サンサンと輝く太陽、青い海。
真っ白な砂浜のビーチには、これまた真っ白な亡者の群れ。
俺はそのただ中で、素肌に黒緑の縞模様を塗られ、手足を縛られて突っ立っていた。
……………………
何を言っているかわからないと思うが……以下略)
俺の抗議は黙殺され、彼女たちはイベントを開始する。
◆
「さぁお集まりの皆さまお待たせいたしました!
これより死者の国夏の特別企画、ドキッ☆亡者だらけのスイカ割り大会 〜ポロリもあるよ〜、を開催いたします」(C.V.中●譲治)
彼女の宣言に、ビーチに集まったアンデッド型魔物娘たちがうめき声にも似た歓声をあげた。
ゾンビがいる、スケルトンがいる、ゴーストが、落武者が、ドラゴンゾンビが。ウィル・オ・ウィスプだって、デュラハン、ヴァンパイア、リッチ、もちろんワイトも。そこにプラスでファントムとリビングドール。
みんな水着で、美しくとも日の光には似つかわしくない肌と姿をしている。
砂浜をみっしりと埋め尽くす亡者の群れ。この横を通るだけで肝試しになるだろう。
「うむ、まるで地獄のような歓声をありがとう。我らにとってこの環境。
ふはは、はなはだ似つかわしくない。この炎天下でーー今のそれはガチのうめき声かもしれないね。イくぞ亡者ども、防腐剤の貯蔵は十分か? 足りなければそこでホルマリンを補充してくるといい。ただしその状態で決して海には入らないように。環境汚染も甚だしい」
「それって……海に来た意味がないんじゃ」(C.V.門脇●似)
「そもそも塩水に使ったらアンデッドは浄化されてしまう可能性もなきにしもあらず」
「じゃあ何で海に来たの!? この企画考えたやつ出てこい!」
「誰だ、そんな常識知らずのシナリオを書いたやつは!」(白々しい黒幕ボイス。白いのに黒いとはこれいかに)
「実況はこの私、ファントムのエメラルドが」(実にイイ声)
「解説ならぬ、感想をリビングドールの弟子69号がお送りいたします」(甘ったるいロリボイス)
「ルールはいたって簡単。自らスイカに扮した領主を割ったものが勝者。まぁ、何か白いものがが絞り出されれば割れた、と判断しよう。なんなら赤いものだって構わないぞ? このビーチで二人っきりの甘い時間が賞品。
しかし、見れば見るほど滑稽なスイカスタイルだ。領主がそこまで体を張る方だったとは、わたしもトンと知らなかった。何、お前が勝手に塗った? はっはっは。何を言いがかりを。君が嬉々として扮したんじゃないか」
「領主さま…………塗られている間中抗議の声を上げていたけど」
「君まで何を言っているんだ。領主さまは君と交尾をしていただけだ」
「ちょ、ちょっとそれこそ言いがかりよエメラルド、私はその状況を余さずこの目に収めていただけなんだから。だから皆そんな怖い目で私を見ないで〜!」
「ふむ、確か君の目には映像記録用魔水晶が使われていたね。こっそり自分だけで楽しむに違いない! 親に隠れてエロ画像を嗜む中学生のように!」
「確か、とか人事みたいに言っているけど、それを埋め込んだのはあなたなんだからね! 私の性癖みたいに言わないでよ。うわわ。だから皆そんな怖い目で見ないで!」
「怖い目って、君の目を刳りぬきそうな目をしているだけではないか。そんな程度で私たちが死ぬことはない、というか、”すでに我らは死んでいる”(ケン死ロウボイス)」
「決め台詞みたいに言わないでッ!」
「ん? 駄弁ってないで始めろって? はっはっは、これは失礼した。これでは解説アンド主催者失格だ。腹を切ってお詫びをしよう。といっても私はすでに死んでいる。ふは、ふはははははは。
おおぅ、砂を投げかけるのはやめておくれ。って、熱ッ、あつぅッ!
誰だ! 塩をかけてきたのは。潮は吹くものであってかけるものではないだろう。
や、やめッ! というか、投げている君もダメージを食らっているに違いない。なんという捨て身の攻撃。私によほど恨みがあると見える。ふっはっは、甘露なり。
おぉ、このままではファントムの私がナメクジのように乾涸びてしまうではないか。
よぉうし、分かった。それでは始めよう」
そう言ってエメラルドは領主を筒の中に詰め込む。
筒から、黒と緑のしま模様に塗られた頭だけが飛び出しているさまは、まんまスイカのようだ。
領主の抗議は誰にも届かない。スイカの声など誰にも聞こえるわけがない。
「それでは開始しよう。命をかけろ、さすればその身は彼にとどくやもしれん。いや、我らにはすでに命はなかったな。我らは情念のみで動く亡者の群れ、この白昼のビーチを死者の体で存分に汚そうではないか。
はっはっは、発射」
(領主)「クシャミみたいにやるンじゃ、ねぇええええええええええ!」
「打ち上げ成功。領主、見事なロフテッド軌
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