さいきょうのそうび

「よくぞ参ったな勇者よ。これから魔王を倒す旅に出るお前に儂から餞別の品を渡そうと思う」
「はっ。ありがとうございます」

この国はとある山中にある反魔物国。反魔物国とは言っても、この国が庇護を受けている国が反魔物国だからという実質的には中立に近い国です。
そんなこの国に勇者ブレイブは生まれました。勇者として生まれたからブレイブだなんて安易な名前付けです。
勇者として生まれ、勇者として育てられた少年でしたが、彼は心優しくどうしても魔物を殺すことが出来ませんでした。
それでも時は過ぎ彼は10歳になり、勇者として旅立たなくてはいけない日がやってきました。
ポケ○トがモ○スターな世界でも10歳になれば旅立たなくてはなりません。
ましてやここは図鑑世界、10歳になった勇者は自分のpocket monsterを鍛えて、技を覚えさせて、モンムスーマスターを目指さなくてはいけないのです!!(力説)
間違えました。魔王を倒しに、です。

旅立つ彼に王様は装備品を与えます。
けれども、流石に勇者とはいえただの平民。ましてや見る限り魔王なんて倒せそうにもない少年に王家伝来の秘宝など渡せるわけがありませんでした。
そこで王様は彼に宝物庫の隅に置いてあった見るからに古くて役に立たなそうな装備品を渡すことにしたのでした。

彼に渡されたのは服と鎧と剣でした。
「ここに3つの装備品があるじゃろう。これらの装備品はな。昔から王家に伝わる由緒正しい品物なのじゃ」
王様は威厳たっぷりで言います。

「この服は東洋から伝わったもので、着たものを暑さからも寒さからも守ってくれる優れものじゃ」
一緒にしまってあった。説明書にそれだけが書いてありました。

「この鎧はとても重いが勇者が装備すると軽く感じる、とても頑丈な鎧じゃ」
本当です。もしも重く感じるのならば、真の勇者ではないのでしょう。

「この剣は使うものの魔力を力に変えて、なんでも切ることのできる剣じゃ」
切れないのならば、使用者の魔力が足りないのでしょう。

王様はブレイブに3つの品を渡すと満足そうに、
「それでは早速、その品物を装備して旅立つとよい。お主の活躍を期待しておる」
テンプレートを読み上げるととっとと去って行ってしまいました。

見るからに信用ならない品物ばかりでしたが、純粋なブレイブは素晴らしい物を頂いたと感激に涙を流しています。
チョロいです。

王様から頂いたと装備品をブレイブは早速装備していきます。
服と言われて渡されたものは一枚の布のようで、手触りは良いのですが着ることが出来ません。
仕方がないので、ブレイブは体に巻きつけてみました。すると布はくるくるとブレイブの体に巻きつき、ぴったりと密着しました。とても着心地がよく、快適です。
「すごい。魔法の服だ」
ブレイブは興奮します。それに、布の感触が気持ちよくて少しだけおちんちんが立ち上がってしまったようでした。その拍子に布がピクリと動いた気もしましたが、ブレイブは魔法の服だからそんなこともあるだろうと気にしませんでした。

次に鎧を装備します。
見るからに重そうで頑丈そうな鎧です。重く感じたらどうしよう、とブレイブは恐々鎧を身につけます。鎧を装着すると、不思議なことに重さを全く感じませんでした。それどころか、鎧に触れる風の動きも感じられて、まるで自分の体のようです。
「すごい。こっちも魔法の鎧だ」
ブレイブはますます興奮してしまいます。ブレイブの興奮に合わせて、服も鎧ももぞもぞと動いているようで、その動きでもう少しだけおちんちんが立ち上がってしまいました。魔法の装備品って、なんだか体が熱くなるものなのかな、とブレイブは思いました。

最後に渡された剣を手に取ります。
手に取った途端、剣には赤い血管のような筋が浮かび上がり、ドクドクと脈打ち始めました。
そして、なんということでしょう。剣は驚くブレイブに襲いかかってきました。
王様が渡した剣は呪われていました。なんという物を渡してしまったのでしょうか。このままではブレイブは旅に出る前に死んでしまいます。

危ない。と思う前に、鎧が勝手に動いて剣を弾きました。
流石は魔法の鎧、ブレイブを守ってくれました。
弾かれた剣は悔しいのでしょうかブルブルと震えています。
そんな剣に鎧が近づいて何かをジェスチャーで伝え始めました。
鎧の説得で、何かを納得したのでしょうか。剣は震えるのをやめて飛んでくると、ブレイブの手のひらにすっぽりと収まりました。剣の柄についている目のような模様がちらりとブレイブを見たような気がしました。
何だかおちんちんがざわざわするような気がして、実際に服が動いてざわざわしていたので気のせいではないと思いました。
呪いの剣を装備していくのはかなり心配ですが、ブレイブは鎧が居れば大丈夫じ
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