時間の終着点と始発点

 目を覚ました僕は驚いた・・・目の前には僕が最期に会いたいと願った女性がいた・・・しかし、その女性は泣いている・・・
(あぁ・・・また、僕はやってしまったのか・・・よりによって、彼女を悲しませるなんて・・・)
 僕は後悔した・・・きっと、これは僕に死後に待ち受ける『罰』なんだろう・・・僕は死んだらそこには『無』しか存在しないと思っていた・・・だから、僕はやっと『安息』を得られると思った・・・しかし、実際はどうだろうか・・・目の前の女性は泣いている・・・そして、きっと・・・僕の大切な人々もきっと・・・
「マリちゃん・・・?」
「はい」
 彼女は僕に気付いたようだった・・・そして、彼女は突然、泣くのをやめて無理矢理笑顔を作った・・・そして、僕は・・・自覚した・・・
(僕は・・・まだ、生きているのか?)
 どうやら、僕は自殺に失敗したようだ・・・そして、もう僕には・・・『逃げる』と言う手段も失われた・・・一度、自分が『死ぬ』と言う経験をしたことでそれが及ぼす影響を僕は体験してしまった・・・そう言えばあの時・・・
『そうですね・・・チャンスをあげますから、自分でその欲望・・・叶えてきなさい』
 と目の前で天使が僕に告げた・・・そして、僕は気づいた・・・僕は確かに左手首をカッターナイフを深く裂いたのに僕の左手首は服に血が付いているだけで傷が塞がっている・・・さらには、ここは僕の家の書斎じゃない・・・見覚えがある・・・ここは一昨日、僕が訪れてマリちゃんと再会した・・・教会だ・・・
(ありえない・・・まさか・・・あの天使は本物だと言うのか?)
 僕は突然、目の前で起きた非現実的な出来事に混乱したが、そんな僕が最も注目したのは・・・
「マリちゃん?どうしたんだい・・・その恰好・・・」
「あ・・・」
 僕は彼女の服装・・・いや、彼女の姿を見て、驚くしかなかった・・・彼女の姿は一昨日、この教会で出会った時の彼女は貞節を守ろうとする修道服を纏っていた・・・しかし、今の彼女の服装は・・・胸に逆十字型の隙間があり、スカートはスリットがあり、男を欲情させる煽情的な服装だった・・・そして、さらに信じられないのは・・・
「尻尾・・・?」
「・・・」
 そう、彼女の腰からは黒くて長い、周りに鎖巻かれている先端がハートの形をした尾のようなものが生えている・・・これは一体・・・ただわかることは一つ・・・あれは本物だ・・・
「あの・・・明さん・・・信じられないと思いですが・・・私は・・・」
 彼女が何かを僕に告げようとするが、僕は・・・
「いいよ・・・別に・・・」
「え?」
 彼女が告げる前に僕はそれを遮った・・・そして、
「ただ一つ聞かせて欲しい・・・君は僕の知っているマリちゃんかい?」
 僕はそれだけを知りたかった・・・それだけさえわかれば僕は安心できる・・・だって・・・今の僕は・・・
「はい」
 と彼女は嬉しそうに笑顔で返事をした・・・そして、僕はそれを確認すると・・・
「そうか・・・良かった・・・ありがとう・・・」
 と言い教会から立ち去ろうとした・・・すると・・・
「待ってください!!どこに行くんですか!!」
 と彼女は僕に向かって叫んだ・・・その声に僕は胸が締め付けられた・・・
「いや、家だけど・・・」
 と僕は適当にごまかすが・・・
「嘘をつかないでください!!」
 彼女は僕に向かって声を荒げて言った・・・その声に僕の胸は再び締め付けられた・・・
「・・・私が『人間』じゃないからですか?」
 と彼女は泣きそうな声でそう呟いた・・・そして、彼女は続けて・・・
「私が『彼女』じゃないからですか?」
「違う!!」
 僕はその言葉を聞いた瞬間、彼女の言った言葉を全て否定したかった・・・おそらく、彼女は僕の過去を知っている気がする・・・そんな気がした・・・だから、彼女は勘違いしている・・・そして、僕はある『答え』に至った・・・
(「『彼女』とじゃないからですか?」・・・?まさか・・・彼女は・・・)
 僕はそれを知った瞬間呆然とするしかなかった・・・そして・・・
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ」
「・・・!?明さん!?」

 明さんは突然、悲鳴をあげて頭を両手で抱えてうずくまりました・・・そして、彼は・・・
「もう嫌だ・・・もう嫌だ・・・」 
 彼は怯えるようにそう呟きました・・・そして、
「なんで、僕は周りを不幸にすることしかできないんだよ・・・」
 それは彼の心の底からの本音でした・・・そして、私は自分の言葉が彼に私の本心を曝け出したことに気づきました・・・
「どうして、皆、僕のことを傷つけるんだよ・・・僕はただ『普通』に生きたかっただけなのに・・・僕は誰も傷つけたくないのに・・・どうして・・・」
 それは彼の過去に関わる
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