車を走らせてものの五分で近くにあるラーメン屋に到着した。
ここのラーメン屋は元々は人間の店主が営んでいたのだが寿命で亡くなった。
そして今は「風風亭(ふうふうてい)」から「蕎麦処狐狐(こんこん)」と言う名前になったのだとこの間新しい店主から聞いた。
そして俺は車のエンジンを止めてからドアを開いた後はドアにロックをかける。
それから店に入るとそこには…もふもふな世界が繰り広げられていたのである。
まぁ、もふもふは後にしようと思う。
俺は気になることがあるのだ。
それは、この店の内装で壁は前の店と変わらない白のアジアンチックな壁でテーブルとイスは主に木製であるのだが桐の木を使っている。
そして、その椅子の上には紫色の高価そうな座布団が置いてある。
そんでもって前の店ではなかった座敷があるのである。
そこから見える風景はまるで京都にあるお寺をイメージできる和風の風景である。
そんなことを考えていると何処からか現れた妖狐の店員がこちらに頭を下げてていたので微笑む。
「いらっしゃいませお客様。何名様ですか?」
「あぁ、一名でお願いします」
「はい、畏まりました。では…スンスン」
「…おいおい、どうかしたのか?」
「いえ、煙草の臭いがしたので…未成年ですよね?」
「…貴女には敵わないよ枢(くるる)さん」
「うふふッ、何せ私は貴方の先輩ですから♪」
「あはは…」
枢雅(くるるみやび)と言うのがこの妖狐の名前である。
彼女はここで働く指導員でもあるのだが彼女は嗅いだものの香りが何なのかが分かるのだという。
そして俺は枢さんに案内されながら店内に向かうと何故か「VIP専用」と書かれた部屋の前に案内されていた。
「…あのぉ、枢さん?」
「はい、何か御座いましたか?」
「いえいえ、そうなのですよ?何で俺はVIP専用の部屋の前に案内されr「細かい話は無しですよ
#9829;」…そうですか」
そして俺の話は枢さんによって揉み消されてしまったのである。
そんで「部屋の中で十分待ってて下さいな♪」と言われているのでVIP専用の部屋を説明しようと思う。
まず部屋は和室の内装でできているのである。
和室が好きな俺には堪らない部屋である。
そんでもって机には桐の木が使用されている。
それから座るものは良く旅館にあるあの椅子である。
脚が無いので座るところには金色の座布団が置いてあるのである。
そして、その座り心地はと言うとあのもふもふの感触が座った瞬間に伝わる。
それから小さなスペースには「一献一命」と書かれた掛軸の下には高そうな茶色の壺に白百合の花が活けられているのである。
『お客様お待たせしました』
「この声は椿さんですか?」
『はい、椿です。お手製御蕎麦ができたのでお持ちしました』
そして、襖を開いたかと思うとそこには稲荷の桜芽椿(さくらめつばき)と言うここの店主が正座をしてから三つ指を地面につけてから頭を下げる。
彼女は前の店主に拾われた稲荷で元店主が亡き後は古びた店を改築してから今の状態になったのだと聴く。
「さぁ、どうぞお召し上がりください」
「はい、では…頂きます」
俺は机に置かれた椿さんのお手製の蕎麦を箸で持ってからつゆにつけて啜る。
口の中は蕎麦の風味が味わえのど越しは最高と言えるものだ。
これほどまでに仕上がるのは何年かはかかるだろうと思うのだが椿さんは覚えたものを忘れることは無いのだと言っていた為納得の味である。
「お味の方は如何でしょうか?」
「えぇ、この蕎麦の風味とのど越しはどの店でも出ない逸品ですよ?」
「ふふッ、それは褒め過ぎですよ」
「何を言いますか?尻尾をわさわさしながら言っても説得力は御座いません」
「あらら?貴方様は意地悪ですね?」
「そうでしょうかね?」
「えぇ、全くです」
そして俺は椿さんと笑い話をしながら蕎麦を平らげた。
皆も是非「狐狐亭」に着てみては如何だろうか?
ここの店主との話は面白いから満足するぞ?
「では、そろそろ…種明かしをしてください」
「あらら?何のことですか?」
「とぼけても無駄ですよ?」
「うふふッ、では…始めましょうか?」
「…あちゃぁ〜」
…後半に続く。
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