―――チュン、チュン―――
「う〜ん……」
朝が来たことで私は目が覚めた。目が覚めた私は昨日、目覚めてから知った自分の身体の変化のことについて考え出した
「………………」
私は昨日、目覚めた瞬間に自分が人間でなくなったことに驚いたがなぜかそのに恐怖はなかった
「魔物娘か……」
アミさんと茉莉さんもどうやら魔物娘らしく、私が人間のままだと壊れることを心配してくれて私を魔物娘にしたらしい。最初は混乱して驚いたけど、私としてはその心遣いは嬉しいことだ。しかし、私は今、困っている
「今日……どうしよう……」
今日、仙田君と遊びに行くことだ。本当のことを言うと、私は仙田君のことをただの友だち程度にしか思っていない。つまりは私は仙田君の心を弄んでいる気がしてならない。たとえ、魔物娘でも人間でも好きでもない異性の友人と二人きりで遊びに行くのは我ながら馬鹿だと思う。そもそも、私が彼と遊びに行く約束をしたのも
「嫌われたくない……ただ、それだけなんだよね……」
そう、私はいわゆるご機嫌取りのために約束をしただけだ。それに私は魔物娘でありながら、まだ人間を捨てきれていない。好きでもない仙田君を生涯の夫として見れるかもわからない。やはり、私は最低だ
「それにこの姿だって……」
私は人化の術を解いて、魔物娘としての姿となり鏡の前に立った
「これじゃあ……化け物だよね……」
私は冷静に自分の姿を見てそう思った。今の私は髪は黒髪から雪のように白く、瞳は黒目から鬼灯のように赤く、肌は人間の時より白く染まり、下半身はもはや人間ではなく白い蛇のような姿になっている
仮に私が仙田君を今日、好きになっても仙田君はこの私も受け入れてくれるのだろうか?こんな歪んだ私を愛してくれるのだろうか?まあ……受け入れなくてもいいや……受け入れさせればいいことね……
私は自分の手から青い炎を出した。それは私たち白蛇が夫を繋ぎ止めるための『愛の鎖(愛の証)』
「そうよ……どこかに行ってしまう前に……繋ぎ止めればいいのよ……なんで、そんな簡単なことに気づかなかったんだろう?……ふふふ……」
私はそう言って、人間の姿に戻った
……いや、もはや人間ではない私が戻ると言うのはおかしい気がする……そうね、人間の姿になったと言うべきね……
今日、俺、仙田 仁(せんだ ひとし)は高校の時から好きな子と遊ぶ約束をしており、そして、今、その子を待っている
「瀬川とデー……いやいや、何言ってんだ俺は!」
俺は自分の恥ずかしい思い違いを頭から振り払った
いや、待て……男女と2人きりで一緒に出かけることをデートと言うから……これもデートなのか?
俺はそれに気づくと
「………………」
余りの恥ずかしさに顔を真っ赤にしてしまった。そもそも、俺は生まれてから恋人と言うものを持ったことがない。というか、好きになった女性は瀬川だけだ
「あれから、7年か……」
俺は7年前に瀬川の姉と弟が失踪した事件とそれに巻き込まれた当時の瀬川を思い出した
あの事件が起きる前の瀬川は本当に笑顔が似合う女の子だった……あいつは普段の言動はなんというか馬鹿だったがそれでも皆から愛されていた……まあ、中にはあいつのそう言った人気を嫉む女子もいたし、美人だから下心丸出しの馬鹿男子もいた……下心と言う点では俺も同類かもしれないが……
しかし、あの事件が起きてあいつの姉と弟が謎の失踪を遂げたことであいつは変わってしまった
あいつの家族は世間から奇異の目で見られるようになった……通学路と校門の前ではマスコミが、学校では生徒の陰口が……それでも、あいつを守ろうとした奴もいたし、最初は瀬川もよく耐えてきた……少なくとも、俺が好きなあいつは存在した……だけど、あいつはいつしか本当の意味で変わってしまった……いつかは忘れた……だけど、あいつは暗くなってしまった……そして、俺が大好きだった『笑顔』を忘れてしまった……
俺はあの時、辛かった。好きな奴が苦しんでいるのに何もできなかった自分が許せなかった。だから、俺は警察官になった。二度と瀬川のような人間が生まれないように
でも、本当はあいつを幸せにしたかった……あいつを癒したかった……あいつを助けたかった……あいつを守りたかった……
そんな俺の心の中を見透かすように九条さんは
『いいかい?君は彼女を支えるべきだ』
と言ってきた。最初は何を言っているかは分からなかった。この人は何も知らなかったのに何を言っているんだ?とも思った。だけど、彼の目には何かを訴えるような強い何かが秘められていた。そして、俺は彼が以前そう言った経験をしてきたような気がした。ちなみに今日のデートのプランは九条
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