サティリノ夫婦のエレナとラノーはとある都市へ向かう。
その場所はこの前捕えた地上げ屋を収容させた商業都市ホルドである。
商業都市ホルドとは海岸都市で、同じスルネイ派の教会の管轄範囲内であり
貿易で経済が成り立つ都市なので性質は都市サリスバレーに似ている。
ただここにはもう一つの裏の顔がある。
それはあらゆる囚人を"社会奉仕"という名の強制労働を行わせて利益を出している。
2人はその収容所の中を歩き、応接室に入ると1人の老人がソファーに座っていた。
「サティリノ夫妻良く来られました、ソファーにお掛けになって下さい。」
と言われ、ソファーに腰を下ろす。老人はこの収容所の所長である。
「粗茶ですがどうぞ。」と隣にいるアヌビスの秘書が紅茶を2人の前に置く。
紅茶にしては少々香りが強く、エレナはそれを口に入れると紅茶の後味が口に残る。
「たしかに粗茶じゃの。わしならこれと同じ値でもっと良質な紅茶を作れるぞ。」
だがラノーは「まあ今日は紅茶の話をしに来たんじゃないんだからその辺でな。」
と一言入れる。
場は静寂になり、一定の沈黙状態になる。その沈黙状態を所長は先に破る。
「それでは、この前そちらの送りだした囚人の経過様子を報告しましょうかな。」
そう言うや秘書は資料としてまとめられた内容の紙を2人に渡す。
紙に書かれた内容は次の事が記載されている。
・今の所は反省の態度が見られず、社会奉仕の際はある程度の催眠をかけて行っている。
・部下達は既に刑罰の効果の予兆が現われているがリーダー格の男は変化なし。
・社会奉仕により生み出した利益は金貨にして136枚相当の額
※そのうちの金貨1枚で彼らの衣食を賄い、残りは町の予算に使われる。
「ほぅ、生み出した利益の内たった1%未満しか還元されてないとはのぅ。」
紙を見たエレナは皮肉そうにつぶやく。「それも彼らが実際に行った事を分からせる為の
一種のカリキュラムですので。」と言葉をかえす。
「とまぁ、彼らの様子はこんな所です。 それでは本題に入りましょうかな。」
この言葉にエレナは目線を所長に向ける。ラノーも同様に目線を向けると
「エレナ様、ラノー様、既に連れておりますが部屋に入れましょうか?」
と秘書は何かの確認をする。
「うむ、頼むのじゃ。」
さかのぼる事1時間前の事である。
軍服の看守と武装した兵が薄汚い石の廊下を歩くと一つの檻に立つ。
この日も周りの檻からは媚声と奇声、断末魔で響き渡り
看守の後ろではアマゾネスの女性が男に馬乗りで頬にビンタしながら腰を振っていた。
「囚人番号62888、本日を持って釈放だ。 支度しろ。」
看守が命令すると、囚人服を着たバフォメットの少女が支度をする。
彼女はマエル=アストルナ、エレナの妹である。
支度を終えたマエルは看守と兵の間に並び、収容所の出口へ向かう。
奥まで歩くと鉄格子と2人の兵が監視しており、看守が「開けろ」と言うと
兵は慎重に鉄格子を開けた。
鉄格子の先へ歩くと薄暗かった石の廊下とは対照的に
床にはカーペットが敷かれ、壁も色の鮮やかなレンガで出来た空間だった。
「今より囚人ではなく個人の名で呼ぶがまだ自由ではないぞ、マエル=アストルナ。」
そう言って、看守は出口とは違う方向へ誘導して歩かせる。
歩いた先に木製の両開きの扉にたどり着き、扉の上の標識には応接室と書かれていた。
エレナが顔をそのままに頼むと、部屋の入口が開かれる。そこから扉を開いた看守と
妹のマエル、兵が部屋に入り扉を閉じる。「所長、連れて来ました!」
と看守が声をかけると「うむ、御苦労。」と所長は声をかける。
「愚妹よ、気分はどうじゃ?」と顔を向けずに様子をうかがう。しかし反抗的な態度は
見られず、さきほどからずっと黙ったままでいる。彼女の立場からしてみれば
この収容所に送り込んだ張本人が目の前にいるのにじっとしていられるわけがない。
「そうかそうか、よほどココでの刑罰が堪えたんじゃな。」
この言葉にカチンと来たのか顔に睨みが入り呟いた。
「・・・本当なら今すぐ暴れたいがの。この呪いのせいで・・・無理じゃ。」
そう、彼女の様に特別に身体能力・魔力を持つ囚人には能力に制限や封印をかける
呪いやタトゥーを施されて本来の半分以下すら発揮できなくさせている。
そしてまだそれを解除されていない、なぜなら―――。
「そりゃあそうじゃ。
愚妹には当分の間こっちの方でも社会奉仕をしてもらうのじゃからな。」
「もういやなのじゃぁあああーーーーー!!!!!!!
見ず知らずの野郎なんかと誰が好き好んで股を開けるのじゃーーーー!!!!」
つまりこういう事であった。
2人と妹は収容所を出て、同じ瞬間移動魔法でサリスバレーに戻るのであった。
ラノーは一度教
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