「今日はあまり、良いものが獲れなかったなぁ…」
一人が乗るぐらいの…だけどさまざまな物が取り付けられている整備された船に俺は乗っていた。
船に揺らされながら、帰路に向かっている途中…風が心地よかった。
風を感じ、心地よい揺れを感じ…このまま揺らされるのも悪くないなとも思ったけどすぐに帰る目的で船を出したので水以外の食料を詰めていない。
丁度いい感じにお日様も高く上っているし、家に帰って飯でも食うか。
そんな風に思いながら輝く太陽に手をかざしながら見上げていると…
ザッパァァン!! グルン!!!
「…へ?」
気が付いた時には空と海が反転していて、俺は真っ逆さまに海に落ちた。
「ブッハァ!なんだなんだ!?」
一瞬、渦潮かと思ったが今は全くの静けさを取り戻している。
すぐさま船によじ登り、俺は周囲を警戒する。
……よくみたら俺の進行方向方面の海は高く盛り上がっていた。
そういえば何か揺れている。
どうやら大きな波に舵を取られて転覆したようだな…アレぐらいの波となると地震でも起こら………な…い…と………
待て、待て待て待て待て!!地震は確か連続でやってくる…!
今の波が一回目の地震による波だとすると…
後ろを振り向きたくなかった……振り向いてしまえばわずかな希望が崩れるかもしれないから……
それでも…どんどん太陽の光が届かなくなってるのを感じながら、俺は後ろを向いた……
………ドッッッパァァァァァァアアアアアン!!!
「わぶ!?おぼぼくぁwせdfrtgyふじこlp〜〜〜〜!!!?」
「………………ハッ!?昆布とわかめと海ブドウと海苔で埋め尽くされた三途の川が見えた!!」
俺は砂浜で目覚め、自分が生きていることを実感する。
船も破損はしているが修理すれば問題ないぐらいだし……しかもこの砂浜は俺が住んでいる村の近くだ…何もかもが運に恵まれていた。
「良かった…俺……まだ生きてる…(三途の川は気持ち悪かったけど)」
とにかくまずは村に帰って修理道具を持って来よう。飯も適当に握り飯にして持って来ればいい。
しばらく自分の生をかみ締め、倒れていた体を起こそうとする。
あれ?…重い……どこか打ったのか海草でも絡まっているのか…ただ、重いと思った体の部位は温かい…
「う…う〜〜〜〜ん………」
何かが乗っていた。そう……
全裸の…少女……
「〜〜〜〜〜〜〜!!!!!?!!!!???」
「ふぇ…?あれ……わたし…あれれぇ?」
少女はまるで眠りから目覚めたかのようにゆったりと起き上がると辺りを見渡した……
そういえばこの娘、さっき全裸って思ったけどところどころに岩みたいなのがついてるな…
そして俺をみて……
「にんげんさんにんげんさん、どうしてここにいるの?」
そりゃあ…
「それ俺の台詞だろ!とにかくどいてくれ!」
少女に乗られたままでは通行人(いないが)になにかと誤解される!
それから少女は改めて周りを見て、特に足元の辺りをみた。
「………………ああああああああ!!!」
突然叫んだ……ものすごい慌てようだ…
「ない!!ない!!?」
まるで歩くのに慣れないかのようにあちこち転びながら動き回り、血相をかいてなにかを探してる。
「おいおい、何が無くなったんだ?」
しばらく何かを探した後、スンスンと泣いている少女が見るに耐えなく、俺は一緒に探そうとした。
「す………」
「酢……?」
「わたしのす………」
「………巣?」
話を整理すると、彼女はカゴリュ……舌噛んだ…
「カリュブディス」というミミック種の魔物らしい。
「すのなかでねてたら、なんかおっきなグラグラがしてばぁぁんって…」
子供みたいな言い回しだが要はさっき俺が死にそうになった地震によってこの娘の巣は破壊されてしまったということらしいな。
「と、とにかく…ウチにくるか?海の方が居心地は良いかも知れんけど」
「……うん…わたし…うまれてからからおそとにでるのはじめてなの……どうやってかえるかもわかんないし、もうすもないし…」
本人の同意もあることだし、連れて行くことにした。
とにかく全裸はまずいので濡れているが俺の上着を着せ、村に向かう、
「あ、まって!おいていかないでぇ!!」
ふと後ろを見ると、カリュブディスの娘はまるで子鹿のようによろめいていた…
「あるくのもはじめてだから…わわっ!?」
砂の上に転んで目に砂が入ってしまったようだ…またスンスンと泣き始める。
「わかったからそんなに泣くなって…ああもう」
女の子の扱い方なんてわかんねぇ……
とりあえず俺は彼女を背負って、家まで連れて行くことにした。
「せなかあったかい……にんげんさん、やさしいね……」
俺に背負われている少女
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