なんだ……これは……?あのガキはどこだ……!?
全てを解かすような闇と全てを切り開くような光が私達を包み込みその真逆の性質を含む二つの力が過ぎ去った後、眩い光によって目を閉じていた悪霊が光が止んだことに気づくと自らの目を開けて目にした光景を見て状況を理解できず唖然としていた
男が目にしているのは先程まで私達がいた友子ちゃんの部屋とは打って変わった情景であった
今、私達がいるのは空には白い雲がくっきりといくつか存在するが青く澄み渡ったどこまでも続くような空が広がり大地には深い緑を湛えた木々と広い草原には一面の若草色が存在し各所から響いてくる透明な清流の音と赤子の柔肌を撫でるかのような春風に似た風の流れをが心地よく聴覚と触覚を刺激し輝きを放つ星々が昼間でありながらも同時に存在すると言う矛盾する要素がありながらもここは幻想的で楽園のような世界であった
そして、この場には友子ちゃんの姿はいなかった
「ここは私の創り出した『世界』よ」
なんだと……?
困惑している悪霊にリーチェがそう答えた。彼女の答えたとおり、ここは彼女の創造した疑似的な魔界だ
そもそも、ダークマターである彼女には一瞬でこの地域を魔界化するなど余裕でできるほどの魔力が存在する。しかし、彼女はそれを有効活用する技術が存在しないのだ
だが、そこに比較的に魔力の扱い方に秀でている私が加わることで一時的であるが周囲に異空間を創りあげることがようになったのだ。さらにリーチェの種族であるダークマターは別名『黒き太陽』と言われており、本物の太陽の如く僅かの魔力を私が与えるだけでそれを核融合炉のようにほぼ無尽蔵に増加できるらしい
「じゃあ、アミ。次はあなたの番よ?」
リーチェは私の方へと振り向き私はその様子を見て
「ええ、わかったわ。リーチェ」
私はそれに応えてゆっくりと前に進み歩みを止めると目を閉じて意識を集中し心を静めると
「この鍵のうち一つでも欠くるならば、ほどまく鎖しの中をめぐらざらばこの入口開かざらん」
と静かにある言葉を口遊んだ
……!?また、厄介なことをするつもりだな!!そうはさせるかあああああああああああああああああああああああああ!!
悪霊は私がリーチェのように呪文を詠唱したことに危機感を募らせて私達に向かって襲いかかろうとしたが
ぐっ……!?
しかし、突如見えない鎖に縛られたかのように私に向かって走ってきた悪霊の動きがピタリと止まった
身体が動かねえ……てめぇ……なにしやがった!?
身動きの取れなくなった悪霊は恐らく自らの身体に起きた異変の原因であると考えた私達に向かって怒鳴りながら訊いてきた
「どんなに足掻いても無駄よ……この世界においてはあらゆる悪意を持つ者は動きを封じられるわ」
な、なんだと……!?
リーチェの一言に身体の自由を奪われた悪霊はぎこちなく口を動かした
そう、この世界はあらゆる悪意を持つ存在は身体の封じる結界でもある。なにせ、この世界は彼女、リーチェが望んだ楽園なのだ。
魔と戦い続け、自らの手を血で染め続けでも守ってきた人々に裏切られた彼女が真に望んだ楽園。それがこの世界
仮にこの世界をこちらの世界の神話の楽園で例えるのならば、この情景は『西の風が吹く楽園』に例えられるのだろう
そんなリーチェと悪霊の会話が終わると私は再び口を開き
「一つは大いに貴きもの、されど一つは結びを解すものなるがゆえにあくるにあたりて偉大なる技と叡智を求めん」
さらなる言霊を発した。すると
―ボッ―
なっ!?ひ、火の玉……?
私の周囲にこの豊かな自然に満ち溢れた楽園ににつかわない文明の象徴とも言える轟々と燃え盛る火が生まれた
だが、それで終わりではなかった
―ボッ―
―ボッ―
―ボッ―
―ボッ―
―ボッ―
―ボッ―
な!?また……!?
炎の数は次々と増えていきその数は七つにまで増えていき、私を中心に円陣を組んだ
そして、私は最後に
「我等、これをペテロより預からん、彼、我に告げ、曰く民我が足元にひれ伏するならば、むしろ誤って開くことはあれど誤って閉じおくことはなしと告げるものなり!!」
と呟いた。すると
―ヒュ―
―ヒュ―
―ヒュ―
―ヒュ―
―ヒュ―
―ヒュ―
―ヒュ―
なっ……!?
私の周囲に浮かんでいただけであった炎達は弓から解き放たれた矢の如く勢いで悪霊目がけて向かって行った。そして、そのまま
―ボッ―
ぎゃっ……!!あつ……!?
動きを封じ込められた悪霊に直撃し悪霊は燃え盛る炎が自らにぶつかったことで一瞬、拷問で焼き鏝を押しつけられたがのような熱さを感じらたような反応を見せたが
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