「優生学」、「優性と劣性」の混同がよく叫ばれるが、本当に間違っているのか?「素晴らしいものこそが生き残る」、これは確かに誤謬だ。実際は、因果が逆で「生き残ったものを素晴らしいと感じる(それ以外の価値観のものは生存しにくい)」のが真相だ。
では、「優性形質(子に受け継がれやすい)」と「優生(素晴らしいものだけが生き残る)」に違いはあるのだろうか?「顔が美しい者」は好かれる、そして子を遺しやすい。「力が強い者」はエサの獲得、同族の競争に有利で、子孫を持てる。ならば、母数が多い、それらは「優性」ではあるだろう。
誤解してはいけないのが、自然界の価値基準や神の定めた摂理かというところが断定できるものではない。我々は、結果だけを見て「美形」「逞しさ」という人間の感性を恣意的に当て嵌めている。
もっと言えば、「たまたま有利な特長」を後から「自然に選ばれた」と、精霊や神々、生態系(意思があればであるが)に確認を取らずに、「勝手に生き延びた」現象を「淘汰による選別」というシステムだと、我々が解釈しているに過ぎないのが問題なだけだ。「主神の意志」を自分の好きに解釈する恥ずべき連中の同類だ。
話が逸れたが、「魔物娘」が本当に人類よりも優位にあるのかについて、著者の意見としては、そうでもないと考える。まず、「オス個体の不在」が挙げられる。であれば、「生殖:reproduction(個体の再生産)」には、もはや我々人類が不可欠なのだ。
これは、男を求めるという話に留まらない。魔女とサバトを例に取れば、「新たな魔女=人間のメス個体の確保と拡大」であり、これも広義では生殖である。アンデッドやワーウルフを見れば、むしろ女を魔物にするのが、ある種正道とも言える。
著者は、愛しのコレクトラに捧げた身だが、魔王軍を客観的にみれば、「侵略的同化」、より意地悪に言えば「ジェノサイド(断種)」を行っていると言わざるを得ない。主神教団の主張も満更間違いではない。
では、我々(にんげん)が滅びるのか?生物学や純血主義の立場では、「インキュバスと魔物」だけになる世代はそう遠くない未来に実現し、生物種としては絶滅する。社会学的には、下の世代において、「男=インキュバス」で「女=魔物娘」として考えるので、「広義の人類」は存続する。法律や社会通念も、遠からずそちらに寄るので、文明として人間は存続する。
しかし、実は「魔物の方も人類に生殖を依存している」のも覆しがたい事実である。これらを踏まえて、「相利共生:魔物は子供ができ、人類は強靭で魔力に富むように進化する」と考えるか、「片利共生:人類の子供は生まれないが、魔物として生まれていく」なのか、「寄生:魔物は次世代の苗床を得た上、競争する人類を根本的に少子化にできる」とするか、後は、個々人がどう受け止めるかの領域であろう。
そう言う意味で、何故、悪魔の魔物を「過激派」と呼称するかお分かりいただけただろうか?そんなサバト、「クロフェルル・サバト」を紹介する。
概要:バフォメット全体で見ても、古く強大な「黒山羊」ことクロフェルル大姉の設立したサバト。兎に角、淫猥である。毎晩、魔女やファミリアと交渉する筆者から見ても、「背徳」を究めることへの畏怖を抱かざるを得ない。
魔女コレクトラ(以下、コレ):ええと…
魔女インケスティア(以下、インケス):すみません。こうしていないと、落ち着かなくて
刻印があまりに鮮やかな光を放つ。本来、理性が吹き飛ぶはずだが、彼女はむしろ平静である。その太ももをしとどに濡らしているにも関わらず。
ペルウェルトゥスおにいさん(以下、ペルウェ):まったく、人前でも君はイケない子だね。はっはっはっ!
好青年に見える。その股座の急角度と、装着する得体の知れない魔法具を除けば。
コレ:その…お二人は、苦しくないのですか…?
インケス:良いですか。いつでも臨戦態勢であるからこそ、ここぞと言うときに、えっちが出来ると思いますよね
コレ:えっ?何の話…
インケス:互いの「熱」を感じつつ、しない。それはもはや、二人が魂で繋がっていることですよね?
ペルウェ:そうさ。もはや、「賢者」であり続ける。実の兄妹が、互いに求めあうが、たまに休肝日、いや休姦日を作る。そうすると、熱意は研究意欲に昇華され、しかし思慕は二人の間に育まれる。
コレ:あ、はい
インケス:今夜は激しくなりそうです。
ペルウェ:まあ、今夜と言わず。三日三番は続くと思うけどね?はっはっはっ!
コレ:…
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