今日は、たまの休みだった。特に予定もなく、録画した番組を消化しようと思ったが、健康アプリからメールが来ていたのに気づいた。
文面は、昨日は、あまり運動ができていませんでしたね。今日は、昨日の分まで消費カロリーノルマを達成できるとよいですね!、だと。
疲れていたし、できればダラダラ過ごしたかったが、それだと余計ダルい感じが抜けないので、朝飯兼昼食後に近くの市民プールまで向かうことにした。「一緒に食う相手もいないし、カロリー的にも、夜はなくて良いかな…」そんなことをぼやきながら、外に出た。
スポーツ施設までの道すがら、並木通りはすっかり葉が落ちていた。だが、子供含めた家族連れ、カップル、休みなのにYシャツの者、色んな人々を見かける。中には、角や獣の尻尾、羽を生やした魔物もいた。
徒歩12分くらいで、目的地に到着した。受付の券売機に小銭を入れて、チケットを改札機に入れて入場した。受付のベンチには、いつもいる談笑する老人達がいた。
ロッカーで、持ってきた水着に着替え、自動シャワーゲートを通る。気分は無菌室か、ガソリンスタンドの洗車だ。プールサイドに出ると、人は少なかった。水中歩行コースに中高年と青肌の魔物(インストラクターか)、監視員、学生数人程度だった。
俺は、惰性で続けたメニューを始めた。まず、準備体操、25mをクロール、平泳ぎで3回ずつ、背泳ぎで1回。端っこのレーンをほぼ貸し切りできて、ちょっと気分が良かった。
クロール2回目でプールに入った時、左後ろで入水する音が聞こえた。隣レーンに誰か入ったらしい。俺は気にせず、泳ぎ始めた。
息継ぎ1回目では、特にそれらしき人影は見えなかった。2回目で隣の指先が視界に入った。3回目には、もう足の指だけだった。どちらも鋭利な爪と水かきが確認できた。水泳部か、プロか、とにかく素人目にも速かった。
4回目には、隣の人物は既にプールサイドに手をかけて、上がり始めていた。そして目に入ってきた。それは、背中の腰部分が開いた競泳水着であった。なんの変哲もないその背中が、しかし無性に気になった。
プールの向こう岸に着くと、その人物が丁度泳ぎ始めるところだった。水泳には詳しくないが、両腕を真っ直ぐ伸ばした体勢、ドルフィンキックのフォームが、とても綺麗だった。気がつくと、俺はプールサイドに棒立ちで眺めていた。監視員の視線が痛い。
俺は気を取り直して、また泳ぎ始めた。途中で隣のレーンを振り返れば、既に彼女はまたスタートしていた。直ぐに追い抜かされたが、今度はほぼ同時にゴールに到着したようだ。彼女が上がっていくのが見える。
近くで見ると、その開かれた背中の汗や水滴の濡れが扇情的に感ぜられた。見惚れてしまったのに気づき、いそいそと上がろうとすると、彼女の腰と目線が同じくらいになった。同時に、水着の食い込みを直そうとする瞬間を見てしまった。
いけないと思いつつ、彼女の尻を横目に見てしまう。競泳水着は、足が動きやすいような構造なのだろうが、晒された臀部の肉付きや太ももを目に焼き付けてしまった。
ピーッと、笛が鳴った。俺はそれで我に帰った。どうやら、プールの休憩時間らしい、監視員がプールのなかを点検し始めた。まだメニューが残ってるが、とりあえず時間を潰すためにサウナに向かった。
サウナは、こじんまりとして、無人だった。俺はサウナのベンチに腰掛け、うつむいて休んだ。脳裏には、さっきの食い込みや美麗なフォーム、異形の手足が再生された。
水かき、恐らくサハギンという種類の魔物だろう。あの泳ぎの速さ、何らかの選手でなくても、頷ける。同時に、ぱっくり開いた薄く筋肉のついた背中を思い出す。堰を切ったかのように、小柄だが肉付きのよい下半身を思い出してしまった。
邪念を払おうと、外に出ようと思ったが、違和感を覚えた。部屋内に人の気配がして、顔を上げると少女がいた。顔は、高校生くらいで、整った目鼻立ちだった。しかし何より、耳の辺りにエラがあるのが目についた。
だが、さらに視線を吸い寄せるものがあった。競泳水着と思っていた部分は、よく見ればほとんど厚みがなく、ぴっちり身体のラインを縁取っていた。小ぶりだが確かに谷間のある胸、少し筋肉質な脇腹やへそ周り、そしてV字に切り取られた鼠径部が艶かしく強調されていた。
「…」「あっ…」じろじろと見ていたから、相手と目があってしまった。彼女は、人2人分開けた隣にいた。「すみません…じろじろと失礼しました」そう言って、謝ると彼女もこくりと頷いた。窓から外を見れば、休憩時間はまだ3分もあった。気まずい沈黙が流れた。
「…」「…」邪なことを考え、あまつさえ、彼女に見咎められた以上、途中だがもうプールから出ようかと思い、俺は逃げるように
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