団欒

太陽サンサンと輝き、今日も朝を告げる。

ここはマインデルタ…種族など在って無いように共存し、一緒に暮らす国。

そんな国の、とある4人の物語。



今日もまた……ドタバタ(厄介事)が始まる。





「Zzzzz………Zzzzzz……うう……」

その少年はうなされていた。この少年、つい昨日ホルスタウロスのお姉さん…エリーナに窒息させられかけた少年である。

彼の名はアルマ・ファウマ。
15歳でありながら史上最年少で騎士となり、そのトップである四聖にまで上り詰めた少年である。

「助けて…胸に……胸に潰される……!」

……なにやら変な寝言だが彼も健全な男子。仕方の無い事だろう。

「……ハッ!?……夢か……」

どうやら、城下町の方の家にいるようだと、彼は辺りを見回し、気づいた。
四聖ともなれば城の方で部屋を用意されるがやはり我が家が一番。

「そういえば、父さんも母さんも今仕事中なんだっけか・・・」

成り行きで帰ってきたとは言え、両親のいない我が家というのも嬉しさ半分である。四聖という肩書きがあろうが彼はまだ15歳。甘えたがりなのだ。

「…………」

気になることがあった…たしかにここは僕の部屋だ。そうアルマは思っている。しかし………

「僕の部屋は……いつの間にジャングルになったんだい?」

彼の部屋は…何かの例えではなく、木で埋め尽くされていた…




「姉様。起きて下さい…そろそろ準備して行きますよ」

ノースエリア…通称、貴族街のとある屋敷では妹が姉を起こしていた。

「ん…もうそんな時間か…?」

昨日の任務の報告書をまとめ、城に送った彼女は妹との約束のため、家で寝ることにしたのだ。
彼女、リデル・シュテンリヒは寝てもなお乱れない青みのある銀髪を手櫛で軽く整えながら、

「そういえば、父上の方は説得したのか?弱み………を知っているのだろう?]

妹はもう人化の魔法を使って人間の姿になっている。こうでもしないとマーメイドである妹のリリーは外出することができない。
リデルは少し心配だった……そもそも自分の父の弱みなど全く知らないし気にもしていない。
あまり家庭を揺るがすような事では無い事を祈りたいが…

「あ・な・たぁ〜…このなが〜〜〜い黒髪は一体誰の髪かしらねぇ〜〜?」

「ご、誤解だ!わ、私は何も知らない!!そんな髪の女性など知らん!!」

……………

「今の声は…?」

「先日、お父様を訪ねに来た女性の方がいたのでその人の髪に似せて私の髪を
黒く塗って寝ているお父様の胸に乗せておいたんですよ」

妹の行いに目を丸くする姉、リデル……両親の会話を聞き、クスクスと笑いながらいそいそと外出の準備をする妹、リリー・シュテンリヒ。

「お父様問わず、妻のいる男性の方の弱点は既成事実でも妻の知らない女性と関係を持たせる事なんですよ♪」

妹のやり方を諌めたかったが…そういえば彼女も先日、似た事をしたのを思い出し強く出る事ができない…リデルも女…ということだ。

「では、お父様の事はお母様に任せて、早くトオルさんの家にいきましょ♪」

「あ、ああ…そうだ……な」

ここまで妹が腹黒いとは思わなかったリデルは軽いショックを受けている。
とりあえず彼女は、男性というのは肩身の狭いものだな…と思う事した

「……ところでお姉さま。なぜ鎧を着ているのですか?」

鎧を着ているイメージが強いデュラハンとはいえこれから友人の家に赴くには
鎧はあまりにも仰々しすぎる。
しかし、リデルはそれに答えず遠い目をして、

「や、やめてくれ!!それ以上は!!」

「あ〜らぁ?私に巻き付かれてこ〜んなにバッキバキにしちゃってる変態さん
に拒否権などあると思ってるのかしらぁ?」

そんな両親の痴話喧嘩?…を聞きながら……

「あやつの家に行く前に……私は一度死地に赴く必要があるのでな……」



「トオル。そろそろ起きるがよい…今日は特別な日なのだろう?」

サウスエリアのとある夫婦の日常。それは夫が妻に起こされることから始まる。

「うう…あと………2時間……」

その夫の言葉を予想通りのように聞いていた妻のアヌビス……落ち込んだように耳や尻尾をダランと下げていたがすぐに立て、

「昨日の今日だ…三十分ぐらいなら許してやろうと思ったが……もう一度やら
れたいようだな………」

「スミマセン、今起きます」

妻、ルーシーの脅迫にも似た言葉で飛び起きる。
長く深い欠伸をしながらこのルーシーの夫、トオルは眠たそうな目を擦り

「う…う〜ん…別に準備することでもないからこのまま寝ててもいいんだけどよ…まあ何が遭っても良いようにしておくか…」

気だるそうにベッドから起き上がりそそくさと着替え始める。

「特別な日というのは…そんなに危険な日なの
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