鍛冶屋の受難

カンッ!カンッ!!カンッ!!!



カンッ!カンッ!!カンッ!!!



わたしはサイクロプス…名前はモノ。
こんな可愛らしい名前のわたしですが、わたしには大きな夢があります。

世界には数々の名剣があります。
まさに超一流の職人達が打った剣…その中には魔剣だとか聖剣だとか言われるものもあり、その名前を口にするのも恐ろしいものまであるのです。

カンッ!!

わたしの夢は…悪名でもなんでも構わない…とにかく世界中に轟くような名剣を打つことであります!

そのために、わたしは日夜勉強に修行…息をつく暇もありません…
ですが、もはや剣を打つことはわたしにとって呼吸するも同じ…苦にはならないのです。

カンッ!!!

しかし、現実というものはそんなに上手く目標や夢に行き着くわけではありません。それはわたしも例外ではないのです。

ジュワァァッ!!

打った剣を…水で冷まします。
この薄暗い鍛冶場で、鈍い光沢が出ているような錯覚さえするその刀身。
それを掲げて…

びちびちびち…

変な音がするのは気にしない気にしない。気にしたら負けです。
光沢っていっても金属光沢ですよ? なんかこう、ぬめ〜っとしたローションのような光沢ではないですよ?

うねうねうね…

何か動きました?気にしない気にしない。
そんな…あれですよ? もしかして皆さん、わたしは本当は鍛冶をしてないんじゃないかとか思ってないですよね?
いやいや、わたしはサイクロプスですよ。さっきまできちんと叩いていたじゃないですか。それに、わたしの夢は本当にほんっとーーに本物なんですからぁ。


ガチャ…

「すまない、この前に頼んだ剣の手入れは済n……」

あ、あの人はこの前に剣の手入れを頼んできたリザードマンさん

「な、なななななんだそれはぁぁぁあ!!!?」

リザードマンさんがわたしの打ったばかりの剣を指差して驚いています。
まさに阿鼻驚嘆。その尻尾は猫の如くピンッっと立っていました。

「なんですか? ダメですよぉ…そんな化物をみるかのように見てはいけません。剣だって皆と同じで生きてるんですから、東洋でいう九十九神ですっけ…大事にすれば持ち主に応えてくれるんです」

わたしはまるで愛する人のように剣を抱き、リザードマンさんに注意します。
しかし、リザードマンさんはその驚きの顔を戻しません。

「確かに生きてはいる…だがそれが…剣!!?」

リザードマンさんの視点からすると、わたしはどう見えるのでしょうか…

「それは……どこからどうみても…」

こんな『モノ(わたしの名前じゃないです)』を…

「触手ではないかぁ!!!」

虚ろな目で抱いているわたしを…

別に、病んでるわけじゃないです。ヤケクソなだけなんです。












「とりあえず、まず言わせてもらう…」

「はい…」

わたしとリザードマンさんは正座して向かい合っています。
わたしとリザードマンさんの間にはいまだにびちびちうねうねと剣?が動いています。あ、わたしが打ったものです。

「どうしてそうなった…?」

とても声を大きく訊いて来ました…

…そんなの……

「わたしが聞きたいんですよ……」

わたしは、自分の知っているあらゆることを打ち明けました。







「その…なんだ?つまり……お前は先祖から代々の呪いのようなもので剣を打つと問答無用で刀身が触手になる…と?」

コクッ…

もはやわたしにもわけがわかりませんでした。とにかく、打った剣が触手剣になるのです。

「お母様もそうでしたので…間違いはないと思います…」

わたしのお母様も…作る剣作る剣がそうでした。
半分諦めきった大きな一つ目で寂しそうに笑ったあの表情は今でも忘れません…


「だ…だが……やはり信じがたい…実際に見せてくれぬか?」

「…はい」





カンッ!カンッ!!カンッ!!!




「素材は普通に鉄……ちゃんとしているな…」

「はい、先ほども申したとおり…何を使おうが何をしようが完成した時に問答無用で…刀身が触手に…」

「そ、そんなばかな…」

リザードマンさんはうすらと笑いながらも、どうやら可能性を否定できないでいるようです。
わたしは…剣が打ち終わり、水につけて冷ます…その蒸気の中から現れたのは…

…びちびちびち

「ほらねーーー!!!」

もはや投げやり、涙目になりながら叫びました…

「……どういうことだ!!?今の今まで普通に鉄だったではないか!!?」

そういうものなんです。現実は無常なのです。

「ほ…ホラ、たまに読み物にいるじゃないですか…料理を作ろうとすると問答無用で暗黒物質になっちゃうような人って…それと同じなんだと思いますよ…」

「現実でそれが起こるのが問題だ!」

彼女は恐る恐
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