『輝き』と『太陽』と『蛇』と『獣』

「ここね……」

 私は今、ある山を目の前にしている。その山は私の行く手を阻むかのように木々が生い茂り、道は登山道があるにはあるがあまり近年の登山ブームに使われるような整備されたものではない。私がここにいる理由は決して、登山に来たわけでもないし、ましてや私の趣味には山登りなど存在しない。私がこの山を訪れた理由はたった一つ

「晴太……陽姉……」

 七年前の『決着』をつけにきたことだ。三日前、仙田君とは結ばれた翌日に私の下にアミさんがわざわざ訪れ、彼女は私にあることを言ってきた

『お姉さんと弟君に会いたい?』

 私はそれを聞いた瞬間、驚きのあまりに困惑してしまった。実はアミさんは私に関することを茉莉さんに聞いたらしく、その際に七年前の事件のことも茉莉さんに教えてもらったらしく、その後色々と調べてくれたらしくこの山の場所を教えてくれた。そして、同時に私に特定の種族の魔物娘の魔力を辿ることのできるマジックアイテムのコンパスを渡し、彼女は謝罪してきた。これらのことが示す意味は一つだ

「陽姉も……魔物娘に……」

 つまり、それは私としては最も信じたくなかった私が七年前、推測した七年前の事件の犯人が私の双子の姉であり、彼女と失踪した弟の姉でもある瀬川陽子だと言うことだ。さらには証拠はそれだけではない。私は自分の背負っているリュックサックから、あるものを取り出した

『今日も晴太は妹に笑顔を向けた。あの子は優しいけど、その笑顔が私を苦しめ、癒す。あの子の笑顔で重圧に押しつぶされそうな私は救われている。だけど、その笑顔が私だけのものではないのが私を苦しめる。私と違って何も悩まずに生きている妹にどうして、あの子の笑顔が向けられるの。不公平じゃない。どうして、私と違って苦しんでいないあの娘にも晴太の笑顔は向けられるの。あの子の笑顔が私だけのものにできないのならあの子の泣き顔だけはわたしのものにする』

 取り出した姉の日記にはこう書かれている。少なくとも、姉が弟に対して狂気的な想いを抱いていたのは紛れもない事実だ。そして、

『『化け物』が男の子を抱えて屋根を伝ってどこかに向かう姿を!!』

 と今までの中で最も不可解だった証言がもしも、真実ならば魔物娘が犯人の可能性が確実性を帯びてくる。だが、七年前の事件では弟の晴太だけではなく、姉も行方不明になっている。魔物娘は人間の男性にしか興味がない。ならば、なぜ私の姉までいなくなるのか?そして、もう一つのこの証言の不可解なところは実際に行方不明になっているのは姉と弟の2人だ。それなのにこの証言では弟しか目撃されていない。つまりは姉の存在がなぜかこの証言では確認されていない。だが、アミさんや茉莉さんにであったことで私はそれらの問題を一気に解決できる『可能性』を考えることができた。それは

『姉が魔物娘になり、弟を連れ去った』

 というものである。それならば、あらゆることに辻褄が合う。証言の『化け物』とは恐らく、魔物娘と化した私の姉だ。もしもそれが『真実』ならば、目撃者が『男の子』しか目にしていないのは当たり前だ。自分でも言うのもどうかと思うが、私の『白蛇』としての姿も十分すぎるほど『化け物』だ。突然、一般人が私達、魔物娘の姿を見れば誰だってそう思う。実際、アミさんも茉莉さんも余計な混乱を防ぐために普段は魔物娘の姿を隠している。こう言ってはどうかと思うが、人間とは基本的に異端に対しては非常なまでに排斥的な態度をとるものであり、彼女たちが姿を隠すのはアミさんはこの世界にいる魔物娘全体とその夫達のため、茉莉さんは夫である九条さんを守るためだ。特にアミさんは茉莉さんに聞くと魔物娘の中でも高位な種族らしく、実力もかなり高いらしいが決してその力を無闇に使用しないらしい。その理由は彼女は誰よりも力を持つからこそ、常にこの世界の魔物娘とその夫達のことを考えており、人間を愛しているからこそ、傷つけまいと努力しているようだ

『この傷ね……昔、人間につけられたものなの……』

 三日前、そう言って、彼女が私に見せたのは左脇腹にある5cmほどの古傷だった。彼女は悲しそうに彼女がいた世界における人間と魔物娘の争いにおける彼女の立場を私に語り始めた。彼女は元の世界ではそれなりの地位についていたらしく、私達、魔物娘にとっての理想郷を築くために戦っていたらしい。しかし、ある時休息している時にとある人間に刺され、その際に散々、自分を含めた魔物娘に対する憎悪の言葉をぶつけられたらしく、その言葉は

『お前たちのせいで俺の家族は……!!』

 と言う言葉だったらしい。その時、彼女は自らの信じる理想を否定され、ひどく心を痛めつけられたらしく、理想を捨てることはしなかったが苦しめられるようになったらしい。私はそれを聞いた瞬間、黙るし
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