「では、こちらにお名前をご記入ください」
「はい、わかりました」
俺ことシューは現在マリンフォースにある役所で住民登録をしていた。
ここにあるギルドの先輩から「やってこい」と言われたからだ。
俺は目の前の魔女から申請書類を貰い記入コーナーで書類に書いてゆく。
「しゅぅ〜まだぁ〜??」
「もう少しだけ待ってくれヴァン」
「ぷぅ〜……」
俺と一緒についてきたヴァンは高価そうなソファに座って小型機関銃の整備をしていた。
それも俺の横手であるからして、迷惑この上ない。
「ここで油を差そうとしたらその尻尾を引きちぎるからな?」
「くぅ〜んッ……シューの意地悪」
ヴァンはしょんぼりしながら俯いてしまった。
頭の上にある三角の耳も垂れているからによっぽどのものだったのだろう。
これは彼女のこの行為は「私に構って欲しい」というサインでもある。
「はぁ〜ッ、書類書き終わったら何処かにでも食べに行こうか?」
「わふッ、本当だね?嘘じゃないよね?」
ヴァンは俺に近寄り目を輝かせながら笑顔を見せてくれた。
まぁ、言った者はしょうがないとして俺はその場で約束をした。
「わふぅ〜ッ、シュー大好き♪」
ヴァンが俺の腕に抱き着いた後に俺の頬にひんやりとした柔らかいものが降れたことに気づいた。
俺はヴァンの方を見てみると彼女は頬を赤くしてから微笑んでいた。
「……うぅ〜んッ」
俺はそっぽを向いて指で頬を書きながら少し頬を赤く染めた。
周囲の視線がやけに「ニヤニヤ」していたので俺はそそくさと書類を書き上げてから役所に提出した後早足で役所を出て行った。
「わふぅ〜ッ♪」
「……。」
役所を出た後、俺とヴァンは港の近くにある市場に居た。
やはり新鮮な魚が主に売られているので魚料理のレパートリーが増えることだろう。
それと魔界産の野菜やらもあるので彼女らとの子作りには役に立ってくれることを祈りながら市場を進む。
「シュー、アレなんかどうかな?」
「うんッ?おぉッ、こんなところでマグロが見れるのか」
俺とヴァンは目の前で行われているマグロの解体ショーを見てから驚いていた。
それもその筈である……。
「アイツは何をしているんだ?」
「さ、さぁ〜ッ?」
俺たちの眼の前にはマグロを空中に投げ飛ばし空中にジャンプして解体してゆくセツの姿があった。
しかも忍者衣装なのでもはや暗殺者(アサシン)と呼ばれても問題ないほどの着こなしだ。
彼女が地面に膝をついて着地をすれば大きな皿に落ちたマグロは綺麗に分裂して肉塊と骨頭の順番で崩れていった。
その後に周りに居た観客が大きな歓声を上げた。
「さすがはセツだ。両手首の鎌だけで300kgもあるマグロを解体するとはな?」
「わふぅ〜ッ、僕も頑張らないとね?」
「まぁ、ヴァンは基本的に遠距離だろうに?」
「わふッ、そうだったね」
何て話をしていたらセツがこちらに近づいて来ればそのまま俺の胸元に顔を埋めてきた。
その表情はちょっと厭らしかったって思ったのは俺だけの秘密。
「お疲れ様セツ」
「……シュー成分補給」
「わふぅ〜ッ、セツが甘えん坊になってる」
ヴァンは俺の腕に抱き着いたままセツの行動を見て微笑んだ。
セツはそれを聞いて顔を真っ赤にして俺の胸の顔を埋め抱き着いてきた。
「おいヴァン、あんまりいじめるなよ?」
「わふッ、こりゃ失礼した」
「……うぅ〜ッ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
現在、俺たちは街中にある建築屋の元に足を運んでいた。
中には主にジャイアントアントが多くいて、数人がゴブリンという建築職員が大きな紙に設計図を書き記したり書類を書いたりしていた。
「あのぉ〜ッ、すみません」
「おやッ、お客さんのようですね?」
俺たちは声のした方を見てみると黒の和服に身を包んだジャイアントアントが現れた。
どうやらここの社長だろうと俺は判断した。
「……貴女がここの責任者?」
「いえいえ、CEOはギルドのバフォメットです」
「あぁ〜ッ、何か納得した」
確実に納得していない台詞ですよヴァンちゃん?
俺は彼女に頭を下げてから聞いてみることにした。
「あのぉ〜ッ、ここの街に新しく家を買いたいのですが?」
「仕事の依頼ですね?分かりました、それではこちらの書類にお名前と住所をご記入ください」
俺は和服アント(←略しました)から書類を貰い、カウンターで種類を書くことにした。
ジャイアントアントのフェロモンでいきり立つ俺の愚息を何とか理性で鎮めようとしながらだ。
ちょっと、これはかなりきつかったので俺は書類を手に取ってから立ち上がった。
「おやッ、どうかなさいました?」
「えぇッ、この書類は持て帰ることはできますか?」
「はい、良いですよ。
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録