「本当に、ヤレば見逃していただけるんですか…」長髪をヘアバンドでまとめ、無精髭の青年は、角刈りのヤクザに質問した。相手は、額の青筋に怒気を張り詰めていた。「ウン?アア、俺を楽しませれば、命乞いを聞いてやるよ」ヤクザは、鋭い目つきで返答した。
青年は、数秒の間うつむいて逡巡した。チラチラと、ブルーシートの上で全裸になった女の死体と、アロハシャツのヤクザを交互に見た。ヤクザは、時間が経過するごとにその苛立ちを強めた。(ヤルしかないか…)彼は意を決して、ブルーシートの上で死体に馬乗りになった。そして、震える手で高級そうなベルトを緩め始めた。
「アノ、タメヤス=サン…」「アッ!?」アロハシャツのヤクザは、後ろの舎弟に呼ばれて不機嫌そうに振り返った。「スンマセン!で、ですが、その本当に…コイツと…その…死体を?」「オレが、決定を曲げたこと、あったか?」「イイエ…」ソフトモヒカンの舎弟は、タメヤスの言葉に気圧され、それ以上は口を開かなかった。
そんな問答を背に、青年はスラックスを脱いだ。彼は、改めて死体を見た。右目はなくなり、うつろな左目は虚空を見ていた。首には痛ましい縊痕が見て取れ、その他の外傷も夥しい数である。(とてもじゃないが、そんな気分に離れませんね…)当然である、いくらマッポーのニュートキオと言えど、死体を辱めるような趣味の者は希少と言えた。
「フワーア。オイオイ、このままじゃ日が明けちまうぜ…」タメヤスは、青年の後頭部に銃口を押し付けて、大げさに欠伸をしていった。「…」長髪の男は、死体の両ひざを持ち上げ開いた。体温はとうに消え去り、張りが無くブヨブヨとしたイヤな感触がした。「ホーオ…良かったじゃねえか?エ?死ぬ前に、見てくれが良くて、アソコもマアマアキレイなコとヤレて…」角刈りヤクザは下脾た笑みを浮かべて青年に後ろから話しかけた。
実際、死体にしては〈彼女〉の女陰は綺麗に見えた。女性経験の少ない青年にも、生前は美人であったことが窺い知れた。そして、青年は下着から自分の分身を取り出した。衆人環視、しかもヤクザに見られた状態で、死体を相手にするという状況、彼のペニスは頭と同様にうなだれていた。
彼は、白衣のポケットに入ったシリンジを一つ取り出して、腕に無造作に注射した。「アーイイ、遥かにいい…」ニューロンが冴え、全身に血が巡る感覚がする。それに合わせて、股間のソレも徐々に硬さを得ていった。(研修医、それより前の大学での講習のとき、不適正な使用法で習いましたっけ…)薬物による副作用化、はたまたこれから殺されることへのニューロンの損傷か、彼の脳裏にはここまでの経緯が去来した。
青年は両手の親指を使い、〈彼女〉の入り口を開いた。死体を解剖したときを思い出す。梃子のように片方の親指で開いたそこへ、無理やり起たせたモノをあてがった。研修医時代のもろもろの人間関係を想起した。「…ウウッ」緩くなった膣壁を男性器で広げていく。まったく生気を感じさせない、生肉の感触と温かみのない股間への抱擁は、初めて人体にメスを入れた日を思い出させた。
「オイオイ、ヘタクソかよ?キスぐれェしてやれ!」「グムッ!」もたつく青年にしびれを切らしたタメヤスは、彼の頭を掴み死体の顔に押し付けた。死体と目が合った…(エ?)それは幻覚だろうか?白目をむいていたその左目が、かすかに青年と焦点が合ったような気がした。青年は必死になって腰を振った。その度に、死体の目がこちらを凝視する感覚に陥った。その頬が紅潮しているように見えた。
(許してください…許してください!)青年は心の中で繰り返し謝罪した。女の死体にであり、これまで解剖し、内臓を抜き取り、サイバネを取り出した、名も知らぬ肉塊達にであった。彼は、カチグミの次男坊であり、兄と同じように医者を目指した。研修医時代、医局と人間関係のトラブルでムラハチにあい、休職中に実家から勘当され、残ったのは奨学金だけの現状に途方に暮れた。
ハイスクールの同級生を名乗る男に奨学金返済のアテがあると言われた。『変な掛け軸を買えとは言わないでしょうね…』掛け軸を買わされはしなかったが、ヤクザのもとで、死体を処理することになった。返し忘れた研修医時代の白衣に袖を通して、ひたすら肉を捌いた。『内臓とサイバネは、上体が良ければよいほどカネになんだ。もっと丁寧にやれ!』早朝に廃工場に来て殴られ、休憩時間もなく、深夜にはアイサツ代わりに罵倒され帰宅。そんな毎日であった。
「…ゆる…して…」「…」青年の慟哭を知ってか知らずか、死体はただ彼を見つめた。長髪の男は、ただ腰を動かした。〈彼女〉の体温が戻っているかのような錯覚に陥り、しかし実際膣は熱を持ってのたくっていた。突く度に、標準的なバストは微かに揺れた。「ゆるして…ください…」「…」彼は薬
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