33.キョニューの特選隊

キョニュー特選隊のお仕事は、別の読み切りでやってるよ。
そっちで書いているから、割愛するよ
#9825;
手抜きなワケじゃないんだから、ネッ!



「なぁデイ……、トリンバルよ。どうして明らかにサクラらしき奴がいるんだ?」
「それは、言ってはいけないお約束ごとです。マーラさん」
キョニュー特選隊に入ることになったカーラ改めマーラは、ダークスライムのデイジー改めトリンバルに話しかけていた。
キョニュー特選隊に新しくカースドソードのカーラが入隊すると報告すると、エレンは即「じゃ、マーラで」と答えたのだった。
彼女は、カーラがカースドソードとして現れたという報告に驚く様子も見せなかった。それに、ケルンと駄馬……、名前なんだったっけ? ああ、ビクトリア、がエレンの屋敷で働くことも、即「オッケー」であった。
カーラはまだエレンとは直接会ってはいない。

街の治安維持部隊への入隊も、屋敷の使用人の選出もそんないい加減なものでいいのか……。
そんな言葉をメイ改めキョニューはグッと飲み込んで、街のパトロールに出かけて行ったのだった。

街には相変わらず子供たちしかいない。そのどれもが楽しそうな顔をして、それぞれの時間を過ごしている。時折、メイに気付いたものたちが朗らかに挨拶してくれる。
リリラウネの蜜をふんだんに使用したクレープ。それを食べているハニービーにカーラは目をやる。美味しそうだ。後で、ブレイブくんと食べにこよう、その様子を想像して頬をニヤけさせる。

そして、そんな街の様子を見たカーラは、領主を変える必要はないのでは? とも思う。
メイも街の人々と話す時は、楽しそうな様子だ。自分の故郷エルタニンは、反魔物国家であり、勇者を多数抱えて防備は万全であった。
それはカーラが自分の手で叩き潰したのではあるが……。
しかし、エルタニンの人々が幸せな様子であったと言われると疑問だ。当然貧富の差はあったし、いつも外敵に晒される戦闘状態であったことも間違いがない。

それがーー、ここでは皆が楽しそうだ。何よりも活気がある。
男も女も、不安など感じてもいない様子。
貧しいものが男であれば、職業斡旋所と称した結婚紹介所で就職(ケッコン)させられる。女であってもそれは同じだ。交わっていれば、生きてはいける。
それに、サバトの収入のお陰で最低限の住居は保障されている。メイの敷いた魔術のお陰で痛むこともない。その魔力は住人たちの交わりで漏れる魔力を源として、枯れることがない。
住人たちは銘々の生活を保障されていた。

それを全て整えたのはメイなのだという。
メイは、住人たちが自分ではなく魔女こそを慕っていると言っていた。しかし、カーラが街を歩く限りではそんなことはなさそうだった。

「キョニューちゃん、俺だー!! 今日、告白するから気合いを注入してくれー!」
「あい、わかった。ならば、歯を喰いしバレェいッ!」
「ぐはぁっ! ありがとうございます!!」
「今日は何にもないけど、俺もお願いしますッ」
「俺も」「私も」「ミーも」「拙も」
「よぉし、お主らァ。順にそこに直れィ!」
『ひゃっふぅぅ!』

これはパトロールと言うよりは、キョニューと愉快な仲間たちの興行に他ならなかった……。
カーラはカルチュアァァショックを受けていた。

「ふぅ、またつまらぬものを殴ってしまった」
キョニューがお手手をさすりながら、特選隊の元に戻ってくる。
「今日もお疲れ様、キョニューちゃん」
ホルスタウロスのガーテンが声をかける。
「何がお疲れ様なのじゃ。ただ殴っておるだけで疲れるワケがなかろう」
キョニューの顔がツヤツヤとしている。彼女は犬歯を見せて二カッと笑う。
幼女のはずなのに、思わず姐さんと呼びたくなってしまいたくなるような剛毅さだ。

カーラがキョニュー特選隊に入ろうと思ったのは、何もガーテンの性技を盗むためだけではない。キョニューに感じた不可解な強さの片鱗でも盗めないものかと思ったからでもある。
ガーテンの性技は盗めない……。なんせ、手にかけられた相手が即行で果ててしまうからだ。
カーラの視線に気がついたキョニューが口を開く。
「どうしたのじゃ? まさかお主も殴ってもらいたいなどと言うわけではなかろうな」
「そんなワケがないだろう」
「そうか」
カーラの言葉にキョニューが少し残念そうにする。そして、チラリと他のメンバーに目を向ける。

「僕も遠慮する」
「ワたしも」
「私も、ってェェ! 何で、答える前に殴るんですか……」
「すまん、つい」
キョニューは謝るが、ダークスライムのトリンバルの頬は上気している。誤ってはいない。
ダンピールのニークン、クー・シーのパウカーはそんな体は子供、中身はイケナイお姉さんたちを見ていた。
彼女たちは中身も見た目通りに幼い。キョニュー特選隊
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