「よお!こんなとこに銭湯があるなんて知らなかったよ。いくらだい?」若い町人が、暖簾をくぐって開口一番、財布を取り出しながら値段を聞いた。
「おらいはけっこうれふ…」番頭が返事をした。珍しいこともあるもので、声色から察するに若い女であった。「なにロハなのかい?そんなバカなことあるめえよ。お前さんもおまんま食ってかなきゃならねえだろい?」町人は、悪い冗談と思ってまくし立てた。
「いえいえ…わらくひ、おまんまはちゃあんろ、らえらえてまふよ」「どういうカラクリでえ?アタシみてえに、どこぞの金持ちが道楽で風呂屋やってんのかい?それとも、香具師に騙され、借金のカタで商売天引きされてんのか?」「きになりまふか?」「そりゃおめえ…アタシも男だよ。女の子がひどい目にあってんじゃねえかと、気を揉んじまぁな。タダ風呂なんてよ」
「うふふ…ひんぱいひなくても、オニイサンのほうほうしれるようなめにあっれないよぉ」番頭は、「じゃあいいけどよ…後から、風呂桶代、湯水代、みてえに都度払わせるぼったくりするハラじゃねえよな?」「ほんなころひまへんよぉ」町人は怪訝な表情で、中に入った。
着流しを脱ぎ、褌姿で手拭いと風呂桶だけを持って、男は流し場に入った。中は、普段通う所よりは狭いが、新しいだけはあり小綺麗であった。身体を洗おうと椅子に座るところで、彼は声をかけられた。「おきゃくはまぁ、おへなかをおながひ、ひまひょうか?」またしても、若い女であった。
ジパングの公衆浴場には、しばしば「三助」ないし女版の「お三」という下男や下女がいた。彼らは、番頭の下で雑用をしたり、脱ぎ捨てられた着物を戻したり、風呂釜の火番をするのだ。最たるサービスは、客の背中を流すこと。つまり、彼女はお三であるのだが…
「その声、おまえさん、番頭かい?!」「へえ、わらくひ、ばんろうとおはんをかねれおりまふ…」「まあ、手間賃は浮くだろうがよ、他に客が来たらどうすんでえ?」「いいえ…おきゃくはまひか、きょうはきまへんよ…」
「そりゃ、どういう…」男は、思わず振り返った。「む…」お三や三助は、熱い流し場で作業する都合上、薄着であることが多い。また、それぞれ男女問わず密着せざるを得ないため、「間違い」が起こることもあるそうな。この男、「加兵衛」は銭湯好きだが、そっちも相応で、目の保養にしていた。しかし…
女は薄着で、既に湯気で濡れ、ぴったりと張り付き、その瑞々しい肢体を容易く想像させた。顔は、湯気で火照り、なんともなまめかしい美貌を見せた。だが、その舌はあり得ないほど長かった。優に、二尺はあろうか。
「なるほど…カラクリは姉ちゃんがあやかしだってぇことだったのか」「へえ、あんまり、おろろいれないれすねぇ」「内心、びくっと来てけどよぉ…それでも、こんな上玉なら、食われても本望でい…」彼は、虚勢半分、本音半分で答えた。「ひんぱいひなくても、わらくひはおきゃくらまをろっれくっらりひまへんよぉ」あやかしは、彼の背中を手拭いでゆっくり擦り始めた。
「じゃあ、何を『おまんま』にしてるんでい…」女は、長い舌で腫れぼったい唇を舐めた。「ほらぁ、わらくひあかなめなのれ、おきゃくらまのあかを…おへなかをあらうるいれに」あかなめは、その舌を肩から首まで沿わした。生暖かい吐息と粘液が、加兵衛に刺激をもたらす。「くぅ…垢?そんなんで腹が膨れんのかい?」「へいかくには、あかにこびりつくへいをいららいれまふ…」あやかしは、説明している間も手を止めなかった。
「『へい』ってえのは?」「ほれはぁ…」あかなめの声に、粘っこい熱が篭った。熱心に背中を流す手の片方を、褌や下腹部に手を添わした。「ここらへんのあかに、ろくにいっひょにるいれますぅ」「うぅ…」彼女は、褌の下まで手を這わした。それによって、加兵衛の血流と心拍が上がっていった。
「まら、ほこはろっれおきますぅ…まふはぁ」「あああっ
…」あかなめは、背中に浮き出てきた、垢を綺麗に舐めとった。下が、背中の筋や骨身に沿い、まるで蛇のようにのたうった。それだけで、加兵衛は快感を禁じ得なかった。
「うふふ。おきゃくらま、けっこうきれいふきみらいれふが、まらまらへんへんのこっれますよぉ」「うぅ、アタシ、これでも一月に四十は風呂屋にかよって、隅々まで洗ってるのにまだあんだねぇ…」「にんげんは、らからわらくひらりにろっれごりほうなんれすぅ」「へっ、あんたに言われるとなんだか悪い気がしねぇな…」「まらまらこんなものひゃないれふよぉ」「あああっ…」あかなめは、間髪いれずに、腕を、脚を、指の間を舐め始めた。
関節という、関節を丹念に舐めとり、身体の先端という先端を丁寧に舐め回した。「くぅ…」「うふふ
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#65039;」肝心の一点を避けつつ、耳を、腋を、乳首を舐めていく
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