「さてっ」
その場でくるりと回転し、呆気にとられて尻餅をついた姿勢のままで固まっていた青年の方を向いて彼女は微笑んだ。そこに先程まで纏っていた相対した相手を圧倒するような雰囲気は無く…
「彼らは…何処へ行ったのですか?」
青年がそう尋ねた直後、ふと彼は腹の上に重みを感じる。気付くと彼女は再び自分に跨がり、その上半身を優しく横たえようとしていた。そしてあっという間に邪魔が入る前の状況が再現されてしまう。
「貴方がこれから行くところですよ♪」
(…ああ、あの世か。)
「さっきの言葉…いまさら無かった事にはしないですよね…?ね!?」
「あ…はい。」
追手は居なくなってしまったが、元はと言えば自分が言い出した事である。彼は大人しく彼女の餌となる覚悟を決めた。
「良かったぁ♪あ、そういえば私としたことがまだお名前を伺っておりませんでしたわ!申し遅れました、私はシエラと申します。貴方の事は何とお呼びすれば?」
(この魔物は食べた人間のの名を覚えておいてくれるのだろうか?)もしそうならばそれはとても嬉しいことだと彼は思い…
「ハンスと…いいます。」自身の名を告げた。
「ハンスさん…、それでは早速…」
そう言って彼女は上体を移動させ顔をハンスのそれに近付ける。こころなしかその頬は上気し、表情はずっとお預けを食らっていてようやくお許しが出たところの獣のそれを…実際その通りの状況なのだが…感じさせた。
「…できればあまり苦しまない様にしてもらえると嬉しいです。」
彼女の気迫に気圧されたのか青年の口からそんな言葉が漏れる。
「ご、ごめんなさい!手加減出来そうに無いです!!(ハァハァ)」(ぇー…)「でもそのうちきっと気持ち良くなりますから…」(…そういえば草食動物は捕食される際に恍惚を感じると聞いたことがあるが人間もそうなのだろうか?)
…などとやけに冷静な頭で考えているうちに
「いただきます。」
上からそんな言葉降ってくると同時にその口を彼女の唇が塞いだ。
「ん゛ーーーーーッ!!!?」
彼は突然の事に目を白黒させてジタバタともがくが、いつの間にか身体を密着させて彼にしがみついていたシエラの腕がそれを許さない。そうこうするうちに彼の口内に侵入してきた彼女の長い舌が彼のそれを絡めとり、巻き付き、そのまま上顎を内側から擽り始めると、次第に彼の体から力が抜けていく。
青年が抵抗しなくなった事に気を良くした彼女は、さらに執拗に彼の口内を蹂躙すると彼を抱き締める腕に力を込め、彼の胸に押し付けた自身の豊満なそれを擦り付ける様に動かすことでじんわりとした快楽を楽しんでいた。
自身の口内で縦横無尽に動き回る舌と、同時に流し込まれる魔物の甘い唾液によって、青年の思考は強制的に蕩かされてゆく…。
「…んぷはぁ!!」
時折息継ぎをしながらたっぷり15分ほどかけて青年の口内を味わったシエラはようやく彼の口を解放する。その顔は淫靡に染まり、唾液を通して多少精を補給したのだろうか…どこか恍惚とした雰囲気を漂わせていた。
…片や15分に渡って蹂躙され続けた青年はと言うと…
「…あ…ぅ……」
まるで暴行を受けた後の少女の如き様相を呈していた…。唇の端から伝うどちらのものとも知れない液体が何とも憐憫を誘う。
「はふぅ…、おいしいです…。ではそろそろメインディッシュをば…♪」
うっとりとした表情でそう言ってペロリと唇から垂れた唾液の残滓を舐めとると彼女は青年のズボンに手を伸ばした。そのまま流れるような手つきでベルトを外しズボンを下ろす。露にされた下着はその下にあるモノによって突き上げられており、先程の行為で彼も感じていたのか或いは軽く漏らしてしまったのか、その盛り上がりの頂点は既に濡れて変色していた。そして最後の障壁を取り去ろうと彼女の手が下着の紐に触れたところでそれまで放心していた青年が意識を覚醒させる。
「ちょ、ちょっと待って下さい!?」
青年は慌てた。彼女は自分を食べると言ったのだ。死ぬ覚悟をしておいて何だかひとりの男性として『そこ』から噛じられるのは勘弁して頂きたかった。
同時に疑問も生まれていた。先程の口づけ…確かに自分は一方的に貪られた訳だが、その中にも自分に対する気遣いというか、もっと言えば愛情のようなものを感じたのだ。勿論自分の単なる思い込みかもしれない。しかし、これがこれから殺す相手に向ける感情だろうか…魔物の、餌に対する認識の一般論など知る由もない。しかし尋ねずにはいられなかった。
「あの、貴女は…魔物は人間の肉を食べるんですよね?」
「え?私は肉なんて食べませんよ。私たちの主食は人間の精なので…、
…あ。」きょとんとした表情で彼女は答える、青年が一瞬思い浮かべた恐ろしいイメージですっかり縮こまってしまった股の間を下着越しに優しく撫でながら…。しか
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