「エーッ!?今日は遊べなくなったって!?」『ごめんよ、ベニー。父さんがレモンパイの食べ過ぎで緊急入院だって!』ベンは、電話越しに親友のテリーからことのあらましを聞いた。「じゃ、じゃあ、ぼくもおじさんのお見舞いに行った方がいい?」『いや、今回は家族のみって…だから母さんと行かなきゃ…またね』「アッ、バイバイ…」電話が切れた
今日は親友のテリーの家で、TRPGのセッションをやりに行くはずだった。なんと言ってもあの名作、「ダンジョンズ
amp;デイティングス」ができるはずだった。このゲームは、プレイヤーがそれぞれ好みのモンスターガールの種族を選んで、プレイヤーキャラとして冒険したり、NPCとして口説いたりできるものだ。
ベンはとりあえず、公園のベンチに腰掛けた。今日の予定は完全に白紙だ…彼は、特に意味もなく周囲を見渡した。「待って、ジュディ!」犬と散歩する人、「今日は最高の天気だねー!」ピクニックしているらしい家族、「だから順番が違うと言うとるんじゃ、このイディオット!」ゲートボールに興じる老人達、特に興味深いものはなかった。
『安い!安い!実際安い!MAMOKAWAラノベ!ゴールデンセール2024!』『ワースゴーイ!』上空には空虚なセール品を宣伝するアドバルーン。「フン、本当に安くなってるんだかどうだか、信じないぞ!」ベンが不満そうに呟やいた、その時!「イヤーッ!」「アイエッ!?」突如目の前が塞がれる!
「だーれだ?♪」「エッ誰!?」ベンは突然、何者かの両手で視界が塞がれた。「おに〜さん♪誰だかわかるかな〜?」謎の人物の声は、思いの外高く、若い女性のものだと感ぜられた。(エッ!?本当に誰?)ベンには全く身に覚えがなかった。
「ぜ〜んぜん、わかんないって感じ?」声の主はわかりきった質問をした。「アッ、わかりません…」ベンの声は上ずっていた。「ふ〜ん?」謎の人物はクスクスと笑いながら相づちを打った。「じゃあさ、ヒント欲しい?」
「ヒント?」「そっ」(良かった、これで糸口が…)ベンにこの状況を打開する希望が…「欲しい?」「はいっ!」「ダーメ
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#65039;」来なかった。「…エッ」ベンは、思わず口を開いた。「だぁ〜ってぇ、それじゃあ、オ・シ・オ・キに、ならないよね
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#65039;」
「ウアッ!」謎の人物の声がより近くに聞こえた。ベンは、目隠しされていたためか、声の音や湿り気、温度に体を震わせた。(こ、これ以上は危険だ!)「ウワーッ!」「アッ!」ベンは拘束からなんとか脱出した。(こんな目に遭うなんて、ここまでされる謂れはない!)「アッ、ぼくに、な、何のようだッ!」心では威勢が良かったが、裏腹に声はおどおどしたものであった。
「それに、君はいった、い、何者…」ベンは、振り返り謎の人物に文句を言おうとした。しかし、その姿を見て、言葉に詰まった。まず、全身が不健康に青白い肌をしていた。その両目は真っ黒で瞳は赤く光っていた。髪は、ピッグテールズ(訳注:二つ結びか)にしており、その間からコウモリの羽らしきものが垣間見えた。
「何、何なんだ…」「お兄さん、どうしたの
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#65039;私のこと、食い入るように見つめて…」服装に関しては、ほとんど何も纏っていないに等しかった。チョーカーと蝶ネクタイを合わせた装飾品が、辛うじて胸元を隠していた。腕には、真っ黒なオペラグローブめいた長手袋をしていた。下半身は、ほぼ紐状のパンツとブーツを履くのみであった。
「悪魔、アイエエエ…」そして、腰から生えた皮膜のような翼、デビルである!「ドーモ。メイデプレッションです」悪魔はベンにオジギした。「ナンデ!?魔物娘なんてフィクションの存在じゃ…」「いいリアクション、ウケル!現実を受け入れなきゃ♪」
(焦るな…悪魔、デビルは隙を見せなければ、こちらをどうこうは…)読者の皆さんの中に、デモノロジーに造形が深い方がいれば、このベンの判断に同意したであろう。悪魔とは、契約を重んじる種族である。故に、力で劣る人間相手でも、条件が揃わなければ手出しはできないのだ!
「…ナ、ナンデぼくにこんな仕打ちを…」ベンは一旦相手の目的について尋ねた。「ナンデ?」メイデプレッションは、人差し指で顎を触り、大袈裟に首を傾けた。「決まってるよね〜?お兄さんが、広告にケチつけたから♪」(広告…?)
ベンはそこで気づいた。「MAMOKAWA…」「ビンゴ〜!お兄さんには景品として、マモゾンで今なら22%割引の「Monster Girl Encyclopedia vol.1」が買える権利あげちゃう!」「でも、ぼくは別に欲しく…」ベンは両手の平を見せて、購買意欲がないことを伝えた。
「ええ〜!?お兄さん、ホントにいらないの?」「ああ…そもそもぼくは
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