真影

 くちゃくちゃと唾液が混ざり合う音が静かな境内に響いていた。樹に押し付けられた狂祐は、カレンが繰り出す口撃をじっくりと堪能していたが、不意に彼女のほうから唇を離した。
 グール然りといった感じに舌を絡めあっていたのでお互いの口元から胸元にかけては唾液でベトベトになっていた。
「ごめん!汚しちまった。」
 そう言ってハンカチかティッシュを取り出そうとしたが、普段からそんなものを持ち歩くようなエチケットを身につけているはずもなく、わたわたとし始めた。
「いいよ。気にしないで。恋人同士になったんだから。」
 カレンはそう言うと、自分の制服のポケットからハンカチを取り出し、狂祐の口元と胸元を拭った。
(優しいなぁ。それでいてちょっと積極的なんてまさに理想だなぁ。)
「ねえ、知ってる?そこの社って鍵かかってなくていつでも中に入れるのよ。」
 そう言うとカレンは狂祐の腕を引いて社へと案内しようとした。
(これはあれか?あれのサインなのか?OKなのか?いやいや、でも告白したのはついさっきだぞ??)
「どうしたの?」
「い、いや、でも、勝手に入ってばれたらヤバイんじゃないの?」
 とりあえず別の話で諦めさせよう。いや、本心では余りにも可愛過ぎる笑顔で迫られて、濃厚なキスまでしといてここで終わりというのは狂祐自身我慢できるものではなかったが、人間は理性の生き物、何とか押し止めるように勤めた。
「ここって境内が狭いから社務所は下にあるの。しかも、こんな時間に千段階段を上がってくる人なんて私達だけよ。」
「それはそうかも知んないけど・・・。」
「大丈夫だって。ねっ?ダメ?」
「グハッ!」
 リアルで死にそうになった。小首をかしげて上目遣いに尋ねてくる仕草は、ずいぶん前に彼女があるドラマのワンシーンを女子達と話していたときに想像していたものにそっくりだったからだ。
 絶対に一度、やってほしいと思っていた仕草までされて、男狂祐が我慢できるはずもなかった。
「し、仕方ないなぁ〜///」
 半ば引っ張られる感じだったものが最終的には自分から急かす様に社へと向かった。
 古い外観とは違い、社の中は掃除が行き届いており、古い建物の独特の臭いもしなかった。三十畳ほどの広さがあり、建てつけもしっかりしているのか床板もきしまない。入ってきた扉を閉めるとそれまで感じていた夜の寒さも感じなくなり、今までかすかに聞こえていた虫の音も聞こえなくなった。
 しかし、おかしなことに社の中にはすでに赤々といくつもの蝋燭が立てられており内部を明るすぎずそれでいてよく見える程度に照らし出していた。また、本来あるはずの御神体らしきものは一切なく、代わりに中央に見るからにふかふかしてそうな敷物が敷かれていた。
「これ、君が?」
「やあね、そんなわけないでしょ。でも、ちょうどいいじゃない♪」
 カレンは、そう言うと靴を脱ぎ、中央の敷物の上にごろんと寝転がり始めた。
「ん〜、気持ちいい!あんたもこっちにきたら?」
 カレンは、仰向けになり片手をこちらへと差し出して誘った。カレンは、意図的にスカートを短くしているので、仰向けの状態で片膝を立てられると見えそうで見えない絶対領域が形成される。
 その扇情的なポーズは、クラスの馬鹿な男子が学校に持ってきていたグラビアに載っていた写真にそっくりだった。狂祐も、こんなポーズ、カレンがしたらいいなぁ、とも思っていた。
「お、おう。」
 狂祐は、誘われるまま、急いで靴を脱いでカレンの横に寝転がった。
 確かに、ふかふかで気持ちいい。だが、狂祐はそんなことを気にしていられない。告白した相手に盛大にふられ、その日のうちに同じ相手に告白し、今度はOKをもらったうえにベッドインまで果たそうとしている。この状況を理解できる人間のほうが少ない。
「ねぇ、狂ちゃんって呼んでいい?」
「えっ?いいけど。」
「やった!じゃあ、私のこともカレンって呼んでね。」
 狂ちゃんって呼んでもらえたぁ〜。今まで何度妄想したことだろう。
 そんな風に惚けているとカレンは、狂祐の服を脱がしにかかった。
「ちょ、マジでいいのか?」
「なんで?いいじゃない。恋人同士なんだし。」
「いや、そうだけど。・・・俺童貞だから。」
「そんなの私も初めてだし。でも、きっと大丈夫だと思うよ。」
 なんだかよく解からない自信を見せるカレンに押されて恭介はいそいそと服を脱ぎ始めた。




 互いに裸になり、改めて二人は抱き合って横になった。
「へぇ〜、男の子のってこうなってるんだ。」
 カレンは緊張でギンギンになってる狂祐のものをニギニギしながらつぶやいた。
 初めてだと言う割には、カレンの触り方は手馴れたものだった。というより、こちらがこうしてほしいと思っているところをピンポイントで責めてきていた。
「ここ
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