その2

 それからの私の日常は今までと少し変わりました。
 朝はマークが朝食を持ってきて検温や包帯の交換をする度に、昼はリハビリを手伝ってもらった後、昼食を作ってくれる度に、夜は夕食を持ってきてくれる度に、彼は体中からむせ返るほどの魔物の匂いをさせているのです。私がそれを許せずはずもなく、毎日三回『浄化』するのが日課になり…そしてそれは今も続いているのです。

 「ちゅ…♪ふぅ…♪」

 もう結構な回数、マークの『浄化』をしているので、私の技術も大分上がってきているようでした。こうして、媚びるような声をあげ、時折見上げるように彼の顔を覗きこむのも悦んでくれるのが分かりましたし、舌の動きなども最初に比べればだいぶスムーズなものになってきたのでしょう。ベッドの上に横たわる―と言うより横たわらせているのですけれど―彼はあの時の魔物に対するような余裕の無い表情をずっと浮かべ、最初の頃のほど長持ちしなくなっています。

 「まったく…♪またこんなに…魔物の匂い一杯させて…♪またえっちなことしたんですよね…?」
 「いや、それは誤解だってば…っ」

 何度も何度も『浄化』しても、彼はこうして少し目を離した瞬間に、魔物の匂いを沢山させて現れるのです。その度に、こうして『浄化』しながら彼を追及しますが、彼は何時も認めません。

 「嘘はいけませんよ…?こんなに…こんなにここからは魔物の匂いが沢山するんですからぁ…♪」

 彼のオチンチンはむせ返るような魔物の匂いで一杯でした。発情したメスのフェロモンのような甘い匂いは一発で魔物のものだと分かるほどです。それなのに、まだ認めようとしない彼は往生際が悪いとしか言いようがありません。

 「いや…だから、本当に…っアイシャとはあれからなにもしてないってば…っ」

 ―嘘つきです。こんなに証拠があるのに認めないなんて往生際が悪過ぎます。

 「じゃあ…どうしてここに…甘いメスのフェロモンがこんなについてるんですか…?」

 ―まるでマークが自分のオスだと主張するような……甘い甘いミルクみたいなフェロモンが

 「知らないってばっ!いや、ホント…くぅ」

 最後に小さく呻いたのは認めない彼に腹を立てた私が少し亀頭に歯を立てたからなのですが…それでも尚、マークは一向に認めようとしません。悔しくて彼の竿を撫で上げた私の舌にびくんっと反応はするのに、私の言葉には私の欲しがる反応をくれないのです。

 ―まぁ、良いです。それならば念入りに『浄化』するだけなのですから。

 マークが認めないのもきっと私の『浄化』が足りないからなのでしょう。きっと私が知らないうちにどんどん汚染されていっているに違いありません。ならば、汚染された部分が残らないくらい『浄化』してしまえばいいのです。
 
 ―沢山浄化して、浄化して、そして…あれを沢山私の口に…っ♪

 そう思うだけで私の下腹部はきゅんきゅん疼きます。あれから何度も抑えようとし続けているその疼きは結局、何を欲しがっているのか分からず、毎日毎日、どんどん強くなるようで、私の『意思』を…いえ、きっと正確には理性を殆ど奪いきっていました。毎日、『浄化』をする度に、私の下着はべとべとになってしまうし、最近は『浄化』をしている際、腰が勝手に何かを求めるように動くことも少なくありません。きっと私の身体はどんどん『何か』へと変わって行っているのです。

 ―けれど…もう止まりません…♪

 私の中に残った最後の欠片はこのままではいけないと強く警告してきています。けれど、私の身体はもう私の意思とは殆ど無縁の存在でした。私自身でさえ止められない衝動に突き動かされ、勝手に動いてしまっているのです。

 ―この指も…そう…♪

 何時しか私の指は『浄化』の最中に内股を撫で擦る事が多くなりました。それだけで敏感になった私の身体は震え、小さく電流のようなものを走らせるのです。私はそれがもっと欲しくて、たまらないのですが、私の中の何かはそれを強く禁じ、私の一番、触りたくて仕方が無い場所には触らせてはくれません。代わりに私はマークのオチンチンに集中し、ご奉仕して、それからずっと目を逸らし続けてきましたが、いい加減、限界に近づいてきています。

 ―私はどうしたいのでしょう…・?

 彼に奉仕したいと願う私も、変わり過ぎた自分の姿に危機感を覚える私も、どっちも確かに私なのです。どっちも私で、どっちもしたいと思う私は、もう自分で自分自身が分からなくなっていました。けれど、そんな私でも、彼の『浄化』だけは義務のようにきっちりこなしているのです。

 「ちゅ…♪ふふッ…♪びくんびくんして…とってもえっちです…♪」
 「させてるのはネリーだから…っあっ」

 亀頭にキスを落とすと、彼は小さく呻きました。何時もの様に『
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