気が付くと、私は真っ白な光の中を歩いていた。
誰かと手を繋ぎながら、並んで歩く。
大きくて、暖かくて、優しい、手。
……お父さん?
……違う。
……リフォンだ。
気づいた瞬間、リフォンは私から手を離す。
そして、彼の姿はどんどん光に飲み込まれ、見えなくなっていく。
待って。ねぇ、待ってよ。
お願い。いなくならないで。
私を、一人にしないで――!!
・・・・・・・・・・・・
「――リフォンっ!!」
「ぅおうっ!?」
自分の声に驚いたのか、それとも至近距離のリフォンの声に驚いたのかはわからないが、とにかくミルラナは驚いて目を覚ました。
何だかやたらと息苦しい。何か柔らかいものが顔全体に当たっている。
ミルラナはその状態を脱するべく、身体を起こした。
「……?」
ミルラナは、自分がベッドに突っ伏すように寝ていたのだと思い至る。
……何故、そんな姿勢で寝ていたのだろうか。
辺りを見回すと、そのベッドの上で半身を起こしているリフォンと目が合った。
互いに驚いたように目を瞬かせる。
そこでようやく、ミルラナは全てを思い出した。
そうだ。リフォンはアジトでの戦いの後、倒れてしまったのだ。
それをセトゥラとミルラナとで連れ帰り、診療所に連れて行った。
診てもらったところ、目立った外傷はなく、深く眠っているように見える、と言われた。
その後ミルラナとセトゥラは二人で彼に付き添っていたが、いつの間にか眠ってしまったらしい。
「……っ!! リフォンっ!? 大丈夫なの!?」
ミルラナはリフォンに詰め寄るがごとくそう尋ねた。
「おう。いやー、よく寝た」
リフォンは至ってのんきな声でそう答える。
いつもと変わらない様子のリフォンが、ミルラナの目の前に確かに存在している。
ミルラナは、心の底から安堵し、胸をなでおろす。
「……っ、もう、心配させないでよぉっ……!」
「言ったろ。ちょっと疲れただけだって」
いつものように笑いながらリフォンは言う。
ミルラナの瞳からは、自然と大粒の涙がこぼれだしていた。
「……っ、本当に、心配、したんだから……っ!!」
「……ああ。すまなかった。……ありがとうな」
リフォンは優しく微笑むと、ミルラナの頭を優しく撫でた。
リフォンに撫でられていると、自然と心が落ち着いてくる。
……と同時に、ベッドに突っ伏して寝ていた恥ずかしさ等もミルラナの中に改めて蘇ってくる。
「……そ、そういえば、セトゥラもいたはずなんだけど」
ミルラナは顔を赤くしながら話を変えようとする。
ベッドに突っ伏して寝ていたことは、何となくセトゥラには知られたくないような気がしていた。
リフォンはそれに対し、苦笑しながらベッドの反対側を指差した。
よく見ると、ベッドの陰からセトゥラの足らしきものが覗いている。
どうやら彼女は床に寝ているらしい。
それを見て、ミルラナとリフォンは顔を見合わせて、同時に小さく噴き出した。
「……そう言えば、前にもこんなことがあった気がするな」
「……あの時とは立場が逆だけどね」
そう言って、二人はまた同時に小さく噴き出したのだった。
その後改めて診てもらった結果、リフォンの身体には異常は見られなかった。
「地面へこませたりとか、ちょっと調子に乗りすぎたな……。あれ、やりすぎるとえっらい疲れるんだよ」
「もー、本っっ当に心配したんだからな!」
ばつが悪そうに頭を掻きながら言うリフォンに、セトゥラも口を尖らせる。
だが、その表情はミルラナと同様、心から嬉しそうだった。
アジトがつぶれたことで、街の人々も皆安心して外を出歩けるようになるだろう、と衛兵のリーダーことベレリックも嬉しそうに話していた。
彼を通じて賞金稼ぎのギルドにも連絡が行ったらしく、ここでの仕事も一段落、というところだろう。
だが、まだ暗殺ギルドの本締めをつぶしたわけではない。
なので、まだリフォンとミルラナのするべきことは残っている。
しかし、動こうにも情報がなく動けないため、リフォンの回復のためにも少しこの街で休むこととなった。
(リフォンは「大丈夫だ」と言っていたが、ミルラナとセトゥラが頑として聞かなかった)
翌日、ミルラナはベッドの上で半身を起こしているリフォンのそばでくつろいでいた。
「……なぁ、ミルラナ。俺、本当に大丈夫なんだけど。むしろ、このまま寝てる方が身体が鈍っちまうよ」
「だーめ。倒れるほど無理したんだし、そうでなくてもここのところ色々ありすぎたんだから、ちゃんと休めるときに休まないと。でしょ?」
うぐ、とリフォンは言葉に詰まる。
他でもない彼自身が、似たようなことを以前ミルラナに言ったことがあるからだ。
今はリ
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