太陽が海水浴を楽しむ者たちの頭上に上ったのを知ったフォードが一息ついてからスノー・ヘルの男性五人に命令を下す。
それを聞いた男たちは急いで浜辺近くに止めてある一台の小型の運搬用トラックに向かう。
「諸君、今から食事を取ろうではないか」
『うおぉぉぉぉぉッ!!』
『わぁぁぁぁぁいッ!!』
フォードの言葉を聞いた者たちがそれぞれ雄叫びや歓声を上げる。
それを聞いたイチヨウと妖狐の凛々の耳が一部の人間女性と魔物娘と共に準備をする。
そんな中を一人急いで戻ってくるフォーリアを見つけたフォードが一息ついてから微笑む。
「何処にいっていた?」
「ハァハァ…すみません…ちょっと一人で泳いでました」
「ふむ…まぁ、良かろう。では、調理を共にやろうではないか?」
「…はい」
そしてフォードとフォーリアが女性陣の元へ向かう中をシュウとユキノは固まっている。
それもその筈で、二人はまだ縄で密着状態のままなのを誰も知らない。
「…なぁ、ユキノ?」
「…何も言わないで…恥ずかしいから」
「それをどうするか考えれないのか?お前のその鎌は飾りか?」
「…後でたっぷり私と行動を共にしてくれるのであれば考える」
「わかった」
「くすッ…交渉成立」
そして、ユキノの鎌により二人を拘束していた縄は木端微塵になって砂浜に落ちる。
その後でから二人は後で「覚えてろよ?」と現行犯三名に殺気の籠った視線を送る。
『…ッ!?』
「…嫌な予感しかしないのですけれど?」
「同感だな?」
「ワシの息子(でし)にしては最高の殺気だ…後で褒めてやろう」
イチヨウとフォードにクノーは少し肩を震わせながら先ほどの男性たちが持ってきた食材を裁いてゆく。
しかし、クノーのあの羽根でどうやって包丁をもつのかは木になるものが居るだろうが割愛する。
そして、何かに怯える三名を見ているフォーリアは首を傾げて頭にくえっしょんマークを浮かべるのであった。
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暫くお待ちください
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それから女性陣が調理し終わってから皆はバーベキューや焼きそばにスイカを堪能している。
話し声や笑顔が砂浜に満ちてゆき始める。
そんな中をフォーリアは一人早めに昼食を終えてから一人で海の中に潜っていた。
―何かの気配…これは…魔界虫ッ!?―
彼女は岩陰を利用してその影の中に手を突っ込み黒い刀を取り出す。
彼女はその黒い刀を下段の構えで何処からか来る殺気を感じながら周囲に視線を送る。
すると遠くから何か勢い良くフォーリアの方に向かってくる黒い影を見据えながら目を閉じる。
彼女が潜水できる時間帯はわずか十分と言う少し長い遺憾を頼りに刀を構える。
そして、岩をも砕く速さで彼女の元へ向かってくる魚のように泳いで来る存在の魔界虫「シーワーム」にその周囲に居る魔界虫「ボマー」が接近している。
―早いッ!!―
彼女は水中を蹴ってからシーワームの攻撃を避ける。
しかし、十体ほどのボマーの接近にきずかなかった彼女は腹部に爆撃のような痛みを感じながらよろけてから肺の中にあった空気を全て吐き出してしまう。
―…息か…できない―
「…ぼふぁッ…」
そして、彼女が喉を抑えながら水上に向かうのをシーワームと九体のボマーが見逃すはずもなく彼女に襲かかる。
そして、シーワームがフォーリアの脚に噛みついてから水中に引きずり込もうとし始める。
そして、彼女の脚からは真っ赤な血が水上に浮上してゆくのを見ながら目を閉じ始める。
「…ぷはッ…!?」
彼女はここで悟ったのである「あぁ…私は此処で死ぬのかな?」と目から涙を流しながら「リュート…ごめんね…」と心の中で言った後二徐々に目を閉じ始める。
そんなときだったのである。
何処からか飛んできた水圧弾がシーワームの目に直撃した瞬間いシーワームは悲鳴を上げながら口を開く。
それによってからシーワームとフォーリアが離れてしまう。
気を失ったフォーリアを何者かが抱きしめてから口に含んだ空気をフォーリアの口に口移しで送り込む。
そして、彼女は目の前の謎の人物の温もりを感じながらそこで意識を失うのであった。
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暫くお待ちください
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「…り…ろ」
―…あれ…私…死んだのかな?―
「…おき…よ…」
―誰か…私を…呼んでいる…?―
「起きろフォーリアッ!!」
「…ッ!?」
誰かに呼ばれた為起き上がると「うごッ!?」と何かに当たり変な声が聞こえた。
それから彼女は周囲を見渡すと周りは砂浜で皆がフォーリアの周りに集まっていた。
「フォーリア…大丈夫か?」
「…ここは…」
「ここは砂浜だ。良かったな、怪我は大丈夫か?」
「フォードさん…はい、何とか大丈夫です」
「そっか…それでは暫くは救護班に応急処置を施してもらえ…話はその後だ」
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