誕生日なので…わかるよね?

近くにある銀世界の中心にある葉を散らした木々の中に一軒の家がある。
そこには一人の青年と一匹のマンティスが暮らしている。
彼らは二年前に現代で同棲していて、青年のシュウが「魔界に家を建てないか?」と言ったので保護者代わりに刑部狸のイチヨウと同棲していたマンティスのユキノと共に魔界に越してきた。
それから一ヶ月が経ち新魔領の「マーム」と言う雪国にイチヨウが宿屋を立てたのでそこにある一室を借家としてシュウとユキノが住んでいる。
朝の七時ごろにユキノが少し大きめのベットから若干眠そうにしながら体を起こし、口を手で塞いでから欠伸をした。
それから彼の寝顔を見ながら微笑みつつ見つめ始めた。

「……zzz」
「……可愛い」

暫くした後にドアを二回ノックする音がしたのでユキノが「……誰?」と尋ねるとドアの向こうから「ワシだ、イチヨウだ」と声がしたのでユキノはドアを開きイチヨウを招き入れた。
イチヨウが持っているお盆には二人の朝食であるフレンチトースト二枚と暖かいコーヒーが乗ってあった。

「寝ている時は大人しいのにの?」
「えぇ、でも……色んなシュウが私は好きだから……」
「お主はシュウにベタボレだの」
「……はい」

頬を赤くしながら答えるユキノを見た後に手で仰ぎながらイチヨウは「やれやれ…」と首を振りながら部屋の真ん中あたりにあるテーブルに朝食のフレンチトーストが乗ったお皿を二枚とホットコーヒーにハーピーたちが書いている新聞をテーブルに置いてから部屋を出た。

「…ほッ」
「…うんぅ…」
「…ッ…ねご、ふんッ?!」

ベットに座っていたユキノの蟷螂のような尻尾に寝ているシュウがしがみ付き、それに反応してから彼女はビクッと肩を震わせている。
それもその筈でユキノは尻尾が敏感なのだと彼女は言っていた。

「シュウ…ふんッ…やッ、やめ…はうッ!?」
「うぅん…はむッ、むちゅむちゅ…」

寝ているシュウを真っ赤な顔で見つめるユキノは何とかシュウの体を離す。
だが、自分の弱点を刺激されたユキノの息は荒い。

「ハァハァ……まったく……」

息を整えて落ち着きを取り戻したユキノは彼の上に跨ってからシュウの首筋に噛みつく。
それも思い切って先ほどの仕返しかと思えるほどの犬歯をシュウの首にめり込ませた。

「お返し……がぷッ!!」
「いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

宿屋にシュウの悲鳴が響き渡った後にイチヨウはこう思っていた。

「あのバカ息子め……朝から騒がしいの?」

イチヨウは若干イライラしながら宿屋の受付カウンターの椅子に座ってから小さくため息を吐いてから新聞を眺めながら煙管に火をつける。

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あれから少し時間が経ってからシュウは、首筋に真っ赤なユキノに付けられた歯形を擦りながらユキノと共に冷めた朝食を食べている。

「なぁ……機嫌直してくれよ?」
「いやだ……許さない……これで何回目?」

ユキノがトースターに不機嫌そうにがぶりつく姿を見ながらシュウは困り顔でコーヒーを飲んでから言う。

「えぇ〜と……十二回?」
「ちがう……二十回目。忘れたとは言わせない」
「……はい、すみません」

ユキノが「ぎろり」とシュウを睨みつけるとシュウは困り顔で食パンを食べる。
沈黙の中二人は食事を終ええからシュウが「俺が持っていくよ」と言ってから食器を宿屋の食堂まで持っていく。
すると、そこには黒いスーツに白の白衣に身に包んだヴァンパイアであるフォニアが席に座ってから紅茶を飲みつつ新聞を読んでいた。

「やぁ、シュウ。相変わらずユキノと楽しくやっているのかしら?」
「それを俺はお前に話さないといけないのか?」

シュウに気づいたフォニアが彼に微笑みながらユキノとの日々を聞き出すとそれを渋った顔でシュウは言う。

「いや、そのようなものには興味ないわ。……でもね?」
「そうだろうな?……ッ!?」

フォニアがシュウの顎を人差し指で上げると首筋を見つめる。
その目は何処か魅惑のある目でもあり相手を敵視している目でもあった。

「乙女をあんまり傷つける物じゃないことは覚えておきなさい」
「あぁ……わかってるんだが、努力しても分からないものだな?」

シュウの答えを聞いたフォニアは彼の顎から指を離してから新聞に目を向ける。

「ふふッ、それが当り前よ?」
「俺にはさっぱりだ」

「その位が貴方らしいわ」と言ってからフォニアは新聞を綺麗に畳んでから隣の椅子に置いていたバックに入れてから立ち上がる。

「それじゃあ、私はフォードと会う約束をしているから失礼するわ」
「あぁ、そうなのか?それじゃあ……またな?」
「えぇ、また会いましょうね」

咳を立ったフォニアがシュウに背を向けて手を軽
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