「あけまして…おめで、とうございます…
hearts;」
「えっと、あけまして、おめでとう……でいいのかな?」
「ふふ…あって、ますよ、貴方様
hearts;」
三つ指をつき、うやうやしく頭を下げる彼女に見習い、
彼もまた、彼女を真似て挨拶をする。
「今日はその…なんかいつもと違って、凄い綺麗というか…素敵な感じだね」
「くす…お正月です、から」
普段から濡れた着物を羽織っているような彼女――ぬれおなごと呼ばれる魔物――だが、
今彼女が身につけている着物は普段のような薄い浴衣ではなく、
小さな模様が全体に入っている小紋と呼ばれる少し小洒落たものになっていた。
淡いピンクに近い紫色の生地に、小さな小桜の花が無数に散りばめられており、
振り袖のような派手さは無いものの、彼女のもつ淑やかさを表す様な、そんな優しさが垣間見れる。
大陸で生まれ、長らく大陸を旅していた彼――名をレオナという――にとっては、
初めてジパングで迎える【正月】というものに戸惑いつつも、普段と異なる数々の催しを心から楽しんでいた。
「ふふ…まずは。お年玉から…ですね」
「お年玉?」
「はい…くすくす」
そう言うと彼女は懐から何やら袋を取り出す。
普段身につけている服は常に湿ったような見た目だが、彼に渡すものは不思議と濡れているものはない。
そんな不思議さも、旅人として長く暮らしていた彼の好奇心を刺激したのかもしれない。
受け取った袋はジパング固有の植物から造られた紙で作られており、
大陸の紙とは異なる、独特な触感をしていた。
小さく書かれた狗の絵は、その年を表すだけでなく、1年を通してジパングの人々を守る神様として役目もあるらしい。
そんな見た目も良いお年玉袋だが、肝心の中身が気になる。
彼がふと彼女に視線を向けると、彼女は嬉しそうにニコリと微笑む。
それを了承の意と捉えた彼は、嬉しそうに袋を開ける。
「これは…券?しかもなんかすごい沢山入ってるんだけど…」
「はい…くすくす」
「あの……好き放題って…」
「貴方様の…好きな服装で…好きな場所…好きな体勢で…うふふ
hearts;」
「えっと…あり、がとう?」
「どういたし、まして…ふふ」
いまいちお年玉が何であるか理解できなかったが、嬉しそうに頬を染める彼女を見て、
自分が抱える疑問を明らかにすることは諦めることにした。
「えっと、とりあえずご飯にしようか、お腹空いてきたしさ」
「はい…それじゃあ…」
そういうと彼女は普段のように台所へ向かうのではなく、彼の隣に寄り添い彼の腕にぎゅっと抱きつく。
うっとりとした、恍惚とした表情を浮かべる彼女と、ドギマギとした彼。
寄り添った彼女は、優しく彼の手に自分の手を添える。
「…ぼ、牡丹さん…?あの…そのご飯を」
「くす…今日のご飯、は…お餅…ですよ」
「オ、オモチって…?」
「はい…きっと貴方様の、お口に…合いますから…くすくす」
そういうと彼女の身につけていた小紋の着物は、
まるで見えない手に脱がされているかのように、ゆっくりと脱げていく。
細く女性らしさを感じる丸い肩が見え、徐々に脱げていく着物の隙間からは鎖骨も覗く。
そして彼が大好きな、彼女の豊満な胸の谷間が見える所で動きは止まる。
元々着物は擬態であり、彼女の意思によって色も質感も彼女の思うがままに表現できるものだが、こんなことまで出来るとは彼も知らないことだった。
露出し、けれども肝心の所は見えず、どこかじれったさを感じるところで止まっている。
彼の目が彼女の谷間に釘付けになっているのを、彼女は満足げな笑みを浮かべて見つめていた。
そんな彼を前に、彼女は彼の手を掴むとそっと自分の谷間へと持っていく。
何も出来ずに彼女の行動を見ることしか出来ない彼を、くすくすと笑いながら彼の手を着物と肌の間に導く。
いつも少し湿り、ひんやりとする彼女の肌だが、今日は何故か人肌よりも少し温かい程になっていた。
「あっ…温かい…」
「くすくす
hearts; 特製のお餅は、どう、ですか?貴方様だけの…特別なお餅…
hearts;」
「すごい…温かくて…とても、柔らかくて…それに、いつもより大きくて…」
「ふふ…
hearts; もっと、もっと…満足するまで……貴方様の…好きなように
hearts;」
「これが…オモチ…」
無論、完全に間違えたことを教えているが、時たま彼女はこうして彼に誤ったジパング文化を教える。
それがわざとなのか、それとも天然なのかは不明だが。
だが、いつもよりもモチモチとした、サラサラなその肌はまさしくもち肌と言えるものだった。
ぬれおなごという種族であるからこそ出来るこの芸当に、彼はすっかり夢中になっていた。
彼女の手が離れても、彼の手は彼女特製の【おもち】をその手でひたすらに堪能
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