当たり前のように、夜に包まれて

口からプカリと煙を吐いて、キセルをコンと一打ち。彼女は問うた。
「で、何の話をしていたンだっけ?」
俺は彼女の言い草に呆れてしまう。
「おいおい、何を話していたかなんて決まってるだろ」
そこまで言って俺は口を噤んでしまう。……アレ、確かに俺たちは何を話していたのだっけ。いや……そもそも、話なんてしていただろうか。
「どうしたイ? さっきまであんなにツラツラ語ってくれていたのに」
「いや、エッと……」
言葉に詰まった俺を見やって、彼女は楽しそうにクツクツと笑った。
「確か、『どうして俺がアイツの尻拭いなんてしなくちゃいけないんだ……聞いてくれよ』じゃ、なかったカィ?」
そうだっけ、……そうだ、そうだった気がする。
「ああ……聞いてくれよ。今日届くはずだった商品が届かなくて、でも…それは発注担当のやつが日付を間違えたせいで。俺が気づいて卸業者に連絡して対応をしていたら、いつの間にか俺が先方に対して謝罪の連絡をするハメになって………」
その後、そいつのミスであるのに俺がフォローどころか前面に出て話を進めることになってしまい、この時間までかかってしまったのだ。
彼女に対して俺は今日の出来事を話す。彼女は時折、「そりゃアひどい」、「いや、よく頑張った」、「大したモンだ」などと相槌を打ってくれるものだから、話している俺もだんだんと興が乗ってくる。ーーただの愚痴だったハズなのに、いつの間にやら同僚のミスを進んで被ってやった武勇伝語りのようにさえなってきている。
話していて気持ちがいい。話し終える頃には俺はまるで自慢話をしたかのように上機嫌になった。気持ちが落ち着くと彼女の隣に座った。その間、彼女は俺をジィッと見ていた。

「話を聞いてくれてありがとう。おかげでスッキリしたよ」
「それァ、よかった。コッチも聞いた甲斐があるってモンだ」
ケラケラと嬉しそうな顔を見せてくる彼女。彼女のその顔を見ていると、今日の疲れなんて吹き飛んでしまう。彼女のはだけた着物からは胸の谷間がのぞいている。
「それじゃあ、メシにしようか?」
「ああ」
俺は彼女に股間を撫でられつつ、頷いた。
俺は小さなちゃぶ台に置いたコンビニの袋から、一人分の弁当を取り出す。彼女は俺のズボンのチャックを下ろして、中から俺のムスコを取り出した。
彼女に撫でさすられたせいで、俺のムスコは硬くなり始めている。
「「いただきます」」
俺たちは口を揃えて言うと、それぞれの食事を始めた。
パクパクムシャムシャ。ジュポジュポチュッチュ。
俺が弁当を食べている下から聞こえてくる淫猥な水音……。
「おいおい、音を立てて食事をするなよ」
「ひゃっ、て、ほのほう、が、ほいひ、く、食べられるダろう」
「ぐっ」
ご飯を飲み込もうとしたタイミングでカリの裏を舐め上げられた。そのせいで、喉に詰まりそうになる。
「おいおい、何するんだよ」
「ナニって、ナニだろう?」
悪戯っぽい彼女の声が聞こえ、俺は彼女の頭を撫でることで答えた。食事中に寄ってきたイヌかネコを撫でるように、自然に、体に染み付いた動きのように。ふふふ、という彼女の満足そうな声を聞きつつ俺は箸を動かす。彼女は吸い付いて、舌を動かしていた。
激しくなっていく水音、食事中に立てられる場違いな音。それでも、いつものことでーーそのハズでーー俺はリモコンをとってテレビをつけた。
テレビの番組は「突撃、お宅の晩ごはん」。この番組、まだ続いてたんだ。「ウチに来られたって大したものないぞ、っと」呟きながら、フライを口に運ぶ。
「いやいや、大したものだゾ、っと」
股間からからかうような声とともに、トタンーー刺激が強くなる。ジュッ、ジュッ。水音が大きくなって、テレビの音が聞き取りにくいし、食事も取りにくい。なんだって今日はこんなにも飯が食いにくいのだろう。食欲よりも別のものが刺激されている気がする。
漬物を食べているのに、俺から出て行こうとしているものがある。
「そろそろアタシにもメシをくれよ」
激しさを増す口淫に、俺は彼女の口内に、……ウァっ、白濁の塊をブチまけていた。
それを彼女は美味しそうに、ングングと音を立てて嚥下していく。俺の尿道から最後の一滴まで吸い尽くして口を離すと、口に残った精液を舌で転がして美味しそうに味わっている。それを飲み下して、「ごちそうさま」というイイ笑顔。
その笑顔にはそのまま「お粗末様でした」と返すほかなかった。
彼女に食事を提供してやっていたせいで、いつもよりも食べる時間が長くなってしまった。
食事をしたはずなのに、なぜだか下半身がスッキリしているのはどういうことだ…。

俺は半分ほど中身の残った弁当の箱をビニール袋にまとめてゴミ箱に捨てる。ペニスを丸出しにしたまま、風呂へと向かうと自然……彼女も付いてきた。
「そうイやあ、さっきの話なんだがな
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