6、「影少女と機械兵たち」

この世界では、旧魔王時代にあった街や村の跡地が数え切れないほどある。
その一つである『ギャンバー』という名前の街だった跡地を一台のバイクが通過してゆく。
道に敷かれてあるタイルだったものでパンクしないように速度を落として走行するバイクを操縦するのは、まだ十代ほどの少女で黒髪の前髪に白いメッシュがあり、ルビーのように真っ赤な瞳のユリだ。
そんな中でユリはバイクのブレーキを握って目の前にあるものを見て目を細めた。

「……。」

ユリの眼の前にあったものは、人の骨や血の付いた綿が出ている人形。
古く錆びた県や防具があっちらこっちらに転がっているのだ。
それも新しいから古いものまであるのでユリはバイクのエンジンを切って影に入れて前を見た。
その後に、両腿にあるホルスターからハンドガンを取り出して右手に持ち、銃口を前に向けて、左手にはサバイバルナイフを持ちゆっくりと進んでいく。

「これは、生贄か何かなのかな?」

穴の開いた頭蓋骨を見てからユリは落ち着きながら頭を回す。
暫く先に進んでいると、そこには教団の物である剣や盾も転がっている。
これは、真新しくてそこには…――

「これは……一体……」

そこには、無残にも切り刻まれた死体が五体、何かに突き刺さったまま死んでいる者も居たのだ。
それは全て、教団の兵隊で腕に狼の刺繍がされた腕章がつけられていた。

「教団の特殊部隊がこうもあっさりとやられた……だとしたらッ……」

ユリは、目の前の死体を見てから影から白い籠手を取り出してから目の前の死体を一か所に集めた。
そして、瞳を閉じてから両手を合わせた。

「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……」

そう言ってから片手で拳を握り青い焔を纏わせて死体の山に火をつけた。
これは、彼女ができる範囲での葬式だ。
ユリは、死体が燃えまで両手を合わせてから瞳を閉じた。
そんなユリの後ろを二十メートルは離れて瓦礫から何者がユリの様子を見ていた。

――――――

火葬を終えたユリは、再度白い籠手を影に入れてから今度はワイトのベレッタからもあったアサルトライフルを両手で持ってから周囲を見渡す。
ユリは目を細めてからアサルトライフルを構えた。

「何か来る。これは……ッ!?」

ユリは頭上を見上げてから急いで緊急回避をした後に、何かが落ちる音と共に砂煙が舞った。
緊急回避をしたユリはしゃがんだ状態でアサルトライフルを構えてから息を整えた。
砂煙の中からは、二メートルはあるだろうと思われる機械兵が姿を現した。
機械兵の赤く光る一つの目の横にはサイレンサーが取り付けてあった。

『目標確認。ただちに排除する』
「・・・。」

ユリは、立ち上がりアサルトライフルを構えてから機械兵を睨む。
それも、その筈でこの機械兵は…――

「『あの人』が作った戦闘型の機械兵……見逃してはくれないよね?」
『攻撃モードに移行。ただちに排除せよ』

機械兵の腕からは三十二型ガトリングが現れてからユリの方に銃口を向けた。
それと同時に、あっちらこっちらからマシンガンを持った迷彩服姿の男たちが現れた。

「何が目的なんですか?」
「さぁてな?『あの方』にあってから聞いてみな?」

ユリの質問に男の一人が怪しく微笑みながら答えた。
彼女はその答えを聞いてからため息を吐いてからこういった。

「私の予想通りの答えが聞けたので安心しました」
「そうかい。んじゃあ、このまま死ねやッ!!」

男の大声と共に壁を打ち壊してから二体の機械兵が現れた。
それと同時にユリは、アサルトライフルを構えてから戦闘に入った。
アサルトライフルから放たれた銃弾が機械兵の装甲をかすらせてゆく。

「そんなものじゃ、この機械兵は壊せないぜ?」

そう言って男は攻撃の合図をしてから他の連中と居同時にマシンガンを撃ち始めた。
機械兵も同じで、ガトリングを撃ち始めてゆきユリはそれを影でしのいでゆく。

「どうしたら勝てる?どうずれば…――」

ユリは陰で敵の攻撃をしのぎながら周囲を見渡す。
するとユリは微笑みながらある方を向いて走り始めた。
それを男たちや機械兵は見逃すことをせずに撃ち続ける。

「逃がすな必ず殺せッ!!」
「バカな人たちですね?」

そう言ってユリは、ある場所を撃ち続けた。
ユリが撃っている場所は、教団が使おうとしていたのだろう砲弾を撃ったのだ。
それに気づかず男の一人と機械兵の一機が爆風に飲まれて戦闘不能になった。
死んだ仲間を見た男の一人が青筋を額に浮かべてからユリに乱射した。
ユリはそれに気づくも回避が出来ずに左肩に銃弾がかすれた。

「……くッ!?」

ユリは左肩を押さえながら後ろを振り向いて男の一人に銃弾の雨を浴びせてからがけの裏にあった隠し階段を見つけ、その中に入った。

「隊長、『歩く銃器』が
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