「ふむふむ。君は生命線がはっきりしている。これはいいねぇ。お、実は気が弱いところがあるみたいだ」
「は、はい。その通りです」
白澤が客の手相を見ている。
次々と言い当てていく白澤に客は驚きを隠せない。
「おや?」
そこで、白澤は客の顔を覗き込みながらさらに続ける。
「君は野菜が嫌いなようだね」
「お恥ずかしながら、そうです。そんなことまでわかるのですね。すごいなぁ」
ますます感心する客に気をよくしてしまった風の白澤は続ける。
「そうだよ。私は何でも知っている。七草善之助(さいくさ ぜんのすけ)くん」(CV. ゆきのさつき)
「俺の名前。あれ、言いましたっけ?」
「言ってないよ。だからね、私は何でも知っている。君が知らないことも知っている」
「え、え?」
「七草善之助。誕生日は19
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#65038;年
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#65038;月
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#65038;日。受精日は19
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#65038;月
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#65038;日。君になった精子が作られたのは19
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#65038;年
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#65038;日。
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#65038;県
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#65038;市
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#65038;
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#65038;町××出身。幼い頃に何度か引っ越している。現在の町に来たのは就職のため。週のオナニー回数は5回」
白澤が次々とまくしたてていく。
「おやおやこれは。業が深いねぇ。現在のお気に入りのAVはむちむちオークの陵辱モノ。でも、現在思いを寄せているのは上司のダークエルフ。残念、その人にはすでに奴隷がいるようだ。君の恋は叶わないが、君を見つめている人はいるよ。いつも通っている酒場のミノタウロス。ダークエルフを好きになったのならば、こっちも嫌いではないんじゃないかな。まぁ、放って置いても、今年の
#9899;
#65038;月×日にしびれを切らして向こうから襲いかかってくるだろう」
白澤の言葉に善之助は冷や汗が止まらない。
「な」
「『何でもそこまで知っているんだ』、かい?。言っただろう、私は何でも知っている」
「それは、「手」相をみて分かったのですか?」
男性の言葉を奪ってから答える。
「いいや、手相だけではわからないさ」
白澤が男性の目を覗き込む。
善之助は全てを見透かしているような白澤の瞳を見て、ゴクリと喉を鳴らす。
「だからね、言っただろう。私は何でも知っている。君が知らない君のことも知っている」
男性の手が恐怖でカタカタと揺れている。
「だからね。ダークエルフさんの落とした髪の毛を集めたり、飲みかけのお茶を持って行くのはやめておきなさい」
白澤の口が三日月型に歪む。
「他の誰もが知らなくても。私”が”なんでも知っている」
「ひっ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
善之助が悲鳴を上げて逃げ出していく。
その後ろすがたを見送る白澤ともう一人。
「ありがとう助かった」
「やれやれ、善之助、なんて。とんだ名前違いじゃないか」
白澤にお金を渡すダークエルフ。
「奴隷にするつもりがあれば、直接躾けてやってもいいんだけどさ。あいつはちょっとな。ホント、助かったよ」
「お安い御用さ」
手を合わせて感謝するダークエルフに、朗らかに笑う白澤。
「でも、すごいなぁ。見ていて私も鳥肌が立った。あそこまで調べた上にあんな嘘を並べ立てられるなんて。私でも信じ込んでしまうね。受精日とか、その精子が作られた日とか、調べようがないじゃないか」
笑いながら話すダークエルフに白澤は笑顔を返す。
「でも、最後のは本当なの?。彼に思いを寄せているミノタウロスがいるって」
ダークエルフの言葉に白澤が頷く。
「ああ、本当だよ。受精日とかも含めて全部本当さ」
「そうなの。あいつにも春が来るんだ。そのミノタウロスももっと早く襲って一緒に夏祭りにこればよかったのに。って、え?」
「だからね、彼にも言っただろう。私は何でも知っている。それで、もうすぐだよ」
「な、何が?」
「気付いていなかったのかい?。私がさっき言っていた日付。今日は何月何日だったっけ?」
ダークエルフが日付を思い出すよりも早く、七草善之助の悲鳴が聞こえた。
「言った通りだっただろう。だから、君ももうそんなことはやめておきなさい」
白澤の言葉でダークエルフの背筋に冷たいものが這い回る。何かがそろりと背中を撫でているようだ。
ダークエルフは白澤の顔を見ることができない。
「私は言ったはずだよ。君にはすでに奴隷がいる、とね。数日前に家
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