Wooooooonnn!!
雄叫びとともにクー・シーの少女が現れた。クルクルクルと膝を抱えて回転してメイの隣に見事に着地を決める。そして、フワフワの毛並みのアピールかーらーのー、瞳を潤ませたおねだりポーズ、で叫ぶ。
「パウカー!」
あたりの観客は期待ともにシィンとして、ブレイブたちは意味がわからなくてシィンとしてしまう。
「とうっ!」
ボーイッシュな声とともにダンピールの少女が伸身宙返りを見事に決めて降り立つ。抜き放たれたレイピアをブレイブたちに突きつけて叫ぶ。
「ニークン!」
整えられたはずの石畳がガタガタと音を立てて波打ち、その隙間から小さな紫色の粘体がいくつも現れて、現れてーー集まり、ダークスライムの少女の形を作る。彼女はビシィとポーズをとって叫ぶ。
「……トリ、ンバルッ!」
羞恥によってプルプルと震えている。
「え、デイジー?」
カーラが目を見開いて驚いている。トリンバルことデイジーは聞こえなかったふりをしているが、紫色の頬をピンク色に染めて、唇を噛み締めて必死で耐えている。
「ママー、カッコいい〜」という可愛らしい声が観客から一つ聞こえた。
ズシャアッとそのまま崩折れてしまいそうになるが、以前ソレをした時のメイのお仕置きはしっかり覚えている……。
そして、最後の少女が現れる。
「ちょっとゴメンね〜」
ブレイブたちの隣を呑気そうに尻尾をフリフリ、ホルスタウロスの少女が通り過ぎる。
そうしてまだ育ちきっていない胸を強調しながらポーズをとった。
「ガーテン」
彼女たち四人が揃ってから、ようやくメイが動き始めーー、溜めて溜めてーーポーズをとって、叫ぶ。
「キョニュー」
ヴィヴィアンが驚愕と、彼女に何があったのかという恐ろしさのあまりに顔面蒼白となってしまっている。
キョニューと名乗った彼女はヴィヴィアンをギラギラした目つきで睨み付けると、何もいうなーー笑ったらブッ殺すーーというオーラを放った。
ヴィヴィアンがコクコクと慌てて頷くのを見て、
五人が再び動き出す。今度は五人全員の協調を旨としたポーズ。
ーーー『キョニュー特戦隊只今参上っ!!』
全員が声を揃えて宣言すると、彼女たちの後ろにあった石畳が吹っ飛んで、爆発音とともにオレンジやら赤やら青やら、明らかに不自然な色の煙が巻き起こった。
見事に決まった彼女たちにヤンヤヤンヤの拍手喝采が観客から沸き起こる。
「待ってましたー」
「俺、あのポーズ生で見ないと落ち着かないんだよ」
「ガーテンちゃ〜ん」「ママー」「パウカーちゃん撫でた〜い」
「ワシらはキョニュー特戦隊、この街の平和はワシらが守る! さあ、かかってくるがよい悪漢どもよ!!」
ブレイブたちは退治される側のようだ。
以前からメイを知っているヴィヴィアンは彼女の変わりように、オロオロしている。お姫さまモード(見た目のみ)の彼女にはとても似合っている。
他のパーティメンバーは何を言っていいかわからず唖然としたままだ。
だが、その中で一人ブレイブだけは違った。
「かっこい〜〜!!」
目をキラキラさせて、年相応の子供の様子で憧れの眼差しを投げかけていた。
「うぇっ?」「へぇ」「ほう」ブレイブパーティの面々がそれぞれのリアクションを取っているのにも気がつかず、両手を握りしめて見つめている。
ブレイブにそんな目で見つめられて、キョニューとトリンバルーーー以外が気を良くした。
「あの子は囚われの王子。ーーここは僕がいかないといけないね」
「ちょっとニーくん、あの子はわたしが担当するの〜」
「ダメー、ワたし、ワたし〜」
帽子を弾きつつ抜け駆けしようとしたダンピールにホルスタウロスとクー・シーが抗議の声を上げる。
「ちょ、ちょっと待ってください。あの子は別に暴れようとしている訳ではないので別にお仕置きする必要はありませんよ」
「いいのだよ。ボクたちがヤりたいのだから」
「そうだよ、そうだよ。ワたしたちがヤる方がみんなもウケるよ〜」
「うん、子持ちのオバさんは黙っていて」
「お……、オバッ?!」
あんまりな言いようにガックリと項垂れてしまうトリンバルことデイジー。デイジーはウチの娘が彼女たちみたいでなくて本当に良かったと心から思う……。
「……お主ら、はしゃぎ過ぎじゃ。先ほど言ったように、ワシはあのゴツゴツしたのの相手をする。他の者は抵抗した時だけ懲らしめるのじゃ」
「「「はーい……」」」
トリンバルの時とは打って変わって素直に返事をする少女たち。歳で言えばキョニューの方がトリンバルよりも遥かに年上ではあるのだが、同時に遥かに恐い。
少女たちは跳ねるようにブレイブたちに近づいていった。
◆
「すまん待たせたな」
キョニューがカーラに向き合う。
「………キョニューと呼べばいいのか?」
カーラがそれを口にしたトタン
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4]
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録