確かに、ケンタウロスではあるが…

今日は、金曜日で更に25日、つまり給料日だ。しかし、親しい友人は旅行に、同僚との飲み会は先週やったばっかり、予定もあるようだ。彼女はいない。せっかく金が入ったし、奮発してデリへルでも頼んでみるか…

いくつか、ポストに入っていたチラシを見比べてみる。ハニービーは、汗までも芳醇な蜂蜜の香りがするが、今回は気分じゃない。ホルスタウロスは、包容力の高い嬢が揃っているが、たまには違うテイストもいいかな。

ワードッグやワーキャットとかの、獣人系は色んな種類が選り取りみどりだが、呼ぶと毛の処理が大変だし。マーメイドは、風呂が狭いから無理か、それはそれで乙かもしれないが。そんなことを考え、あーでもないこーでもないと比較する。

その時、一つのチラシが目に入った。「ケンタウロス種専門店」だった。ケンタウロス種は、多分ハーピー種に次いでバリエーション豊かだと思われる魔物達だ。普段と違うプレイをやるなら確かに一考の余地があるな。あと、アソコの位置が違う魔物とヤッたことなかったし。全体的に筋肉質、アスリート系の体格の娘がいるようだ。たまにはいいかも。

早速、チラシの番号に電話をかけた。直ぐに繋がった。説明も分かりやすいし、料金もまあ給料日ならケチケチすることないしと、ほぼ即決した。30分位で来るらしい。年甲斐もなく、かなりワクワクする。ある意味この瞬間が一番楽しいかもしれない。

一番一般的なケンタウロスであっても、ワードッグ、クーシー、ワーキャット、ケットシー等がそれぞれ犬種、猫種で毛並みやプレイが変わるように、馬種が違うとかなり差があるみたいだ。デストリエとかの大柄な娘からポニーの合法ロリまで結構揃ってるらしい。もしかしたら、運良く神秘的なユニコーン、奔放なバイコーン、シャイなナイトメア、今流行りの清純なケルピー、そんな特殊な嬢が来るかもしれない。

そんなことを考えていたら、ピンポーン。あっという間だった。インターホンに足早に向かう。「はーい。どちら様ですか?」一応、確認してみる。「コンバンハ。コチラ、阿蘭隅司サンノイエデスカ?」阿蘭…確かに自分の名前だ。「はい、間違いありません!」興奮に声が上ずってしまった。「デハ!本日ハワタクシドモノサービスヲゴ利用イタダキアリガトウゴザイマス!」どうやら、嬢が来たらしい。早速、開けなければ!

ガチャ。徐々に扉が開くにつれ、声の主の姿が見えてきた。下半身は真っ黒な毛皮であった。蹄は、接客業の常か、よく磨かれペディキュア、いや松脂が塗られていた。初夏にふさわしい、エメラルドグリーンの涼やかな色合いだ。太ももはケンタウロス種のあのがっしりした肉付きで、見るだけですでに股間が熱くなってくる。

そのまま上に目線を写すと、馬としての肩や胸筋の部分が見えてきた。よく考えると、彼女らは常に下半身(馬部分は上半身も含むけど)丸出しなのだ。そう思うだけで鼓動が更に早まった。いよいよ、馬の首と人間の腰辺りに来た。だが、ここで違和感に気づいた。

彼女の人間の肌がどす黒いのだ。というか保健の教科書とか解剖断面図とかの、筋繊維(実際に見たことないけど)のそれみたいだった。手先も見えるが、コチラも爪以外が剥ぎ取られたようで、脈打つ血管が赤黒く輝いていた。チェンジするという考えが脳裏に浮かんだ。「ン?イカガナサイマシタ?」彼女の声にハッとした。カタコトだが、声はよく通るハスキーボイスで嫌いじゃない。顔を見てから考えるか…

意を決して、顔を見た。濡れ烏の黒髪が首までの長さになっている。色艶もいい。でもやっぱり皮膚がないし、唇がないから歯を食い縛ったように見える。何より目を引くのが、紅の眼球が真ん中に一つあるだけだった。はて、店を間違えたかな?「オ客様?ナニカ粗相シマシタ?」でも、声は好き。チラシを持ってきて聞いてみた。「確カニコレハウチノチラシデス」店は間違えてない…一応電話してみるか。

『彼女はナックラヴィ−と言いまして、西の大陸のさらに西の端にある島のケンタウロスの一種です…』どうやら、ケンタウロス種ではあるらしい。「ワタシ、カワイクナイデスカ…」視線を落として、もじもじと身をくねるのがまたいじらしい…まあ別に嘘つかれた訳じゃないし、声と仕草が可愛らしいからいいか。

皮膚がないのにしても、アンデッド的な感じだと思えばイケるし、単眼でもサイクロプスとかいるしな。気にしてないと伝えよう。「本当デスカ?!アリガトウ!」うん、チェンジはやめよう。せっかく知らない種族なので、色々質問してみようか。

お姉さんのお名前は?「ワタシノ名前、ニーナ・オドネルデス」ナックラヴィーの特徴は?「前足見テ…」馬部分の前足をよく見ると、水かきが付いていた。「コレ使ッテ、ドッグパドリング(犬かき)、ホースパドリング?トニカク、水ヲ泳ギマス」魔法
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