君の胸は。

その時、城内に電撃走る……。

窓の外には稲妻が走り、雷光によって室内が明滅している。
「フ、ふふふふ。ついにヤりました。やってしまいました……」
そこにいたのは、胸を見事に実らせたワイト。魅惑の果実が弾けるように揺れる。
玲瓏な美貌は凄絶に。両手の隙間から、淫らに蕩けた笑みが覗いている。
稲光の度に、見事な肢体が闇の中に浮かび上がる。彼女の下には、精を注いでグッタリとした領主の姿。
彼女は自らの膣で肉棒をもう一度締め付けた。グゥ、というくぐもった声と共に、領主の肉棒から最後の一滴が吐き出される。
彼女はピクリと体を震わせて、それを膣から吸収する。そうして彼の腰の上から退く。

彼女は領主の様子を見てクスリと笑う。
「お薬で戻すのは、まだ後にしておきましょう。こんなチャンス。そうそうありません」
そう言ってクローゼットを開ける。中には豪奢でありながら、可憐な花のようにーーではなく、静謐な夜のように美しい衣装がいくつも収められていた。領主の妻、不死者の女王ワイトであるモーリーの衣装。そのうちの青いドレスを手に取る。
昼空に星が瞬けば、かくあるだろうという……青地の布には細かな宝石の煌きが散りばめられている。

「ついにこの時が来ましたね……」
不死者の女王にふさわしい衣装に包まれて、傲慢なまでに主張する胸を一層張る。感慨深そうな言葉と共に、彼女は廊下に足を踏み出した。




「あれ、モーリー様。どうかされたのですか? ……!!?」
廊下で出会ったデュラハンが、彼女の胸を見て絶句している。それは死者が蘇ろうが、天地がひっくり返ろうが、主神と魔王が百合百合になろうが……。
起こりえないはずの奇跡。あり得ないこと。ーーー否、あり得てはいけないこと。
アイデンティティの崩壊とも言えるソレ。膨らんだどころか、そのまま破裂してしまいそうなほど見事な大きさの胸、おっぱい。
彼女のひんぬーをネタにすることで、何度無駄な精液が流されたことかーー。
(注:嘘です。流された精液は、その都度スタッフが美味しくいただきました。)

「モーリー様の胸がでっかくなっちゃたーー!?」
デュラハンの叫びが、城内にこだまする。
その声を聞きつけて、ドヤドヤと集まってくる部下のスケルトンたち。
「どしたんすか〜? 今、あり得ない言葉が聞こえた気がしたんすけど〜。デッカくなるのはウチらの態度だけっすよ」
「ついに、おかしくなった? 首の接続不良か。油刺さないと……」
「ファイヤーの準備はミーに任せてネ〜」

「態度がデカい自覚があるなら自重しろ!
「私の首に油なんて刺そうとするんじゃない!
「そして、堂々と私を殺す計画を立てるんじゃない!」
デュラハンが律儀に三段突きをかます。

「「「ご苦労様です!」」」
「お前らのお守りは私の業務に含まれていないッ!」
ハァハァ、と肩で息をするデュラハンに、クスクスという笑い声が届く。

「お見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ありませんでした」
デュラハンは彼女に頭を下げる。チョーカーのおかげで頭は落ちない。
「いいえ、いつも通り仲が良くて、いいことです」
「ですが、そのーー」
「お前のオッパイはまな板だったはずだ。そんなことをデュラハンに言えるはずはなくーー」
「オイぃぃ! 勝手に私にナレーションをつけるんじゃない。そんな本当のことを言ってしまえば、私が殺されてしまう」
「大丈夫っす。体は私たちが守ります」
「頭も守ってくれ!?」
そのやり取りに、やはりクスクスという笑い声が届く。

おかしい。デュラハンは訝しがる。まさか胸が大きくなって、器まで大きくなったとでもいうのか……。不死者の女王は、そんなデュラハンの頭を取って抱きしめる。
「も、モーリー様?」
デュラハンは、目を白黒させる。
「どうですか? 本物でしょう。誰かの胸をもいでくっつけていることなんてありませんよ」

恐ろしい物言いだが、以前、バストアップのためにスケルトンたちの肋骨を狩って回るという、肋骨大戦争を引き起こしたモーリーならばやりかねない。その時は、数本集めて歪な形になった胸を見て、モーリーはソッとスケルトンたちに肋骨を返したのであった。
「確かに。継ぎ目もありませんし……」
間近で彼女の胸を見たデュラハンが感心したように言う。本当に魔法のようだ。今まで、どんな魔法ですらそのまな板を膨らませることが出来なかったと言うのに……。今になって、奇跡が起こったのか。それとも、これが愛の力なのか。

彼女の豊かな胸に頭を包み込まれたデュラハンは、いくら美しかろうとも熱を宿さないワイトである彼女から、まるでポカポカと包み込まれるような暖かさを感じた。
体全体を包み込むような、神々しささえある圧倒的な抱擁感。全てを投げ出して、身を委ねたくなるような。
これがーー、
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