季節はまだ暑さが続く真夏だ。
俺の名前は鬼崎一騎(おにざき いっき)という珍しい名前だ。
明らかに中二くさい名前だが…両親が決めた名前だから気にはしない。
「外はどうやら熱いようだ」
俺が今いるのは、とある病院の一室の窓際にあるベットの上で俺は窓の外を眺める。
外ではスライムの親子が熱そうにしながらホルスタウロス特製の濃厚ミルクアイスを舐めながら道を歩いている。
俺は、その親子の御吠えましい姿を見ながら大きなため息を漏らす。
パーキンソン病という病をご存じだろうか?
それが、俺にのしかかっている病気だ。
もう、足を動かすことはできない。
「……。」
俺は窓辺から見える雲一つない空を見上げて一息漏らそうとした、その時だ―
俺の顔に何か柔らかいものがのしかかってきたのだ。
「……ふぃぎゅッ!?」
俺は、今まで出したことのない声を出してベットに寝かされる羽目になった。
俺の目の前はまだ真っ暗の状態だ。
とりあえず、顔にくっついているものを触ってみる。
……ふにゅッ♪……
「……ッ!?」
俺は温かくて柔らかいものに触れた瞬間に何故か顔を赤くした。
そして、俺は理性を保ちつつそれをどかした。
「……ぅぅッ……」
「……はい?」
俺は上半身だけ起こして俺の顔に飛んできたものの存在を知った。
顔は綺麗に整った顔つきに茶色髪のポニーテール。
括れもしっかりとわかりスタイルも抜群の美女だ。
しかし、ながら手足は人間の物ではない。
手足は、ドラゴン種の物だと分かった、どうやらこの女性はワイバーンのようだ。
「……うぅ〜ッ……ここは何処……だ……ッ?」
「……ど、どうm」ドゴォッ!!
蹴られた、それも綺麗な迷いが無い綺麗な蹴りを俺の顔面に…―
「うぎゃあああああああああッ!!」
俺は顔面を押さえながら悶絶を喰らった。
ワイバーンの女性はベットから降りて腕を組み、こちらを睨んでくる。
まさかとは思うが…、俺はこのワイバーンの女性の柔らかそうなお尻を揉んだのかと思うと…。
「……そりゃッ、元気になりますよ」
「誰と話しているんだ?」
「いやッ、何でも無い」
そう、これが俺とワイバーンの女性の風車諷(かざぐるま ふう)との一週間の物語の幕が上がったのだ。
「おーいッ、一騎来たぞ?」
「せめて窓からでは無くて扉を開けて来れないのか?」
「いやだッ、めんどくさい」
「お前なぁ〜……」
あれから何故か諷は病室のドアからでは無くて窓から入ってくるようになった。
…っとは言っているが彼女曰く、「離陸するのが楽だから窓から入るのだ」っという理由で窓から侵入するのは諷であろう。
そんなことを思っているとベットの近くにある椅子に座って翼を器用に使ってから俺を涼ませてくれている。
冷房の涼しさと諷が送ってくれる風がこの暑さでは心地が良いものだ。
「どうだ一騎、涼しいだろ?」
「あぁ…スイカが喰いたい」
「私の胸を見ながら言うな、このスケベ人間めが……」
「……いたッ!?」
俺は何か悪いことをしただろうか?
ただ単に、目の前にあった二つのスイカが食べたいと言っただけだぞ?
なのに…何故なんだッ!?
「知るかッ!!」
「また、蹴るのか、くぎゃッ!?」
またもや、このワイバーンは病人を蹴ろうとしましたよッ!?
俺は、それを受け流したと思ったら視界が逆さまになってベットから転げ落ちた。
「おいッ、大丈夫か?」
「いててッ、大丈夫に見えるのか?」
「…見えないな?」
「だったら、どうにかしてベットにあげてくれ」
「はいはい、わかったよ」
諷は俺を抱きかかえてベットに寝かせてくれるところは優しさを感じる。
この暴力性が無かったら俺は真っ先に告白をしているところだろう。
だが、それをしたとしても何処にも出歩くことはできない。
「この足が動ければな、好きな時に外を出歩けるのにな……」
「男がそんな弱気になるな一騎」
「でもさ諷?」
「なんだ、どスケベ一騎?」
「スケベなのは認めよう、俺といて楽しいか?」
俺の質問に諷は首を傾げたかと思うと俺の頭に抱き着いてきた。
俺の顔には諷の二つの大きな柔らかくてマシュマロに近いようなものが触れている。
「いいか一騎。私は何故かお前と居ると元気が湧いてくるんだぞ?」
「……それって?」
「何故かはわからない。……だたな、お前の笑顔が好きなんだと思う」
「……。」
諷の言っていることは俺にも分からない。
それが、彼女の気づかない恋心だとしても俺には分からない。
諷の感情は諷のものだから、俺には理解の使用が無いのだ。
「……。」
「あぁ〜ッ、何だか言ってみて恥ずかしいから今日は帰る」
「あ、あぁ……またな?」
彼女は窓から飛び立ってから俺の方を見て少し照れくさそうに笑顔を見せてから空に消えた
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