〜拠点〜
「そういえば僕、前から気になってたんですけど
デュラハンって誰かに師事していたことがあるんですか?」
「ん、なんだ突然」
「いえ、妙に構えが綺麗なので・・・・」
二人で話していると、そこにDエンジェルが入ってきた
「ん? 師匠のこと? デュラハンは確かに教わってたわね、剣術や体術、簡単な魔法とかも」
「Dエンジェル、お前だって師匠に色々教わってただろう?
信仰に背いたから光の術が使えなくなって、代わりの術を簡単に教わってたじゃないか」
「え、お二人とも師匠が同じなんですか?」
二人は頷く
「以前、姐さんの話をしたでしょ? あの人の「お兄ちゃん」が師匠なの」
「良くも悪くも破天荒な人だったな・・・・・・」
あの人はすっごいわよ〜、とDエンジェルはさも面白げに笑った
「まず、昔は教会にいたらしくて騎士をやっていたそうなの
しかも当時から強くて敵無しの状態だったらしいわ
で、そのあまりの強さを恐れた上層部が追放しちゃったんだって」
「その後の行動が凄いんだ・・・・・・
己の強さを極めようと単身魔界に入った挙句、出会った魔王軍をことごとく打ち倒し
ついには魔王城に攻め入ったらしい・・・・・・・単独で」
「そ、それは・・・・・・」
なんというか・・・・めちゃくちゃな人だ
伝わってくるイメージでわかる・・・・・・・・
「その頃に姐さんに会ったんだっけ?」
「そう聞いている
なんでも、姐さんが手も足も出なかったらしい
まあ、姐さんの実力は今のバフォ様より下だが、それでも我々にとっては雲上の領域だ
負けるなど微塵も思っていなかったろうな・・・・・・
当時の姐さんの宮殿が吹っ飛ぶような激しい戦いだったと聞いている
ちなみに、姐さんは半殺しの目にあったらしい」
「えっと・・・・もしかして、その時に・・・?」
「うむ、惚れ込んでしまったそうだ」
「盛大に、ベタ惚れでね」
凄まじい出会いだ・・・・・・・
半殺しから始まる恋愛って・・・・・・
「で、治療もそこそこに師匠についてっちゃったわけよ、姐さん
そしたら将軍クラスと相打ちになって死に掛けてる師匠がいてね」
「自分の治療も済んでいないのに、師匠の看病を必死でしたそうだ
師匠の目が覚めるまで、三日三晩でな
そして目を覚ました師匠が事情を聞いて姐さんに惚れた、と」
「は、半殺しから始まって半殺しで終わる恋愛事情・・・・・」
「その後はしばらく姐さんと一緒に魔王軍で仕事してたんだけど・・・・
ほら、あの人って破天荒じゃない?
だからデスクワークが性に合わなかったらしくって10年前に出て行ったのよ
"飽きたから旅に出る"って書置き残して、姐さんと」
「どんだけフリーダムですか」
「まあ、師匠だからな・・・・としか言えん
そういうわけで肩書きだけ残して職を下り、
今は魔王軍に在籍だけしている状態なんだが
・・・・まあ元気にしてるだろう、師匠だし」
「そうね、師匠だし」
「断言ですか
・・・・・・・どんな人なんだろうなー」
「人っていうか・・・・まあ、もうインキュバスだけどね」
「人間だったときよりパワーアップしてるらしいぞ、化け物だな」
デュラハンとDエンジェルが互いに爆笑する
少年も、それにつられて笑うのであった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〜だいたい同時刻、ある山中〜
「ぶえっくしょん!!」
長い金髪を一つに束ね、細身で全身黒服の青年がくしゃみをしていた
「ん? 珍しいではないかや、風邪か?」
彼の傍らにいる、ジパングの衣装「十二単」を着たバフォメットが彼を気遣う
「む・・・・誰か噂をしているのかもしれんな・・・・」
ずずっ・・・と彼は鼻をすする
「ふむ、きっと兄殿がカッコいいと巷で評判になっているやも知れぬのう」
「そうなると、俺の周りに女が寄ってくるわけだが、いいのか?」
青年は意地悪く笑う
それを聞いたバフォメットは慌てたように手をじたばたさせた
「な、ならぬ! 兄殿はわらわの兄殿じゃ!!
他のおなごが手を出すことは許さぬ!!」
青年は彼女の慌てた様子を見ると、笑いながら彼女の頭をぐりぐりと撫でた
「くはははははっ! すまんすまん、からかい過ぎたな
心配しなくとも俺はお前以外の女に興味は無いぞ?」
「む、むう・・・・兄殿はいじわるなのじゃ・・・・・・」
それを聞いて青年は再び笑う
そう、この青年こそがデュラハン達の「師匠」であり
傍にいるバフォメットこそが「姐さん」だった
「しかし・・・・誰ともすれ違わないな?
地図によると、この先に大きな街があるはずなんだが」
彼は地図を見ながらつぶやく
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