あの戦いがあってもう一週間がたった。
俺はギルドの上にある道場で座禅を開始していた。
その前には木刀を二本持った母さんが経っている。
「良いかしらシューヤ?貴方には足りないものがある」
「……。」
「それは、貴方の命を大事にしないことよ」
「わかってるさ。でも……」
「でも…じゃないわよ?ヴァンちゃんとセツちゃんを泣かせるつもりかしら?」
「……ッ……」
母さんの一言が俺の心を締め付けた。
嘉あっさんの言っていることは正しい。
俺は良く、命を捨てるようなことを多く経験しているのだ。
「俺は……」
目を開けて母さんの方を見た。
母さんの表情は何処か切なげで怒りを露わにした感じだった。
その養生を見た瞬間、母さんの手にある一本の木刀を奪って立ち上がった。
「久しぶりにお願いしても良いかな?」
「ふふッ、構わないわよ?息子の教育を開始しましょうかね」
そういって母さんは後方に下がり木刀を構えた。
俺は一度頭を下げて母さんに木刀を向けた。
「……なるほど、少しは私の技を身に着けたのね」
「いやいや、まだまっださ。それじゃあ……」
「えぇ……」
そう言って俺と母さんは微笑みながら木刀を構える。
暫くして道場にはとて鵜もない覇気が巡ってゆき……―
『いざ、参るッ!!』
同時に俺と母さんは前進して木刀を振った。
周囲には木刀同士が重なり合う音が響く。
その瞬間に母さんは俺の木刀を円を描くように振り払い回転しながら宙を舞った。
「……ッ!?」
俺はバク天をして母さんから距離を取った。
なぜならば……母さんの表情が殺気がこもっていたからだ。
こうなってしまえば母さんは狂人(?)へと様変わりする。
「よく気づいたわねシューヤ?」
「……ハァハァ……ッ……」
俺はその場に跪き口からとてつもないほどの血を吐いた。
……「錯覚殺し」……これが母さんのこの世界での呼び名だ。
その名の通り、錯覚を利用して相手に深手のダメージを負わせるという化け物じみた攻撃ができるのだ。
これを普通の人間が受けてしまえばその瞬間にこの世からおさらばとなる。
「……ハァハァッ……や、やるね……」
「あらあら、こんなことで根をあげようとしていないでしょうね?」
俺が目の和えを向いた瞬間には母さんが俺の額に木刀を突きつけていた。
しかし、バフォメットなのになんでこう……えぇお乳様を持っているんだろうか?
さすがはHカップを持つバフォメットだ。
俺の母さんにしてとんでもないお人(?)。
「参りました……ハァハァ……」
「ふふッ、それじゃあ……ご褒美をあげないとね?」
そう言って母さんは俺の頭を撫でてニコリッと微笑んだ。
俺はいつまでたっても母さんの子どもなんだと自称せざる負えなかった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あぁ、疲れた……」
俺はギルドの中にあるテーブルに俯せてから疲れを癒していた。
「おつかれぇ〜シュー」
気づいたらヴァンが俺の隣に座ってリボルバーのメンテナンスをしていた。
テーブルにはリボルバーのパーツと弾薬、薬莢が転がっている。
「あぁ〜ッ、何か……クエストに?」
「うん、私一人で魔界豚を狩っていたんだよ?」
うん、ヴァンとセツは簡単に魔界豚を仕留めるから怖いんだよね?
セツは今頃、街中にある港でアルバイトをしている頃だ。
「悪いな……本来ならば立場が逆なのに」
「良いよ、僕もセツも気にしていないからさ」
ヴァンの言葉が俺の心を優しく和らげてくれる。
俺は気づか気づかぬうちにヴァンに抱き着いていた。
「うえぇッ、シュー……どうかしたの?」
「ごめん……少しこのままで……」
「……うん、わかったよ」
ヴァンは何かを察したかのように俺の頭に自分の頭を乗せた。
そのままリボルバーのメンテナンスを開催する。
遠くからは母さんとリザリアさんが見ていたのに気づかないままで……―
「お主の息子も……あぁ、やってみておると子供じゃな?」
「あらあら、私にとってはいつまでも子どもなんだけどね?」
「ふぉふぉふぉッ、そうじゃったな?」
などと聞こえてくることは何故か俺にとっては幸せな気分へと変えてくれる。
ここの者は皆俺のことを大事にしてくれていると言うだけで涙が出てきてしまうのだ。
俺は、この時に一つだけ思ったことがある。
ぜったいにこの者たちを大切にしないと罰が当たるな……とね?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
それから時間が経ってあたりもすっかり暗くなった頃。
俺は一人で港で酒を持って座っている。
「……良い夜空だ」
空を見上げれば星がいっぱいに広がった綺麗な夜空に満月。
これほどの物が酒の肴にな
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