バーダンに着いた私たちは、早速宿屋を見つけて馬車を預けました。
ブレイブはアンちゃんを装備したまま普通に歩けるようになっています。
でも、鎧の内側ではナニをしているかわかったものではありません。ひとまず、釘はさしてはありますが。
「それでは、確かにお預かりいたします」
私たちは宿屋のユニコーンのお姉さんに馬車を預けました。
看板娘のビクトリアさん。
ポニーテールにした絹のような金髪に優しそうな柔和な顔、楚々とした感じでとても人気が高そうです。馬体もあって体が大きいからか、胸もお尻もバインバインです。お尻は馬ですが。私とは僅差で、どっちが大きいでしょうね。
彼女はまだ未婚で彼氏もいないそうですが、ユニコーンではブレイブになびいてはくれないでしょう。残念です。
馬車を渡す時に馬の性別を聞かれ、メスと答えた時に残念そうな顔をしたのは気のせいということにしておきます。
彼女は清楚なユニコーンですし、実はいい年のようですが、まさかそんな、そんなことはありえないですよね。
それでは、次のメンバーを探すために街に出るとしましょうか。
街には騎士や傭兵の姿もちらほら見られたので、ブレイブもアンちゃんを装備したままでいいでしょう。
ブレイブについていくのは、公正なじゃんけんの結果、私、ヴェルメリオ、アンになりました。
◆
「だ、れ、に、し、よ、う、か、な。て、ん、ご、く、の、ま、お、う、さ、ま、の、い、う、と、お、り」
「何を不吉なことをいっているのですか。あなたの母親が天国に行っていたら、今頃世界は大混乱でしょう」
「確かに死んではいないけど、お父様と交わり続けて常時ヘブン状態よ」
私の答えにヴェルちゃんは呆れ顔です。呆れ顔じゃなくて、アヘ顏を見たい…。
おっと、睨まれました。邪なことを考えるとすぐにこれです。本当の怒りを買う前に私はまた物色に移ります。
「あっ、ごめんなさい」
そう思ったら、ブレイブが誰かとぶつかっていました。
私のアシストがなくても自らゴールを狙う貪欲さ、フラグビルダーの称号をあげましょう。
「いえいえ、そちらこそ大丈夫でしたか?」
相手はカソックに身を包んだ神父でした。神父です。男です。
アッーーー、ごめんなさい、はいらないのです。そんなフラグは立てないでください。私はそのフラグをぶち壊します。
「ダーリン、大丈夫ー?」
ブレイブを後ろから抱きしめます。ギュギュッと、胸に抱えて密着させます。が、アンちゃん固い!
「おやおや。そんなお年でもうリリムとお付き合いしているとは、すごいですね」
神父はただでさえ細めの目をさらに細めて微笑んでいます。
「ええ、そうよ。彼はベッドの上ではすっごいんだから」
「はっは。あなたと褥を共にできるとは、なんとも羨ましい話ですね。ですが、私では耐えられなさそうだ」
彼は私を見ていますが、私の体を見てはいませんでした。
リリムの魅了が効いていない?
「あなた方のお時間の邪魔をしてはまずいでしょうから。大事がなければ、私はこれでお暇させていただきましょう」
そう言って神父は立ち去ろうとします。
「ああ、そうそう。私の名前はザキルと言います。この街の教会の神父です。お祈りの際はぜひともおいでください」
私たちにそんな言葉をかけて、彼は去って行きました。
「何者でしょうか。あの足運びならば、ブレイブを避けられないわけがないでしょう。あなたへの対応も」
「そうですね。胡散臭い奴です」
ヴェルメリオも気がついています。ヴェルメリオには少し引っかかることがあった。
今は何を考えても変わらないでしょうから、ひとまず置いておきましょう。
では気を取り直して。
「誰にしようかな、ーーー、お前だー!!」
「んぅ、あたしがどうかした?」
私が指した先にはサテュロスの女性がいました。ワイン樽を担いで腰に角笛をくくりつけています。
大柄な体格で出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいますが、私やカーラほどではありません。いつもワイン樽を担いで運んでいるのでしょうか、二の腕ががっしりとしています。整った顔立ちは体の割には少し幼さも残っていて、思ったよりも年齢は若いのかもしれません。
目元が若干トロンとしているので、もしかしたら飲んでいるのかもしれません。
「すまない。こいつの言うことは気にしないでください。少しおかしいのです」
「ヴェルちゃん、酷い!?」
「何か用かい?。あたしの酒が買いたいんだったら大歓迎だよ」
サテュロスの女性は、にししと笑います。
「あなた、ブレイブのパーティ、もといハーレムに加わる気は無いかしら?」
まどろっこしいのは無しで、私は単刀直入に尋ねます。ヴェルちゃんの視線を感じますが気にしてはいけません。
「ブレイブ、ハーレム?」
私の言葉に彼女はキョトンと首を傾げていま
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