ハマッコ・マールーは、アビ・インフェルノ・ジゴクと化していた。
数十人の企業兵が、装甲服に身を包み、住民を襲撃・捕獲していた。「「「アイエエエ!」」」老若男女の区別なく、高圧スタン・ジュッテやネット・ガンにより地に伏せていく。
その時、KABOOOM!何らかの飛翔体が一つの小隊に直撃した。「「「アバーッ!」」」吹き飛び宙に飛ばされる兵士達!土ぼこりを上げる戦場に、7フィートほどの人型の集団が現れた。「ドォウン!ドォウン!」」」企業兵たちは、すぐさま体勢を立て直し、ハンドサインと無線で乱入者を囲んだ。
「「「ミナサン ノ アンゼン ハ ハチマン・ロボティクス ト ユエワン・アームズ ガ マモリマス」」」ガシャガシャとロボットダンスめいて歩を進めるのは、ハマサキの誇る警備ロボット「HR-YAX6:監護人」であった。BRATATAT!敵兵の制圧射撃にも動じず、機械兵士は一歩一歩包囲に進んでいった。
「「「テイコウ ハ ムダ デス。トウコウ ヲ ウケツケマス」」」それらは、敵に投降を謳いながら、その右腕に固定されたグレネードランチャーを既に装填していた。欺瞞!腕部や脚部の機構が動く度、半透明のチューブが見え隠れし、中を通る何らかの薄桃色の液体が発光していた。
「バオチュイン!バオチュインシュージー!」隊長格と思われる兵士が、射撃命令を出し続けていた。「「「シミン ヒナン カクニン」」」独特の発射音が聞こえ、榴弾が放物線を描いた。KABOOOM!「「「アバーッ!」」」
その騒乱の最中、露店の主人のワンや花屋のリンファ達は、植物めいた女性や動物じみた毛皮の少女と共に路地にて身を潜めていた。「大丈夫…きっと治安維持部隊がかけつけるから…」女主人は、すすり泣く少女を撫でながら、自分に言い聞かせるように言った。
「クソッ!こんな時、ダーレンがいてくれたら…」ワンは、友人でもあった拳法家を思い出し現状を呪った。『イヤーッ!』SLAAASH!何らかの叫び声が聞こえたかと思えば、大通りの戦闘音が消えた。「「「…?」」」その場にいた全員が訝しみ耳を澄ませた。
「全員やられたのか?…治安部隊が…」その時、ワンの近くの壁が煙を出して溶け始めた。「「「アイエエエ!?」」」いったい何が?『…コーシュコー。こんなところにまだ残っていたのか』壁に空いた穴から、くぐもった冷徹な声が聞こえた。一瞬後、『イヤーッ!』柔らかくなった壁が鋭利な刃に寄り切りぬかれた。
「な、なんだおまえは!?」露店の主人は驚愕した。上半身が、黒い金属質の鎧に包まれ、下半身はキチン質の有機的な多脚の異形がそこにいた。『コーシュコー!ドーモ。タイドブリンガーです』重装甲の戦闘員が、シオマネキめいたハサミを威圧的に誇示しながらオジギした。
「こ、子供は見逃して!」リンファは毛皮の少女を強く抱きしめ、庇った。『これは異なこと。我が社はミュータント研究のため、サンプルを収集している。むしろ、幼体の捕獲は優先事項ですらある』カニめいた異形は、バイザー部分を光らせ、淡々と説明した。それは、左腕の小さなハサミをカチカチと鳴らし、周辺から兵士を呼び出した。
彼らは一様に、黒いメタリックなアーマーを着込んでいた。フルフェイスヘルメットには、中国の武将の羽根飾りの様なアンテナがあり、その厚みと重量のあるアーマーは猫背気味になっていた。関節部分はバイオ・ミメティクスにより、タイドブリンガーの脚部と同じようになっている。全体的には、フナムシのようなシルエットであった。
「隊長!この者らも?」『然り。傷つけるなよ』「ジーダオラ!」兵士達は、ネットを装填して発射体制に入った。「「「アイエエエ!」」」もはや彼らは実験体として運び去られる運命なのか!?「ハイヤーッ!」「グワーッ!」その時、一陣の風が吹き荒れ、ネット・ガンを構えた兵士が倒れた!「シェンマ!?」「イーチャン!」
「お、お前は…シャオグーなのか!?」ワンは乱入者に見覚えがあった。その者は、年齢にしては小柄ながら、張り詰めた戦意が背中から吹き出し、まるで蒸気のようにその姿を歪めた。「よくわからんが、貴様も拘束する!」兵士の一人が、スタン・ジュッテを地面に打ち付け、そのままえぐるようにスイングした!「ウケテミロ!」シャオグーは、基本姿勢を取ったままその場を動かなかった。「アブナイ!」「アイエエエ!」周囲から悲鳴が上がった。
「ハイッ!」「な…」彼は左腕でジュッテを握る兵士の腕を掴み取った。そのまま、体幹を軸に右足を踏みこみ、身体が半回転した。「なにをする…」「ハイーッ!」「グワーッ!」少年は両手を握手するように合わせ、一本のボーと化した両腕で肘打ちした。最初の接触では体勢が崩れるだけだが、その後何らかのオーラの様なものがインパクトを加速させ
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