32.初めてのお使い

「では、頼んだぞ……。しかし、どうしたのじゃ、お主は……」
メイちゃんが訝しげな視線をカーラに向けています。
本当にどうしたのでしょうか? なんでも無いと言っていますが、そんな訳はありません。
そんな子鹿のように足を震わせて……。
ブぅレイブのォ! 精の匂いをプンプンさせていたら、ナニも無かったはずがありませんッ!
ナニがあったに違いありません!

酷いです。この私、ヴィヴィアンもブレイブとシたかったのに……。
部屋に戻って来なかったブレイブもブレイブです。
そ・れ・に……。

「なぜ、ブレイブさんにしがみついているのでしょうか? ガーテン……、さん」
白衣の声に、ホルスタウロスの少女が答えます。
「私もモノにされちゃったの
#9825; 凄く良かったんだぁ。私の性技を最後までさせてくれたのは彼がハ・ジ・メ・テ
#9825;」
「なっ!?」
その言葉に私は絶句してしまいます。私の知らないところで、ハーレム要員を増やしていたとは……。
ブレイブ、恐ろしい子ーーー。私は思わず爪を噛んでしまいます。
? 誰か私を見ています? 私はふと視線を感じたので、周りを見回します。ーーー白衣です。
どうしてでしょうか? そう言えば、チョクチョク白衣からの視線を感じます。

ふ、魔物娘まで、虜にしてしまうとは、罪なワ・タ・シ
#9825;
その思いに答えるのはやぶさかではありません。………。というか、白衣って私の中に一回突っ込んでますよねぇ。
ブレイブが私にしてくれようとした時に間に入り込んでェッ!
ああ、あれは今思い出しても酷い仕打ちでした。考えるだけで、お股がジュンジュンしてしまいます
#9825;
しかし、もうヤられたくはありませんね。ブレイブには私だけに注いでもらいたいものです。

「まぁ、良い。で、キョ……、我が隊に入るということで良いのじゃな?」
キョニューこと、メイちゃんがカーラに確認を取ります。……プッ。
「キャアアアアアア!」
あ、っぶなかったです! いくら魔界銀だとはいえ、顔に向かって巨大な鎌が飛んでくるのは恐怖です。ホラーです。
スプラッタァです! ガクガクブルブル。
思わず漏らしそうになってしまったではないですか。全く。こんな公衆の面前でリリムである私が、そんなことできるわけありません。
………ゴクリ。いえ、何でもありません。

「でも、どうして急に? この状態と関係があるのですか?」
私の問いかけにカーラは目を泳がせます。……珍しい。
その目線の先にはブレイブとガーテンがいます。
「ま、負けられないのだ。とだけ、言っておこう」
「でも、カーラちゃん可愛かったよ」
「なっ……! わ、私に可愛いとなど言うのではなーい!!」
珍しくカーラが真っ赤になっています。
いつもなら、それはそうだろう、フハハハハーーというはずなのに。小一時間くらい問い詰めたいところです。
ですがーーー。

「では、手筈通りにゆこう」
メイちゃんの言葉で、私たちはそれぞれの受け持ちに別れることになったのでした。




昨日頼まれたことはこうでした。

ーーーあの魔女めを支持しておる輩を、こちらにまた引き込むのじゃ。変態とはいえ、お主は魔王様直系の娘、リリムじゃ。お主が口を出せば、手のひらを返す奴もおるかもしれん。

そこで、私たちは町の有力者の元を回ることになったのです。
ちなみに、今ここにいるのは、私、ブレイブ、白衣、アン、です。
初期メンバーですね。
カーラは、キョニュー特戦隊に、………ブハッ!

「ぎゃああああああああ!」
な、なぜ、地面に突然穴が……。穴に入れられるはずの私が、穴に入るとはどういうことですか!?
全く……、というか、この町って、本当にメイちゃんの魔術が行き通っているのですね……。
恐ろしいです。それなら、今でも、メイちゃんが領主でいいのではないでしょうか?

私は何とか穴から這い出します。
え? ………羽は使えなかったのか? ですか……。
私一人分の穴で、羽を羽ばたかせるようなスペースが無かったのです。
容赦がありません。

「大丈夫? ヴィヴィアン」
ブレイブが手を差し出してくれます。
「ありがとうございます」
ああ、私の王子様です。出来るならば、独り占めしたくなくなくなくもありません。
私はウットリとしながら、彼の手を取ります。そのままブレイブに縋り付きます。
「う、わわぁ。ヴィヴィアン?」

ブレイブが驚いています。彼のその顔はいつ見ても良いです。
私はご満悦で笑います。ここは、私の場所です。
誰にも奪わせはしません。
「ダメ、ですか? ブレイブ……」
「だ、ダメじゃないけど……」
私の上目遣いにブレイブはタジタジです。私は得意げになって、彼の手を引いていきます。
このまま、またデートに連れて行ってしまいたいくらい。


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