気持ちは言葉で…

「レイル……これ、お弁当だから…食べてね……」
幼馴染にお弁当を作ってもらう男なんて世界にどれだけいるだろうか?

俺ことレイルはそんな事を思いながら幼馴染のサラから弁当を貰う。
俺には家族がいない…兄弟はいないし両親も死んだ。
だから俺は18歳というこの村では働ける年齢じゃないにも関わらず働いている。
仕事内容は…様々な人の頼みを聞いて化物退治をしたり遺跡の探索を行う……言わば便利屋だ。
サラは村一番の容姿端麗な女の子で小さい頃から一緒に遊んでいた。
家族がいなくなった俺を励ましてくれた…
「サンキュ♪……卵焼き入ってるよな?」
そしていつも仕事で遠出する俺に弁当を作ってくれる。村の料理店の娘だからとても料理がウマイ…その評判は近くとはいえ町にも届くほどの腕前らしい。
…まあ、俺は仕事で町に行く事はあれど今の生活で十分だから噂とか興味ないな。
「入ってるよ……だってレイルの大好物だもん……それに私、レイルの事大好きだから入れたくなっちゃうんだよ」
「お前は本当に恥ずかしい言葉を平然と言えるな…」
「え?だって本当の事だもん」
幼馴染としての好きでもハタからみれば告白なんだよ…まぁ……素直な所がコイツの良い所なんだけどな。
「ね、ねぇ……今日帰ったら…ウチでご飯食べない?…が、がんばって作るから…」
こうしていつも作ってくれるのはありがたいけど…迷惑じゃないかなぁ〜。
でも…今日は、
「あ〜…悪ぃな。今日はちと長い仕事するから多分、町で泊まるよ。だから明日でいいか?」
本当に悪いと思ってるけど…俺だって生活がある。いつまでも幼馴染にご飯を作ってもらう訳にはいかない。
男としても……恥ずかしいしな。
「そう…なんだ。しょ、仕様が無いよね………レイルだって生活があるもんね。……仕様が無いね…」
俺だって残念だ……サラの手料理は本当にウマイ。アレを食いたいという欲求は並大抵の物じゃない…溜息がでそうになる……
「じゃ、そゆことで行って来るわぁ」
「うん…待ってるから……」
溜息を言葉に変えて手を振りながら村を出る……
弁当が楽しみだよ…ホントに。



昼…昼食の時間♪
俺は待ってましたと言わんばかりに町への道の脇にある切り株に腰を掛け、弁当の蓋を開ける。
カッ!!
「うお、眩しっ!!?」
瞬間!…太陽がその中に入っているかのように中身が輝く!!
その正体は……卵焼き…サラの得意料理であり俺の大大×30好物である物だ。
その黄金の輝きは見るものを桃源郷へと誘い込む……
他の料理もあるが俺にとってはオプションに過ぎない。それを彼女もわかっているのかこの弁当は卵焼きが大部分を占めている…
「あむ!ムグムグ…ウマ過ぎ!!」
俺は獣の様にその黄金の輝きにカブリ付き…上の太陽に吼えた!!
その声は…遠くの山から反射して聞こえてきた…




私は家の…自分の部屋でベッドに寝転がっていた…枕に顔をうずめながら考える。
どうしてだろうな……
私はレイルの事が大好き……でもレイルは多分私の事を幼馴染としか見てないと思う。
私の言った大好きも…幼馴染として好きって勘違いしてると思う。
レイルと一緒にいる時に感じるドキドキも…
苦しさも…
暖かさも…
もどかしさも…
レイルは感じてない…よね。
どうしてそんなに鈍感なのかなぁ……私はこんなに好きって言ってるのに…
「レイルのバカ…バカバカァ……」
どうしようもない怒りを枕を殴って散らす……
ボフッ…ボフッ…ガタッ……
「ッ!?……だ…誰…?」
殴ってる途中に足音がした……
声が聞こえる……
ニャーオ…



「いやぁ報酬たんまり貰ったぁ!!これでしばらくは隣のオッチャンの畑仕事を手伝えるぜ!」
次の日、俺は朝になんとか村に帰ってきた。なんとかというのは少し前に俺の荷物から食料を食い漁ろうとしたワーキャットがいたからだ。
魚の煮干やったら満足してどっか行った…魔物って単純だよな。
そういえば今日はサラがご馳走してくれるんだっけか。こりゃ楽しみだな♪
「お帰り……」
「オウ、ただいま!」
サラだな。いつも入り口で待ってくれてるんだ。
俺は依頼が成功した事を表すように元気に言ったが……
………あれ?

サラ…だよな?

耳が頭についてて……

尻尾もあって…

「ふーん…帰ってきたんだ」
なんか冷たい声音だけど…この声はサラだ。
「さ……サラ?…だよな…?」
恐る恐る聞いてみる…目の前にいる彼女は鋭い目つきでまるで獲物を見定めるかのように俺を睨んでくる。
「何?アタシがサラ以外の何に見えるわけ?アンタってそういうところでホンットに鈍感なんだから」
「いやだって…お前、その姿…」
明らかにワーキャットだ……
「姿なんてどうでもいいでしょ!ホラ、アタシに何か言う事無いの?」
「そういうお前は、依頼で森に行ってた俺
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