或る漁師の一日

◆AM5:00

日の出前に起床。
冷水で顔を洗ってしっかりと目を覚まし、朝食をとる。
ハードな仕事のため、朝食はしっかり食べておかなければならない。
食べ終えた後、漁に出る準備をする。


◆AM6:00

日が昇る頃、漁に使う道具を持って海へと向かう。
何やら歌声が聴こえてきた。
気になって歌の聴こえてくる方へと向かってみると、浅瀬の岩の上にまだ幼いマーメイドがいた。
目が合うと、彼女は顔を赤くしてあわあわと慌てていた。
どうやら歌の練習中だったらしい。
邪魔をして悪いことをしたな、と思いつつ、引き返して自分の小舟へと向かう。


◆AM6:30

ある程度沖に出て、魚が多そうな場所を目がけて網を投げる。
引き上げてみると、食べられそうな魚が数匹と、シー・スライムが一人、それにマーメイドが一人捕れた。
この季節はシー・スライムが大量発生(?)するので網にかかるのは珍しくない。
が、マーメイドが網にかかったのは初めてである。
…と思ったら、よく見るとそのマーメイドは浅瀬で見た娘だった。
気になってついてきたらしい。
網にかかって危ないから近寄らないように、と言い聞かせ、シー・スライムと共に海に帰してやった。
その後、漁を続行。


◆AM11:30

漁終了、捕れた魚を確認しつつ海岸へと戻る。
まあまあの成果ではあるが、正直キャッチ&リリースしたシー・スライムの方が多かった。
最初に網にかかった娘に至ってはその後4回網にかかっている。
…ちょっとは学習して欲しい。
そんなことを考えていると、背後に視線を感じた。
見ると、あの幼いマーメイドが浅瀬の岩の陰からじーっとこちらを見ていた。
手を振ってみると顔を赤くして岩の陰に隠れてしまった。
その様子を微笑ましく思いながら魚を籠に入れ、町の市場へと向かう。


◆PM5:00

日が暮れる前に帰宅。
数はそこそこだったものの脂の乗った上質な魚も多めだったので、結構な儲けになった。
その儲けでちょっといい食材や日用品などを買い、家に戻ると、家の前に干からびかけたマーメイドが倒れて(?)いた。
慌てて水をかけてやると復活した。よく見るとあの幼いマーメイドだった。
聞くとどうしても伝えたいことがあって、海から這って(?)きたのだと言う。
とんでもない根性である。
そんな彼女を無下にするなんてことができるはずもないので、とりあえず家に上げることにする。


◆PM6:00

夕食。
献立は町で買った野菜の炒め物と、自分用に残しておいた魚を焼いたもの。
折角なのでマーメイドの少女にも振舞うと、最初は遠慮していたが結局食べていくことになった。
マーメイドの少女(名はソフィナというらしい)とともに夕食を食べつつ、彼女がどうしても伝えたいこととやらを聞いてみる。
…一目惚れしたのでお嫁さんにしてくださいとか言われた。
気持ちは嬉しいが、こちらも心の準備ができていないし、それに彼女はまだ幼い。
色々考えてみたが、とりあえず彼女と話し合うことにする。


◆PM7:00

話し合い終了。
とりあえずお嫁さんにするのはもう少し待ってもらうことになった。
せめて、と彼女はある一つのお願いをしてきたが、その程度ならおやすい御用だと快諾。
彼女は若干名残惜しそうにしながらも、素直に海に帰ることになった。
途中で干からびないか心配だったので海まで送っていくと、彼女は嬉しそうにしていた。
無事彼女が海に戻ったのを見届け、自分も家に帰ることにする。


◆PM9:00

早めに寝る準備に入る。
朝が早いのでいつも寝るのはこのくらいの時間だ。
夕方から夜にかけてやる仕事は漁の道具の整備くらいだが、それも特に問題はなかった。
…シー・スライムやらマーメイドやらの大物を捕獲したにも関わらず、全く傷みがないというのも若干不思議な気もするが。
明日からは、朝やることが一つ増えることになる。
正直なところ、少し楽しみでもあった。




◆翌AM5:00

日の出前に起床。
冷水で顔を洗ってしっかりと目を覚まし、朝食をとる。
ハードな仕事のため、今日も朝食はしっかり食べておく。
食べ終えた後、漁に出る準備をする。


◆翌AM6:00

日が昇る頃、漁に使う道具を持って海へと向かう。
舟を出す前に、昨日ソフィナと出会った浅瀬へと足を運ぶ。
浅瀬の岩の上には彼女がいて、こちらを見ると満面の笑顔でこちらに手を振っていた。
こちらも手を振り返しつつ、手ごろな岩に腰掛ける。
まだ練習中だけど自分の歌を聴いて欲しい、それが昨日彼女がしてきた「お願い」だった。
彼女はどこか緊張した面持ちで一度深呼吸すると、歌を歌い始めた。
…まだ微妙に音程が安定していないところもあるような気がするが、いい歌だ。
5分ほどの彼女の歌を聴き終え、彼女に拍手を
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