコレクトラから、あなたへのメッセージで締めさせて欲しい。

 紹介文を読んで興味を持った皆さんへ

 私たちは、あなたを歓迎します。魔道は誰のためにも開かれています。昨今、「家が貧乏だから魔法を学べない」、「魔法研究は厳しい世界で入門が難しい」等と言われています。ですが、私たちは「魔法はかっこいい」「魔法使いになりたい」といった夢を持つ女の子とお兄さんを応援します。

 でも、一番大切なことは、「魔法ができるから魔法を学ぶんじゃない、魔法が好きだから魔法を知りたい」という気持ちです。それがあれば、もうあなたは仲間です。
25/06/10 15:47更新 / ズオテン

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